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公園にて1

 真夜中というより、早朝に近い公園。

 目が覚めて、家の人たちを起こさないように、そっと外に出た。この時間帯に、この公園を散歩するのは、私の小さな楽しみだ。

 公園の中でも、とりわけ木々がたくさんあって人目のない場所が私のお気に入り。


 でも、いつもならとても落ち着いて安心できるこの場所は、この日から恐怖を思い出す忌まわしい場所に変わってしまった。


 ──誰か、誰か

 ──助けてあげて!


 薄暗い中、ナイフがきらめいている。


 ──やめて!


 黒猫が、あいつから逃れようともがいている。

 あいつは右手でナイフを持ち、左手で黒猫の首を押さえている。首を締められ息ができないのか、黒猫は苦しそうにもがいている。

 ビロードのようにきれいだったはずの黒猫の毛は、今は土がいたるところに付き、ごわごわとあちこち逆立っている。

 黒猫は、肢に巻き付いているガムテープを取ろうとやみくもにもがいている。前肢と後肢はそれぞれ、動けないようにガムテープで固定されている。

 声があげられないように、口にもガムテープが貼られている。黒猫の唾液がテープの端から泡状に出ている。


 あいつは血走った目で、それでも冷静に、黒猫のどこを斬りつけるかを考えている。

 黒猫のお腹をさすり、ねらいを定めている。


 ──お願い、やめて!


 私は必死で助けを願うが、怖くて叫べない。木の陰に隠れているだけで、黒猫を助けに飛び出すこともできない。ただただ震えて見ている。


 ──やめて!


 私の願いもむなしく、ナイフが振り下ろされ──

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