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護衛たちの正体

 茶髪の少女の護衛を担っていた三人の男が、ダリアたちの前で跪いた。

「本来なら僕たちがこなすべき依頼をやり遂げてくれてありがとう」

「本当に助かった!」

「いいものを見れて我は満足だ」

 心の底からダリアたちに感謝しているようだ。

 ダリアは優雅に微笑む。

「当然のことをしただけですわ」

「放っておけない気持ちはみんな一緒だよ。かしこまらなくていいよ、普通に話そう」

 ジャンが護衛たちに立つように促す。

 護衛たちは申し訳なさそうな表情を浮かべながら立ち上がった。

「心の広い人たちだ」

「俺も見習いたいものだ」

「我もだ」

 ダリアは片手を上品に口元に当ててクスクス笑い、ジャンが頭をかいて照れ笑いを浮かべる。

 そんな中で、カルマは険しい表情を浮かべた。


「あんたらはグラン・ゲート率いる聖騎士団だよな。王都にいなくていいのか?」


 聖騎士団。

 この言葉を聞いた時に、ダリアの表情がこわばる。聖騎士グランはギュスターブの側近であり、王都の軍隊が憧れる存在だ。グラン率いる聖騎士団は、王都かフロンティア家の周辺を守護するのが任務のはずだ。

 ギュスターブはもちろん、王家と知り合っている人物もいる。

 フランソワ王太子の婚約者であるダリアを知らないとは考えづらい。

 ダリアの意図しない形で、ダリアをエクストリーム王国に連れて行く危険がある。ギュスターブの命令があれば、彼らはダリアを幽閉する危険もある。

 ダリアは緊張で身体がこわばった。


 しかし、護衛たちこと聖騎士団は無邪気な笑みを浮かべていた。


「僕たちの正体を知っているのか! 光栄だ。たしかに聖騎士団は王都の守護をする事で有名だけど、僕たちのような末端の人間は、王都まで招集されるとは限らない」

「俺たちももっと活躍して、王都の守護騎士として認められたいよな」

「我々はまだまだ実績を積まなければならない」

 聖騎士団の反応を確認して、カルマは苦笑する。

「聖騎士団にも位があるんだな」

「そうだね。王都やフロンティア家の守護を任されるのはごく一部だ。みんなが認めるような立派な実績と人柄を併せ持っている。僕たちの憧れだ」

 聖騎士団の一人が両目を輝かせると、他の二人も頷いた。

「ほんと、すごい連中だぜ」

「我々も届くか分からないが、努力だけならできるはずだ」

 この場にいる聖騎士団は、ダリアの事を分かっていないようだ。

 ダリアは胸をなでおろした。

「立派な志をお持ちですのね。あまりご無理なさらぬよう」

「ありがとう、まだまだ頑張れるから安心してほしい」

「頑張れますのね。では、もうひと踏ん張りしていただこうかしら」

 ダリアが微笑むと、聖騎士団は三人とも頷いた。

「ぜひ、やらせてほしい!」

「御礼がまだだしな」

「我々にできる事なら何でもいい」

 三人のやる気に満ちた表情に、ダリアは頼もしさを感じていた。

「まず確認しますわ。あなたたちの中にエクストリーム王国の人間とコンタクトをとれる人間はいるかしら?」

「それは残念ながら……僕たちは聖騎士団とはいえ末端だからね。簡単に王都の人間とコンタクトは取れない」

 三人とも表情を曇らせていた。

 ダリアは片手をパタパタと振った。

「そんなに暗い顔をなさらないで。別の質問をしますわ。エクストリーム王国まで案内できる方はいらっしゃる?」

「道順は分かるが、王都に断りなく連れて行く事はできない。あなたを疑うわけではないが、何か起きた時に責任を取れなくなる。せめてグラン様にお伺いを立てる必要がある」

「そうですのね……」

 ダリアは言葉を詰まらせた。

 ジャンの精神をむしばむ禁忌の魔術について、エクストリーム王国の人間に直接報告すれば、禁忌の使い手を処刑するように動くだろう。

 しかし、ギュスターブの側近であるグランにエクストリーム王国に行く事を話せば、ギュスターブに報告を入れるのは明白だ。

 ダリアの思惑が、禁忌の魔術を積極的に使わせたいギュスターブの耳に入れば、ダリアを捕えるように動くだろう。ダリアの抹殺さえ考えるかもしれない。

 ダリアは溜め息を吐いた。

「それほどの手間を取らせるわけにはいきませんわ。御礼を受け取るのはまたの機会にしますわ」

「役に立てなくてすまない。僕たちにできる事があれば声を掛けてほしい」

 聖騎士団は心底残念そうな表情を浮かべた。

 ジャンが首を横に振って微笑む。

「いいんだよ。誠実に答えてくれてありがとう」

「おい、ちょっといいか?」

 カルマが口を挟んだ。

「エクストリーム王国に行くのはダメでも、フロンティア家ならいいよな?」

「それもグラン様にお伺いを立てる必要がある。ギュスターブ公爵は王家と同等か、それ以上だ。フロンティア家の名誉と実権は、ギュスターブ公爵が引き上げている」

「いいぜ、グランに聞いてくれよ。カルマがフロンティア家に行きたがっていると」


 カルマが名乗ると、聖騎士団が両目を見開いた。


「カルマ様……? もしかして、グラン様の弟様の!?」

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