開発区域、ホテル龍神~B1F大浴場~
「なによこれ・・・」
志穂はがく然としていた、ホテル地下にある大浴場に入ろうとしてお湯につかろうとした瞬間に大きな揺れがきて思わずお湯の中に潜ってこらえていたのである、上に天井が落ちてこなかったのは不幸中の幸いであろうか。
浴場からあがって散らばる風呂桶やシャンプー等を眺めて何がおこったか理解できずにいたが館内放送で、地震がおきたので避難するようにと指示が流れたのを聴き我にかえる。
「そうだ、真穂ちゃん確か街に出かけて来るって言ってた大丈夫かしら?」
妹の真穂の事を思いだして、脱衣所にいき急いで着替えていると端のほうからうめき声が聞こえる。
「きゃっ!?」真穂は小さく悲鳴をあげる、脱衣所の端にはどこかに頭をぶつけたのであろう、少量ながらに血を流して倒れている20代くらいの女性がいた、胸元のあいた大胆な服に髪は明るい茶色に染めていて耳にピアスをしていて今時の若い女性といった感じだった。
頭に新しいタオルを巻いてやり、声をかけるとすぐさま意識を取り戻す。
「いたた、なんなのよもう・・・」頭をおさえつつ呟く女性を見て一安心する志穂。
「大丈夫ではないだろうけど、とりあえずよかった」志穂が安心していると女性が「あんた誰?」と介抱している志穂を見上げる。
「私は志穂、稲道志穂、地震が起きたらしくてあなた倒れていたのよ」志穂が状況を教えると徐々に思いだして理解したのであろう、「うそでしょ!? なんてついてないのよ!」と叫ぶ。
「あ、志穂だっけ? 助けてくれてありがとあんたがいなかったらずっと倒れているところだったわ」ハッと我にかえり礼をいう女性。
「たてる? 隣接してる病院が避難所になってるってアナウンスが流れてたからそっちに避難しましょ」
「ありがとね、これくらい大丈夫へーきへーき、それより部屋に荷物あるからはやくとりにいかなきゃ、アナタは先に避難してて後でまた会いましょ」そういうと歩きだすのだったが、怪我していて放っておけないのと、この状況下で不安になっていたのでちょっとまってと、後についてくる志穂であった。