エピローグ
なんとなくやることもなくてスマホを見ていた。
ふとその時、「ピコンッ」と電子音が頭の中で響いた。なんだと思ったけど、周りを見渡しても特に何もなく、そのままスマホでトレッターを見ていると、みんなの様子がどうやらおかしい。
他の人も謎の電子音を聞いたらしく、そんな人が大人数いるもんだから大きな騒ぎになろうとしていた。
そしたら誰かが「ステータスって言ってみろ」と呟いており、多くの反応をもらっている。リプを見てみると、「マジかよ」とか「ゲームの世界じゃん」とかみんな反応している。まさかと思って俺も「ステータス」と言ってみると、また「ピコン」と音がして、目の前に半透明のスクリーンが表示された。そこに書かれている内容はこうだ。
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LV 1
HP 10
MP 8
SP 0
・エキストラスキル
経験値十倍
・スキル
なし
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「マジかよ」
つい俺も同じ反応をしてしまった。これではまるでゲームの世界じゃないか。内容を見てみると、レベルが1なのは当然としてHPが10、MPが8ある.これはどうなのだろうか、多いのか少ないのか分からない。あとでトレッターを見てみよう。それより、注目するべきはエキストラスキルの経験値十倍だ。ゲームで実装されていたとしたらぶっ壊れだろう。破格の性能だ。スキルは無しでこれ一つしかスキル系は持ってない。
「こう、動くと、、ついてくる」
視線を動かしてみるが、常に視線の真ん中にその半透明のウィンドウはあった。ためしにもう一度、
「ステータス」
と言ってみると、そのステータス画面は閉じた。
さて、とんでもないことになったわけだが、突然ステータスが見れるようになったとしても、なにか特別変わった感じはしない。でも、何か重要なことが起こっているのは確かだった。こんなときどうするべきか、俺は少し考えたが情報収集だと感じた。俺は手元にあるスマホでトレッターをみる。そしてしばらくの間情報収集に取り掛かるのだった。
そして、纏めた情報がこうだ。
世界中の人々があの電子音を聞き、ステータスを開けるようになったらしい。ステータスはみんな最初はレベル1でHPとMPは7あたりが平均値っぽい。俺にHPが10もあるのは成人男性であることと、普段から筋トレしているおかげなのかも知れない。スキルはみな一つだけ取得しており、内容は様々だ。剣術レベル1だったり水魔法レベル1だったり、料理レベル1なんていう意味があるのか分からないスキルもあった。ただ、調べている限りエキストラスキルを取得したという話は見つからない。もしからしたら他にもいるのかも知れないが情報を公開しないようにしているのだろう。当然、経験値十倍なんて馬鹿げたスキルを持っている人はいなかった。
あと、特筆すべきことは世界中にダンジョンが現れたことだ。ダンジョンといえばあのダンジョンだ。中にモンスターがいてその中を探索して宝箱とか手に入れるやつ。そのダンジョンが日本だけでも100カ所以上すでに現れている。今見つかっているだけでその規模だ。実際はもっとたくさんあるだろう。
俺は近くにあるダンジョンを調べた。すると、近くの駅の入り口の近くにダンジョンが出現しているらしい。入り口の写真をアップしている人がいた。入り口からして小ぶりなダンジョンなようだが、実際にいってみようか。経験値十倍を活かすにはスタートの勢いがだいじだろうし、のろのろしていたら、自衛隊などに入り口を封鎖されるかも知れない。
「行くか」
俺は学生の頃やってた野球の思い出として残しておいた金属バットを片手にダンジョンに向かう。走って15分くらいでそのダンジョンの入り口に着いた。そこには物珍しいものを見る人達で人だかりができているが、警察を待っているのか誰も入ろうとしていない。俺は人だかりを押し退けて進み、ダンジョンの入り口に立つ。
そして金属バット片手に中へと進んでいくのだった。
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