2 魔法
目が覚める。普通の朝だ。手元に夢の中で手渡された黄金の剣。黒髪の少年 ジーク・アルバートは夢の内容が本当だったことを理解する。
「とりあえず、この目立つ剣をどうにかしないとな……」
そう考えるているとふと、耳にあの甘い声が触れてきた。
「ふふっ、起きた?おはよう」
「えっ?アテナ様!?」
「この剣は私の一部と言ってもいいようなものだからね。その剣を使って私の実態を生成してるの。びっくりした…?」
「それはもう驚きましたが…何か用が?」
「うん、あまり目立たないためにもその剣は人前にはあまり出さないほうがいいじゃない……?そこでその剣を世界から“隠蔽”する方法だけ教えに来たんだ。」
「隠蔽…?」
「簡単に言えば他の人たちに気づかれなくなるって感じかな。ちなみに剣だけじゃなくて自分にも使えるよ」
魔法のセンスがないのか魔法をまったく使えない俺は興味津々だった。
ただ…
「俺、魔法が使えないので無理かもしれないです…」
「使えないからこそ、だよ?」
「え…?」
「魔法が使えないってことはこの世界の神からの干渉を受けてないってこと。だから私は君に直接加護を与えることができたんだよ。そしてその加護を得た君には私が持つ魔法を使うことができる。」
「つまり俺も魔法が使えるように……?」
「もちろん」
「……」
目の前の美少女の笑みを前で涙を堪えきれず俺は涙を流してしまう。
…この世界では誰もが魔法を扱うことができる。俺以外は、だが。
故に俺は常に周りよりも劣っているという感覚を味わってきた。
幸い、俺の周りは優しい人たちが多いからそれほど辛い思いをすることはなかったが、それでも他者からバカにされたりはしたものだ。
それでもいつか魔法が使えるようになると信じて。そして魔法が使えなくとも自分という存在の価値を見出すためにも、俺でも扱うことができる剣をひたすらに極めた。
その努力が実ったような気がして一気に気が抜けたのか、これまでの苦労を吐き出すように涙が溢れてきたのだ。
そんな俺をみて女神は困った顔をして
「えっ?どうしたの!?」
「いえ…俺も魔法が使えるようになるのかと思うと、つい…すいません」
溢れる涙を必死に拭う
「そんなに魔法が使いたかったの?なら、ほら。教えてあげるから」
そうして少女はジークの手をとる。
「いい?最初のうちはこうやって剣に手を添えて、魔素を流しながら…“隠蔽”っていうの」
「…隠蔽」
緊張しながらも、勉強はしていた魔素の扱い方を思い出しつつ呪文らしき言葉を唱える。
すると、目の前の黄金の剣は無数のポリゴンと化し消滅…?したように見えた。
使えた。本当に魔法が使えてしまった。そんな喜びに身を震えさせる。
「よくできたね。さすがだよ」
「これ…戻せるんですよね…?」
「もちろん。戻すときは簡単だよ。戻したいものを頭に浮かべて“解除”っていうの」
「解除」
するとまたポリゴンが何もないところに集まりだし、黄金の剣が姿を現す。
「こんな感じかな。ほかにもいろいろ使えるけど、それは君が頑張って獲得してね」
「獲得と言っても手掛かりがないと厳しいと思うのですが…」
いきなり無茶なことを言わないでほしい
「言われてみればそうだね。じゃあ、これ。あげる」
そう言って手渡されたもの…それは、一冊の本だった。
「君が欲しい情報はここに書いてあると思うよ。魔法だけじゃなくてその剣の使い方もサービスしてあげたからね。ここまでやってあげたんだから、期待してるよ?私たちもここが消えたら困るんだ。」
そうしてアテナ様は消えてしまう。
それにしても、「たち」か。まぁそこは今気にすることではないと思う。
こうして魔法が使えるようになった俺は念のため本にも隠蔽をかけ、またいつもと変わらない日常を実行しに行く。
変わったのは俺にも魔法が使えるようになったことと、役目ができたこと。
俺の暗躍劇がここから始まる。
見返してみると読みにくいところとか素人丸出しの部分ばっかり。。。
精進しますのでお許しを。。。
暇な時に更新するので不定期です。