The Steal Bride of Evil God 52
ルットーレが刀を二刀所持して構える。対してエリザは一刀のみ。お互い猪突猛進して切り結ぶ。幾度も刀が弾き合い火花が散る。エリザが力一杯刀を横薙ぎするとルットーレを下がらせると、二刀で受け止めた衝撃で足裏が摩擦する音が響き渡り、摩擦した跡がくっきり残る。すかさず花音が腕部の小型ガトリング砲を放つと、脅威では無いと判断して視界を遮る物は弾き、それ以外は敢えて被弾する。砲弾の雨が止むと今度はエリザが間合いを詰めて再度切り結ぶ。
「おっかなぁ〜い」
ルットーレの周囲の温度が上昇し、排熱の為に彼女の足裏と踵、背中等の背面の機構から蒸気が発せられる。素早さと威力が上昇し、エリザの顔が歪むと花音が、エインフェリアを起動し援護に回る。
「エインフェリア起動ーーーアインス」
空中に浮かぶ四角い塊が4つと、小さな丸い塊が無数に生み出され、花音がそれを側面からルットーレにぶつける。タイミング良くエリザが離れてルットーレは無数の鉄の塊を刀で切り、弾き、叩き落す。空中に浮かぶ四角い塊は、エリザの為の空中の足場。言葉を交わさずとも伝わっており、エリザはそれを蹴って推進力の上昇と、足で蹴って移動ルートを無理やり空中で変える為の中継地。移動先は当然、鉄の塊を弾くのに精一杯で無防備な彼女の背面。
「ーーー終いだよルットーレ」
エリザの一閃がルットーレを斬り伏せる
はずだったが、背中から刃物が突き出てクロスアームで受け止める。砲弾が止んでルットーレが跳躍し、二人と距離を取る。
「残念、私近接戦闘特化なのよね。腕じゃないけど自在に動くブレードがあるんだけど、服が破けちゃうからやりたくないんだけど⋯⋯しょうがないよね」
剣撃の音に気付いた死焔の使徒が後方から現れ、ルットーレの加勢に入る。エリザは多勢に無勢の状況に舌を打つ。
「すまないね、花音。フルドライブが必要かもしれない」
終わった後、花音はまともに動けなくなる。
「お気になさらず。何時でも発動出来ます」
二人が覚悟を決めた瞬間、ルットーレ達の後ろから靴の音が響いた。黒いスーツを着た目付きの悪い少年が不気味に笑みを浮かべて近づく。
「何だ、面白い状況になってるじゃないか。僕も混ぜて貰おうかな」
「絶対おかしいよ！ド修羅場じゃん！自ら巻き込まれに行かなくても良くない？」
意気揚々としている令二と頭を抱えている千鶴の二人が姿を現した。
