The Steal Bride of Evil God 2
ある日の放課後に教室に全員を集めて、二人が葵と綾乃が付き合った事を告白すると、全員が祝福した後、おめでたい雰囲気と、険悪なオーラを放つ洵の二極になる。
「二度と綾乃に近づくなって言わなかったっけ?」
「聞いてない。耳悪くてすんませんね」
葵と洵が取り敢えずメンチを切りながらの火花を散らす展開をよそに、摩子が綾乃に近づいて、おめでとうと伝える。
「あの後どうなったか気を揉んでたけど、良かったわね綾乃」
「うん、ありがとう!摩子と花音のお陰だよ」
綾乃が勘違いで振られた後遺症で不登校になり、葵が洵に学校の屋上で怒りの制裁の腹パンを食らった後、関係修復に花音と摩子と葵で綾乃の家に尋ねてくれなければ、結末はきっと変わっていた。花音が嬉しそうにしてから、主の言葉を綾乃に伝える。
「お二人は魂で惹かれ合っていると主人が言ってました」
「そう言われると何だか、照れるな〜」
えへへ、と綾乃が照れると
「ーーー輪廻の輪を廻っても、お互いに求め合う運命だとも」
「それは流石に言い過ぎじゃないかしら」
摩子が言うと、心菜が口を挟む。
「浪漫があって良いじゃん。私、そういうの好きだよ。私もそんな恋がしてみたい!」
「心菜の恋人は、キッチリ俺等でお眼鏡叶うか見てやるから安心しな」
「ハードル高いから挫折案件不可避だけどね」
フフフ、と晃と智也が腕を組んでポージングする。
「今から絶交しといた方が良い?」
「泣くぞ」
「っと、二人共そろそろ行かないと」
智也が壁に設置された時計を見て時間を気に掛ける。
「あー⋯そうだった」
「牙王会の人に会わなきゃね」
「何だっけ、人狼の夏の甲子園がどうの言ってたヤツ?」
葵が尋ねると3人は頷いた。ものの、全く嬉しそうになく、暗い表情を見せている。
「いやー参加申請したのに何のミスがあったのか分かんないんだけど、晃が参加不可って返信が返ってきてさ」
洵が、思い当たる節がある事に気付かれぬ様に目を細める。
「何で俺だけ参加不可なんだよ!」
「落ち着きなよ、今からそれを聞きに行くんでしょ」
人狼の夏の甲子園ーーーもとい、牙王決定戦、バトルロワイヤルに参加を申請したはずなのに晃だけが参戦不可能という波乱の満ちた幕開けとなった。




