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The Cross Bondー世界のアクセス権を持って生まれた女の子が織りなす物語  作者: 夜桜一献
The Steal Bride of Evil Godー邪神の花嫁を強奪せよ
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The Steal Bride of Evil God 15


 銀次は数日が経過して、ハオランの拠点に戻り彼の伝を探して連絡を取り付ける。聖道士の繋がりがあるようで彼の遺骨を引き取りに来るらしい。銀次は自ら生んだ炎で火葬して、人生の中で一時触れ合った師に

別れを告げる。


「ワザと死んだって事はねぇよな。あんたの事だし俺を殺すつもりだったのは分かってる。あの最後の妙な力の時間制限が切れたって所か」


ほんの一時、物理法則を無視した存在になれる秘奥。


「お互い約束しちまったからな。あんたの娘は俺が見つけて助け出す。俺が死んだらあんたが俺の弟を助ける」


お互い、気休めのお願いだった。自分が死んだ後、そうであって欲しいという切ない祈り。ハオランは秘奥が切れるのを悟っていて、あの瞬間にハオランもシェンメイが救われる未来に希望を託したかった。


「生き残った以上は約束は守るさ」


あの約束は違えられぬ呪いとなって銀次に刻まれた。

遺骨をハオランの知人に渡す際に彼の仕事の一部を引き継ぐ事が出来るようになった。中国に帰国した後、聖道士、ひいては幽玄舎は死焔と神美シェンメイの行方を追ってくれるらしい。銀次は幽玄舎とコンタクトを取りつつ暫く大人しくしていたものの、箔付けと実力を上げる為高校3年間で引き継いだ仕事と裏社会の仕事をこなして経験と実績を積んだ。高校間近になる頃には、殺し合いも上等の立派な悪人に堕ちており、牙王決定戦では銀次に暴れさせると死人が出る事を恐れて周囲の者が他を圧倒して彼に玉座を捧げる結果となった。高校の卒業と同時に3年前の真相を親に告げ、靴職人の父親に思い切り殴られて絶縁宣告を受けて家を飛び出た。船で渡航し、中国の大地に初めて降り立った時、銀次はシェンメイを思い浮かべて死焔を追った。裏社会を生きていれば彼等に会えると思って仕事を続けるうちに、情報が入るようになった。幽玄舎とも連携を図って数年が経過し、死焔が日本に渡ったと幽玄舎から告げられる。密航して日本で滞在して裏社会でその名が錯綜しており、向かってみれば死焔が組織的に大掛かりに行動しているのを目撃して会敵、溜飲は下がらないが王禅を一発殴る事には成功した。


「ーーーまぁ、そんな訳で俺にも色々あってね、悪いが婆さん殺しには他を当たってくれ」


くい、と酒を喉に流し込んで銀次は足早にその場を後にする。


「せめて、自分が飲んだ分くらいは払っていって欲しいものだが。まぁ、彼が居ない方が話はし易いというものか」


銀次が去って十数分後、赤と黒の装束を着た男が近づいてくる。


「依頼主は貴方かな」


「ええ、是非とも殺して欲しい相手がいましてね、貴方達の力をお借りしたいと思って声をかけさせて貰った次第ですよ、裏の世界では名の知れた死焔にね」


握手を交わして、王禅は取り引き相手に営業スマイルを見せて会釈した。








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