51.エピローグ
拝啓神様、手紙で失礼します。
ガラス瓶に手紙を詰め、木箱に詰め焼くと神様に手紙が届くと聞きました。
ガラス瓶の中には、手紙どころか焼けた灰すらも見当たらないそうなんです。不思議なこともあるものですね。
しかし連絡を取る方法がない以上、眉唾だろうと試してみることにしました。
届くことを願っています。
最後の事件から、何事もなく過ごしています。
魔物は全て倒しました。一人残っていますが、彼女は無害です。だから私が責任を持って育てます。
安心してください。
仕事の話はそれまでにして、私の近況を話したいと思います。
まあ平和な毎日ですが、大変でもありますね。
今は焼けた森を治したり、湖を復元する為に頑張っておりますが、沢山の客人が来るもので、中々進まないのが悩みです。
アンリエト嬢……王女様が姉妹を連れて学園都市へ来たり、疑われているのか捜査官を名乗る人間に付きまとわれていたりします。
少し偏執的な宗教国家があるのですが、そこの聖母と呼ばれる方にも付きまとわれています。
なんかお仲間から聞く所によると、奴隷にしてやると息巻いているようです。勘弁して欲しいですね。
それだけじゃなくて、昔の冒険者仲間や教え子達も何故か私の所へ来ました。
親離れならぬ、師匠離れが出来ないのでしょうか? そう思うと少し可愛く思えます。
ご覧の通り慌ただしい毎日ですが、それが気にならないくらい楽しくもあります。
それと、今度娘と旅行へ行こうと思っています。
和国というところなのですが、前世の私の国にそっくりなんです。
着物に似た衣装があるのなら、娘にプレゼントするのも悪くないな。と思うと、今から楽しみです。
ただ……みんなが付いて来る気まんまんなのが気になります。
家族旅行と言っているのに、無粋だなと少し憤りを感じますね。
なんとか説得できないか。むしろ黙って出てやろうか。こんな悩みもありますね。
それを察したのか、朝から弟子達やらアンリエト嬢達が訪ねてきます。
たまに聖母の知り合いなのでしょうか、ウルナと言う少女も訪ねてきますね。
誘惑してくるのですが、娘の前なので我慢しています。
聖母に「あたしのプライドはズタズタだよ―!」と泣き言を言っているのをよく目にします。
何を考えているのか最近良くわかりません。
今日も弟子達が朝から来ました。
珍しく、全員が家に訪ねてきています。とても賑やかで、騒がしいです。
まあ賑やかなのも嫌いではないのですが。
そういうわけで、私は楽しい日々を過ごしています。
楽しくも幸せな、第二の人生をくださった神様に感謝の意を。
貴女の忠実な下僕、冬馬改めトーマスより。
▼▼▼
「パパ―! 聖母さんまで付いて来るとか言ってる―!」
「はっはっは。家から叩きだしてやりなさい」
娘からの告発を受け、トーマスは筆を置いて部屋を出て行く。
しかし、手紙を書き終えてはいたので、手紙に封をしていくのは忘れなかった。
トーマスが笑ってーーしかしどこか圧力を伴いながら、聖母やアルベルト達を叩きだそうとしている時、トーマスの部屋に一羽の鳥がやってくる。
真っ白などこか神々しい鳥だ。
鳥は手紙を口に咥え、部屋の外へと羽ばたいていく。
鳥はそのまま、大空の遥か彼方へ飛び立っていくのだった。
Fin
あとがき
これで『変わり変わって新世界!』は完結となります。
ブクマをつけていただいた百四十と少しの読者の皆様、拙作をお読みいただいてありがとうございました。
素人が何も考えずに書き始めたもので、何回かエタりそうになりましたが、なんとか最後まで書き終えられて良かったです。
素人芸の域を出ない私の小説ですが、自分としては小説を書くということは、予想以上に楽しいものでした。
これからも長編や中編を書きたいと思います。
もしこの作品を見て、他のも見てみたいと思ってくれた方がいましたら、ぜひ次回作も読んで頂けると幸いです。
ありがとうございました。




