開発区域、ショッピングモール~始まり~
「へぇ~なかなかおしゃれなところじゃない、これならいくらでも買い物したくなっちゃうなぁ~」と、横目でちらちら勇をみる。
「あ、あのなぁ! いくらなんでも」、と喉まででかかるがいいだせずに言葉を濁しこう言うのであった。
「とりあえず、なんか食うか」
といつつ、たまたま目に入った有名な某チェーン店のファーストフードに入っていくのだった。
中に入ると、若い女性の店員が緊張した感じでいらっしゃいませとお辞儀をする、かなり練習したのだろうが標準語の中にかすかに訛りが感じられる。
「メ、メニューは何になされますかぁー」緊張して語尾が上がる店員、勇は俺も最初はこんなんだったなぁと、バイトしていた学生時代を思い出す。
「じゃあ、このオススメの限定の龍神バーガーのセットもらおうかな?」
「あ、じゃあ私も同じのお願いします」
真穂も勇と同じメニューを指差す、そこには黄色い文字でオススメとデカデカと書かれた実にバジルソースがうまそうなバーガーの写真が載せられていた。
「ほう、こんな田舎で地方限定のオリジナルバーガーに出会うとは思わなかったな、これだけでも来た価値があるってもんだ」
勇がそういいながら席にすわると真穂が少し笑いながら「なによそれー」と席につく。
「いやいや、俺にとっちゃ旅先でそこの限定ものに出会うのは大切な事なんだよ」といいながらバーガーを食べようとした瞬間ー。
ーズウゥゥンと、地鳴りがして激しい揺れがファーストフード店、いや辺り一帯を襲う。
「キャアー」 「うわー!」とパニックになった店内の店員や客の怒号が飛び交う中、同じくパニックになっている真穂の手をひきカウンターの下に潜りこむ。
そこにはさっきの店員ともう一人男性が避難していた、そして外からはガラガラと崩れる音と悲鳴が聞こえる。
揺れが収まったとき、勇は目の前の光景が予想通りでないことを祈りつつ(実際にはそんな事はないとわかっているが)カウンターからでて、目の前に広がる光景に唖然として「嘘だろ・・・」そう呟くのが精いっぱいだった。