New Face Monster 2
放課後、綾乃と摩子、そして花音の3人で教室に集まり黒板に、部活目的は何が良いかという議題になって3人共頭を悩ませていた。というのも、今朝、意気揚々とワンダーコレクション部と名づけた部活申請を担任の先生に提出したものの、目を細くして次に綾乃に視線を移し
「意味がわからん。もう少し具体的に何がしたいか明確にしてから持ってきなさい」
と、一蹴されてしまったのである。当然と言えば、当然かもしれない。
「可愛いのになーワンコレ部」
「やはり、オカルト研究部にするのがいいのでは?」
「実は、すでにあるんだよぅ。最近誰かが作ったみたい」
あるのかよ、と摩子は心の中で突っ込んだが、口には出さなかった。
「目的を確認しますが、何を活動目的とした部活になるのでしょう」
「友達作り!」
綾乃が即答し、摩子が溜息を吐いた。
「そもそも、それって部活にする程の事じゃないわ」
摩子の的確な指摘に、口を尖らせる綾乃。
「普通の友達じゃないんだよ。私たちのような、特殊な価値観を持つ人の為の部活!」
「いや、作った所でこれ以上居るかどうかも分からないし」
「探して集めるだけですか?」
「ううん、一緒に、楽しい事をこれから探していけたらって思うんだけど⋯」
摩子は、確信を得た。彼女は友達を作りたかっただけですでに目的は果たされている。だからこれ以上どうこうする必要はないのに無理矢理型に嵌めようとしているだけなのだと。これからの貴重な3年間を、UFO探しに付き合わされるよりかは具体的に一度体験して、諦めて貰う方が建設的だと判断した。
「そうだわ、綾乃さん。これから具体的に部活を始めてみない?」
「え、どういう事?」
「何をするのか指針を決めて、動きましょうよ。今すぐ」
「んーそうだねぇ。この近辺のオカルト関係で話題になってるもの何かないかな」
「では、検索しますので少々お待ちを」
花音がそういうと、頭の中でインターネットに繋がり情報を模索する。この京都近辺で起こった事件等、膨大な情報を仕入れては整理する。この前の殺人事件に、戦後の爆発物の除去。その他にも幾つか存在はするが花音が気になったのは、幾つものスレが乱立した2つの話題を気に留めた。
「一つは、大量の猫の死骸が度々発見されています。もう一つは京都だけでなく日本全国で不可思議な誘拐事件が頻発してますね」
「誘拐事件?UFOが連れ去ったとか?」
「それも分かりません。今調べましたが、全世界規模で同じ事が起こっており様々な言語で同じ様な事件のあらましが書かれています。何でも何日も経過した後、いつの間にか自分の机に戻り⋯」
ふんふん、と綾乃が頷いて、花音は淡々とこう告げた。
「パソコンに顔を埋めた状態で干乾びてミイラになり死んだ状態で戻ってきたとの事です」
放課後になって、橘葵は神社に戻って剣術の稽古を始めていた。良くわからない妖刀を手にして、力を使い、あの後、暫く筋肉痛が酷くて陰陽庁の仕事に出れなかった。あまつさえ、あの晃に軟弱者のレッテルを貼られてしまい、言い返せなくて悔しい思いをしてしまったのである。木刀での素振りを終えて、神社の中にある大きな屋敷に入り玄関から真っ直ぐ浴室へと向かった。汗を流してサッパリしようかと浴槽へと入ると、すでに先客が一名入っていた。視線が合うと、二人して紅潮し、硬直してしまう。紅葉は丁度裸体を露わにして、湯船から上がろうとして立ち上がった状態である。すぐに湯船に浸かり、大声を張り上げ、ぬいぐるみサイズの白虎を召喚して紅葉の頭の上に乗った白虎が葵に向かって雷の一撃を食らわせた。
「やっちゃえ白虎!!」
「合点承知!!」
「ちょっまjsdjjsだshgdghgh!!!!!!!!」
ビクビクと痙攣をしながら、その場で倒れて気を失った。
「何か、すごい音しなかっ⋯⋯葵さん!?やだ、大変!!」
紅葉の母、縁が物凄い形相で紅葉と白虎を説教した後、急いで葵を寝室へと運んだのだった。気が付けば、自分の部屋の天井を仰ぎ見ていた。時刻はすでに夜10時。夕食を食べて居なかったのを思い出してお腹が空いてくる。ふと周囲を見渡すと、心配そうに顔を覗く紅葉の姿があった。
「大分、寝てたみたいだな。さっきのは、俺が不用心だった。謝る」
「もういいよ、それに⋯⋯この前、助けてくれてありがと」
そう言って、葵が目を覚ましたのを確認すると、紅葉は部屋を後にした。葵も、空きっ腹に何か入れようと台所へいくとテーブルに今日の晩御飯が用意されていた。椅子に腰かけて、ゆっくりと遅めの夕食を口に運んだ。




