桜の恋の物語 【フラワーフェス企画】【初恋企画】
「葉桜の季節」
桜なら来年もまた咲くよと
あなたは言う
けれど
来年もその木の下であなたが
私に微笑みかけてくれるかどうかは
わからない……
だからこそ
散りゆく薄い花びらを
見つめながら想うのは
幾たび季節が廻れども必ず桜が咲くように
いつもあなたの隣には私が在りますように
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「桜の手紙」
制服の胸のボタンを下さい
そう告げたあの木の下が
教室の窓辺からよく見える
あなたはいないけど
金色に光るそのボタンは
私の掌の中にあって……
お元気ですか
桜吹雪が綺麗です
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「桜色の想い出」
桜吹雪の舞う木立の中
彼女は愛おしそうに
ピンク色の空を見上げていた
頬を桜色に上気させ
彼女は何を想っていたのだろう
声をかけようとして
何故だかそれが出来なかったのは
彼女の薬指のリングのせいだった
あれから一年
彼女はまた同じ場所で
ピンク色の空を見上げていた
薬指のリングはなかったけれど
それでも愛おしそうに
ピンク色の空を見上げていた
声をかけると
彼女は桜が咲くようにほっこりと微笑み
そして泣いた……
それから毎年、春になると
僕たちは一緒に桜色の空を見上げている
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「桜の樹の下で」
さいた さいた
桜が咲いた
おどれ おどれ
輪になって踊れ
春風に舞う花びらのように
薄桃色の空の下で
本作は、2020年・ちはやれいめい様主催「フラワーフェスティバル 2020!」企画、2023年・武頼庵さま主催「第3回初恋企画」参加作品です。
参加させて下さったちはやれいめい様、武頼庵さま、お読み頂いた方、どうもありがとうございました!