For Whom the Bell Tolls 51
二宮十四郎
日本神話に纏わる血統の生まれに育ち、代々『皇』を冠する一族を守護する。
皇とは日本創生神話に纏わる直系の者達を指す。陰陽省庁の中でも皇族守護役として別部署として位置付けられており、発言権は晴明と同等に扱われる。呪術轟く1960年から1990年。特に苛烈を極めた1980年代、皇族を守護する為、水蓮と共に呪術師を悉く返り討ちにした逸話を持つ。鳥人のロボットがビームを射撃して来たのでそれらをジグザグで回避する。避けきれないものは十四郎が刀で斬り伏せると、ビームが二つに裂けて後方で爆発が起こる。
「真っ向勝負とは面白いじゃないか!」
後背部のエンジンを吹かせて、ロボットが急発進し、銃を捨てて背中に置いてある斧を取って大きく振りかぶる。その刹那、コクピットに鼠の鳴き声が聞こえる。鼠が可愛らしく、首を横に振る仕草をするも、鳥人は鬱陶しそうに呟く。
「どっから入り込んだんだ。邪魔をするな!」
手で掴もうとしたものの、慌ててコクピット内を逃げ回って最終的に、鳥人の顔に張り付く。
「この!いい加減にしろ!」
それを顔から剥がした時、いつの間にか、十四郎がスポーツカーから姿を消している。気づけば宙に滞空して刀を振りかぶっている。鳥人も振り上げた斧を振り下ろすも、剣閃が迸り、ロボットの斧がパラパラと落ちる。ズシンと音を立てて埃が舞い、また刀を振るうとロボットの胴体が吹き飛ぶ。コクピットが丸見えになり、目の前に十四郎が鳥人を見下ろしている。
「一体何だよその剣は!!」
「凄かろう、神より賜りし奇跡の一振りである」
十四郎は褒められて嬉しかったのか、上機嫌で刀の横で頭を打ち付け、昏倒させるとロボットが消えて、二人共地面に落ちる。真備が
上機嫌の十四郎に呆れて、言及する。
「斬らんのか」
「斬る程の価値もありますまい」
「お主はもう少し呪術を併用せよ。持ち前の肉体強化術式と天羽々斬一辺倒ではいつか身を滅ぼすぞ。」
鼠が十四郎の頭の上に乗る。
「承知しております」
真備が方陣を消すと、鼠も見え失せた。
「故に我を呼んだと言いたげだな。まぁ言い。それよりここから先の問題の方が遥かに問題よ。あれを見よ」
黒い靄が空を覆っていく。
「何が始まろうと言うのですか」
「分からぬが、とんだ化け物が生まれようとしておる。用心せよ」
二人は青年を放置して、黒い靄の発生源へと走り出した。




