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プロローグ

声が聞こえた。

・・・様な気がしたんで、思わず周りを見た。ここはオレの部屋。誰も居るはずが無い。鍵もかかっている。ジジィがドアの向こうから久しぶりに説教でも始めた訳でも無いようだ。人の気配が無い。そもそもこの時間、ジジィは寝てるはずだ。


気のせい。

これがオレの結論だ。


『・・・の・・・が聞こ・・・か?』


また聞こえて来やがった。気のせいじゃない、のか?しかし聞こえ方が変だ。耳じゃない。説明が難しいな・・・脳ミソに耳があるような感じって言えば解るかな?解らないと思う。


現在、夜の3時。昨日を完全に見送る時間帯。この時間帯、世間では真夜中の部類に入るだろうが、オレにとってはゴールデンタイム。ネトゲーの世界にはオレと似た生活を送ってるヤツら(全員とは言わないが)が現実を忘れるために集まっている。

いや、ネトゲーでの出来事か現実になっていると言っても過言じゃない。

どっかの国のヤツらがこの国の人間を拉致したニュースより、パーティー組んでるヤツらが一日でも休めばそっちの方が気になるし、どっかの国が戦争を始めて何千何万と人が死んだってニュースより、パーティーの誰かがネトゲーから去って行く事の方が悲しい。


『この声・・・聞こえるか?』


・・・またかよ。

不思議と恐怖感は無い。

「誰だ!」

試しに言葉を返してみた。

『声が聞こえる様だな。誰か?と聞かれたら“私”と答えるしかないな。』

今度は鮮明に聞こえた。

「私?何だそれ?」

『私は私だ。そちらでは“神”とか名付けているらしいがな。』

・・・は?“神”?最近は“神”が大安売りされている見たいだが、幻聴にまで神降臨して来やがった。ゲームのやり過ぎかなぁ。


『ゲーム、とは今お前がやっている物か?』

「何でオレの考えが解るんだよ!」

『何で?と言われても解るものはしょうがない。ではオマエに問おう。何故、呼吸しているのだ?それは無意識の行動であろう?そのくらいの事だ。』


呼吸レベルで心読まれたら、たまったもんじゃない!


「その“神”がオレに何の用だ?」

『用が無くては話掛けてはいかんのか?』

「“神”ってのはヒマなのか?」

『ヒマ?ヒマとは何もする事の無い時間の事だな?』

「そうだ。オレなんかに話掛けるより、教会とかそっちの方の人達に話掛けてやれよ。嬉しがられると思うんだけどな。オレは話掛けられて“神”とか言われても信じられねぇよ。」

『キョウカイ?・・・きょうかい・・・教会!あぁ!こちらの声が聞こえるとか言う嘘つき野郎の教えを忠実に守ってやがる集団が建てた建物の事か!あそこにこそ用が無いわ!』


“神”の口調が少し変わった。


「嘘つき野郎って、“神”がそんな事言っても良いのか?」

『良いも何も、会話した覚えは無い!』


全世界が驚く事実をオレは手に入れてしまった。本当の事ならな。


「でさ、用も無いのに話掛けたのは解ったけど、オレは“神”に話掛けられてどうすれば良いんだ?」

『目的はある。』


なんか、絡みずらいな。


「目的?なんだよ?」

“神”とか言うヤツに目的を持って話掛けられるほど、オレは聖人では無いと思うのだか。


『オマエ、こっちの世界に来ないか?』

「こっち?こっちってどっちだよ。」

『今、私が居る世界だ。』

「は?」

『無作為に選んだ訳では無い。何と言うか、そっちの言葉で近い表現だと“素質”だな。オマエにはこっちの世界に来る“素質”がある。』

「“素質”?どんな“素質”だよ!?」

『頭の回転の遅いヤツだな。こっちの世界に来る“素質”と言ったであろう?』


それを説明して欲しいんだけど。正直オレは“神”とか言うヤツの言葉は信じて無い。


「そっちの世界に行くと何か良い事があるのか?」

『良い事、とは?』

「ネトゲーし放題とか、マンガアニメ見放題とか、食べ放題飲み放題とかだよ。」

『良く解らんがこっちでは皆が好き勝手に色んな事をしてるぞ。』

「ミナ?」

『そうだ。皆だ。』

「ちょっと待て!“神”って一人じゃないのか?」

『誰が決めた?そんな事。』


オレは言葉に詰まった。

『私の様な存在は沢山居るぞ。』


全世界が驚く事実を手に入れてしまった。本当の事ならな。


「つまり、なにか?そっちの世界に行ったら“神”になれる、と言うのか?」

『私達はそう呼んで無いが、そっちの世界のヤツらから皆そう呼ばれてるな。』


整理しよう。

オレは見知らぬ声を聞いた。

正体は自称“神”。

オレは神になる“素質”がある、らしい。

・・・どうやって信じればいいんだ?


「オレはいつでも“神”になれるって事か?」

『そうではない。“素質”があると言うだけだ。』

「どう言う事だ?」

『“素質”だけではこっちには来れん。“素質”と共に“条件”が必要になる。その条件は・・・』







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