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New Face Monster 8

 

 今日は朝から嫌な予感はしていた。早苗が廊下で滑って倒れそうな所を支えて助けた後、抱き合った形になってそれを見た紅葉が盛大に何故か勘違いしたらしく、意味不明に白虎を呼び出して雷撃を食らわせてくるし。登校途中に晃が現れて、コゲ臭いだのなんだの言ってくるし。心菜と智也も少し匂うと言ってきた。教室に着くなり綾乃と机が隣なもんだから、部活に興味ないかと煩く勧誘してくる。そんな一日を乗り切り、いざ帰ろうとした時靴箱に一通の手紙が入っていた。可愛い女の子からと一目で分かるピンクの可愛い封筒と綺麗な文字で


『放課後、屋上に来て下さい。告白したい事があります』


なんて文字が書かれてある。周囲に目を配り、下校している人の視線がこちらに向いていないか確認する。差出人の名前も書いていないが、無下にするのも気が引ける。そう思いながら、少しそわそわして屋上へと赴いた。そこには、綾乃、摩子、花音の3人が待っている。見た瞬間にうんざりしてしまった。


「来てくれたんだね、橘君。ありがとう!!」


「ああ、手の込んだ悪戯どうもありがとう」


「悪戯?花音さん何て書いたの?」


「人を呼び出す際の学校での正しい書き文であると思うのですが・・・違いましたか?」


手紙を摩子に手渡すと、流石に彼女も苦笑していた。


「下駄箱にあった感じ?」


「じゃあ、俺はこれで失礼するよ」


「ちょっと待って!!」


綾乃が葵を引き留めると、事情を説明した。流石に、葵も燻がる。あの、WEB漫画の件絡みの事で一般人を巻き込みたくはない。しかしながらこんなメール一つで事態が急変するとも思えない。


「こんなサイトにメールする為だけにこんな手の込んだ事を?」


「そうなんだよぅ。後は橘君だけが頼りなの!!この携帯に名前を入力してくれるだけでいいから!!」


携帯を手渡して、葵は渋々名前を入力した。すかさず、綾乃の名前と残りの文面を書いて、送信を待つ。


「丁度、15秒前です。カウント始めます」


「宜しく花音さん」


「何だ、何が始まるんだ?」


「あはは、何が始まるんだろうね」


摩子はわざと知らない振りをする。


「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!! 午後4時20分ジャストです」


綾乃が、送信ボタンを押してメールを送る。

すると、急に手に持つ携帯から魔法陣が現れて葵と綾乃を光に包む。


「おいお前ら、何をした?」


慌てて、持っていた刀を取り出そうとするが、時すでに遅く。


「おー⋯⋯さっすがたまちゃん。情報に偽りなしだね。ちょっと行ってくるね」


まるで、遊びに行くかのような発言に、二人は唖然とした。二人が小さい光の球体になって携帯に吸い込まれて空中に浮かんでいた携帯は地面に落ちた。幸い画面は割れていない。花音は携帯を拾って、自分も入れないか確認したが無理だった。


「良かったのですか?止めなくて」


花音のその問いに、摩子は答えた。


「私も知りたいの。綾乃さんが一体何者なのか」


呆れた口調で花音も返す。


「巻き込んでしまった橘さんには申し訳ないですね」


「そうかしら?あの一瞬で彼、確かに何かをしようとしていたわ。凡人にあんな反応出来るかしら」


「彼も、我々と同じく普通の人間ではないと?」


「何やかんや、綾乃さんの洞察力は今の所確かみたいだしね」


自分の携帯で、例のWEB漫画を確認すると先程、新しいページに1ページ目が更新されていた。男女二人が異世界に戸惑うどころか、少女は二次元に来れた事に喜び一方の男の子は巻き込まれた災難に自分の運の無さを嘆いてこの漫画は始まりを告げた。



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