第6話「破壊と創造と維持」
ことねがことはのところでバイトを始めた。そこから少したったある日、二人でとなり町へ物を仕入れに行っていたその帰り。
「ことはさん。どうして私も連れていったんです?交渉とか仕事をしてるときに観光させてもらってましたし…」
「ことねちゃん、となり町とか全然知らないでしょ?今後のためにもなると思ってね。おや、ことねちゃん。あれをみて」
ことはの指差すところには一匹のスライムがいた。「スライムだ。やっぱりいるんだ。異世界だし…」
そういいながらことねがスライムを触れようとすると。
カポッ とことねの手にくっついた。
「えっ!?なに?!もしかして…補食されてる…??!」
ことねはスライムを剥がそうとしてるが全然離れなかった。すると…
「こらー。離してあげなさーい。」と言う声がした。その声にしたがってスライムは離れていった。声の方をみると小さな女の子がいた。
水色の髪?に王冠を被った少女をみてことはは恐る恐る言った。
「その見た目…スライムを従わせる感じ…貴方もしかしてスライムクイーンかしら?」「いかにも!わたしがスライムクイーンのくらたんであーる!!」
「スライムクイーン??」
「ことねちゃん、スライムクイーンっていうのはこの辺りのスライムを生み出す母体となるモンスターのこと。本能のままに生きていて気分によっては人を×××する恐ろしいやつなんだよ…!」
「何それこわっ。そんなのがなんで討伐されないの?」
「普段はなにもしてこないし体力が凄くてどの攻撃も通じないから倒さないんだって。一応監視はあるらしいけど。」
「おなかすいたー。何か食料を恵んでくださいー。」
「じゃあ、さっき個別に買っておいたりんごを一つあげよう。」「うおーりんごー。」
お店に帰ってきて、しばらくの休憩をし始めたなか、ことねがことはに聞いた。
「それで、前に言ってたKundkoとのことについてなんだけども…」
「やっぱり聞いちゃう?えっとね…まず私とKundkoは昔いた世界でサポートしていたの。その世界は勇者と魔王がいて、戦ってたら色々あって全てが無になったから。責任を背負ってこの世界に一人で店でも開こうかなって…」
「…いや、待って!?え…?前にいた世界で私がKundkoに聞いた話なんだけども…?同じ世界でいたってこと…?
………色々言いたいことあるんですけど…とりあえずもうしばらくは保留してもらってまた今度改めてゆっくり聞きますね…」
「あ、うん。ごめんね。また分かりやすく私も言えるようにしておくから。」
こうしてことねが帰っていったなか、ことはは考えていた。
(やっぱりことねちゃん覚えてないんだな…Kundkoも中々にひどいことするよね…まさか元の記憶を閉じ込めて何も知らないままの純粋な幸せを感じていることねと言う存在を作り上げるなんて…その場のあれでバイトさせてもらってるけど…このままいったら…元のことねに戻るかもしれないな…)
この世界は創造されるか…破壊されるか…それとも現状を維持されるか…らしい。