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New Face Monster 3

 

 とある誰かの個室にて、一面少女漫画の張り紙のある部屋の中で急にパソコンの電源が入る。部屋が光に包まれると誰も居なかった個室に、美少女の絵が入ったTシャツと、青いジーンズを履いた冴えないオタク少年がミイラ化した状態で、椅子に座って上からパソコンのキーボードに顔を埋めた状態で姿を現わした。パソコンの起動音に気づいた母親が、慌てて息子の部屋に入る。


「タケちゃん!!ようやく外に出る決心がついたのね?母さん嬉しいわ!!」


しかし息子は何も反応しない。


「タケちゃん?」


ぴくりとも動かぬ息子に母親は恐る恐る近づいて、叫び声を上げる。パソコンの画面には【RAINBOWWORLD】と書かれているタイトルのWEB漫画のトップページが映し出されていた。



 放課後、智也、晃、葵、紅葉、心菜の5人で心菜の家のお好み焼き屋に来ていた。この前の事件のお疲れ会を開こうと心菜が言い出したのである。それぞれ、注文したジュースを乾杯して4人で座席に座って、お好み焼きが出来る間、談笑に花が咲く。


「3人共本当にお疲れ様!!」


心菜がそういうと、お好み焼きを目の前で作っていく。手馴れたもので、流石その道のプロといった腕前である。お好み焼きを作ったら、キャベツをお好み焼きに乗せる。豚肉も乗せてたら今度は勢いよくひっくり返した。火が通っている間に麺を焼き、その麺の上にお好み焼きを乗せる。卵を一つ割って広げて焼いて、最後は卵に乗せてひっくり返して、強く押す。それから濃厚なソースを投入し、匂いが食欲をそそる。人数分焼いて、心菜が声を出した。


「はい、出来上がり~皆食べて食べて」


「美味しそうです。頂きます」


熱々のお好み焼きを、一口食べて紅葉も満足そうに食べ始める。それぞれ、お好み焼きに好きなトッピングを追加して自分好みのお好み焼きに仕上げていく。


「お父さん、イカもうない?」


「ちょっと待ってろ、すぐに切ってやるからよ」


心菜がそういうと、カウンターの奥に居る彼女の父によって、イカの切り身が追加された。


「それで、結局子供を襲った一件とは関係なかったんだな」


「まぁ、そうなるな。そっちは、俺も暫く情報を集めてみるつもりだ」


智也が質問すると、晃はそう答えた。


「近頃物騒だからね、どこも。最近だって、大量の猫の死体が見つかったっていうし」


「怖いね。シリアルキラーに良くある行動らしいよ」


「怖っ⋯⋯幽霊よりそっちのが怖い」


紅葉がそういうと、心菜は頷いた。



「そっちも怖いけど、こっちも結構話題になってるよ」


智也がそういうと、スマホを取り出して皆に見せた。一同注目すると、【RAINBOW WORLD】とタイトルの描かれているWEB漫画のトップページが映し出されている。


「何それ、唯のWEB漫画じゃん。しかもあんま面白くなさそう」


心菜が突っ込むと、智也はチッチッチと指を揺らした。


「このWEB漫画さ、いつも誰か人が異世界に入り込んで、ここはどこだ?ってフレーズから始まってさ、大体7日くらいで悲惨な目に合って死んじゃうんだけど、登場人物が死んだら、延々新しいやつが異世界に入って死をループしてるっていう謎のWEB漫画」


「何だそら。何が描きたいんだよ作者は」


葵が突っ込むと、智也は続けてこう言った。


「何でも、この登場人物は誘拐された人がモデルになってるって噂だ」


「それ、絶対ステマ入ってるでしょ」


紅葉が、自分の携帯でWEB漫画を見てみると、アニメの美少女の絵が入ったTシャツと、青いジーンズを履いた冴えないオタク少年が異世界に迷い込み、水も食料も無く、ただひたすら歩き続けていると、洞窟の中で妖精を名乗る少女に出会い、自分が勇者であると告げられ、その気になったはいいが、最初のダンジョンが罠だらけで散々な目に。妖精に、何度も本当の勇者なら王様の所に戻るだけだからと言われて頑張って洞窟を進むも、途中で力尽きて死んでしまった。そこで 最後のコマに死の描写と


「THE END」と書かれている。ページ数にして50枚あるかないか。


「今回、2日と持たなかったバージョンらしいわ。結構そういうのもある」


「こんな漫画見てるのかよ、趣味悪いぞ智也」


「さっきも言ったろ、この登場人物は誘拐された人がモデルになってるって」


「まさか、それを信じてる訳じゃないよね?」


心菜が、心の底から心配そうに見つめる。


「そうは言うけど、ネットで出回ってるまとめWIKIで見たら誘拐事件の誘拐日時と死んだ本人の絵柄の特徴が酷似し過ぎてるんだよ。着てた衣類や、人物の口癖、髪型とかなりデフォルメされてるけどさ。パソコンの前でミイラになってるっていう状況と、死んだやつが最後に見ていたのがこのWEB漫画だった事。んで、世界中に似たような例が出てきて、日本の被害者の遺族同士がコミュニティ作っててさ、情報を開示したの。つまり―――」


「そのWEB漫画描いてる作者が、犯人だって言いたいのか?」


「実際、どこのサーバー使ってるかとか一切不明らしいんだよね。海外の奴じゃないかって噂されてるけど、どうだろうね。某掲示板じゃ炎上中だよ」


「それだと、日本で犯罪は出来ないんじゃない?」


「つーかその理屈でいくと、このWEB漫画の更新日が今日だから誰かミイラで戻ってくるのか。ニュースになるんじゃないか」


「そうなったら、流石に信じるかもねえ。あ、お替り欲しい人」


心菜がそういうと、男3人はすぐさま手を挙げた。



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