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たまには魔王も旅をする  作者: きげん
3章 魔王と守護者の切なき愛情
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アジトへ浸入

 ルイスとイリアはカコン湖へと到着して、周りの様子を窺っていた。


 幾ら後続としてバレック達が来るとはいえ、全く無警戒に突入する程愚かではなかった。


 かなり大きい湖なので、何処に入り口があるのか分からないので不用意に近付かないように慎重に探る。

 半周程した所で、地下へと続く洞窟の入り口を見付けた。


 「あれがそうみたいだな」


 「ふふん、久しぶりに腕が鳴るわね」


 「いや、相手は盗賊だから手加減は必要だと思うよ?」


 「はぁ、なんかたまには大暴れしたいわね」


 「ははは……イリアが暴れたら街一つ無くなるんじゃないか?」


 「失礼ね! アタシが怪獣だって言いたい訳?」


 「い、いいえ、違います。とても強いのでただの比喩です」


 「ふん」


 これから盗賊と戦うというのに、まるで緊張感のない二人ではあるが、それでも周囲への警戒を微塵も怠ってはいなかった。

 特にルイスは緑風(ジン)の遣いの強さをシャンデルで聞いていたので、油断をするつもりはなかった。

 その団を纏めるリーダーの強さは、クロックベルンのベテランの聖騎士に匹敵するとさえ言われていた。


 「それじゃあ、中へ入るけど慎重に行くぞ」


 「えぇ。罠があるのは確実だしね」


 洞窟内へと入ると一気に気温は下がり肌寒さを感じる。

 地下で湖が側にあるという事で、中は予想以上に冷えていた。

 一応、中には松明代わりのリオメタルがちりばめられており、盗賊のアジトとは思えない程に星空のようなきらきらと輝いた通路になっていた。


 「なんだか、盗賊には似合わないくらい綺麗なアジトね」


 「あぁ、ちょっと幻想的だよな」


 あっちこっちに空洞が広がっており複雑な洞窟の構造ではあるのだが、リオメタルのせいで道筋が分かってしまう。

 何故なら、リオメタルが飾られているのは一本の道のみで他の道へ続く空洞にはリオメタルの一つも見えない。

 さすがにこれは罠というより、迷わないようにする為だけの事なんだろう。


 「隠れる気は……無いみたいだな」


 「なんか、やる気が沸いてこない演出ね」


 警戒しているのが馬鹿馬鹿しくなる程に、何のセキュリティも考えてないアジトに二人の気分は少しだけ萎えた。

 それでもジェイルの事もあるので、慎重にゆっくりと様子を見ながら音を立てないようにして進んでいく。


 暫く歩いていくとようやく奥の方に拓けた場所があった。

 気付かれないように中の様子を二人は覗いてみる。


 十五人くらいだろうか、盗賊の集団が各々武器の手入れや手合わせや休憩やらと好き勝手に行動していた。

 その様子を見て二人は首を傾げる。

 一向に罠を張っている素振りもなく、ルイス達が来る事を想定している感じがない。

 それを悟られないように自然にしている可能性もあるが、この期に及んでどんな罠があるというのだろうか。


 「うーん、全く分からないな。無警戒にしか見えない。罠を張って自然を装ってるにしても、もう少しぎこちなさや緊張感があっても良いと思うんだけどな」


 「本当ね。なんかただの盗賊の日常を見にきてるだけじゃない」


 「ここまで来たら突撃してみるか?」


 「そうね。じっとしてたらバレック達も来そうだしね」


 決心してルイスとイリアは、盗賊達の居る空間へと飛び出す。

 すぐに盗賊達が反応して、こちらを警戒するように訝しげに観察している。


 「急な客人の来訪だな。あんたら、ここに何の用だ?」


 黄緑色の髪の男が威圧するように言ってくる。

 洞窟内が寒いだけあって、盗賊にしては着込んだ衣装だが動き易そう材質である。

 所々に見える肌には多くの傷が刻まれている。

 体格は身長は百九十近くありそうで、痩せ型な為華奢な感じに見えるが、筋肉はしっかりとついている。


 「アンタ達の悪事はここまでよ!」


 「はぁ? 何の事だよ?」


 「二年前にアダインの守護者(ガーディアン)を殺したのは、お前らだろ?」


 「何の事だ? 知らねぇなぁ?」


 「ふん、しらばっくれても駄目よ! 容赦しないんだから!」


 「まいったな……こりゃ」


 ルイス達はゴルドの策略とも知らずに緑風(ジン)の遣いとの戦闘が開始される。

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