~あらすじ~ (ネタバレあり)
小さな会社でアルバイトをする少年サキチと少女ピナ。この二人はあるシステムを使い人の記憶の中に潜入することが可能であった。そのシステムはヘッドフォンと音楽を使い『ヘミシンク効果』と呼ばれる特殊な催眠状態にすることが可能である。ヘミシンク効果は記憶を『夢』として再現する。
その人工的な夢の中では『明晰効果』と呼ばれるもうひとつの効果により自由に行動することが可能である。その効果を使い、依頼者の記憶から断片を探し出し、探しものを見つける仕事をしていた。
そのシステムの開発者である社長はある日突然失踪する。
社長の失踪の原因は、このシステムにあると感じていたサキチは記憶の中で稀に出現する『アトラクタの箱』というものを探していた。アトラクタの箱には共通記憶の断片と呼ばれるものが入っており、それを組み合わせることで1つの記憶を蘇らせることが可能である。
このアトラクタの箱は過去の記憶に大きな『トラウマ』を持つものに現れやすくなっている傾向がある。トラウマを持つものはその自分に不利な記憶を消去しようとするからである。その防衛本能がアトラクタの箱となって形作られる。
アトラクタの箱を開けるということはその人物の過去のトラウマを呼び起こす可能性をも秘めている。
アトラクタの箱から記憶の断片を集めるサキチは遂に社長が失踪した原因を突き止める。そしてそれは自分が大きく関係していること知ったサキチは自分の記憶の中への潜入を試みる。そこにあったのは、
今までみたこともないような黒いアトラクタの箱であった。
これに手を伸ばし箱を開けた瞬間、過去の記憶が鮮明に蘇る。自分がパラサイト現象と呼ばれる中毒症状となりそれを社長が助けたこと、そしてそれが原因で社長は永遠に夢の中に閉じ込められてしまったこと。そして、同じく夢の中に閉じ込められその原因であるサキチを恨むナルという幼馴染の少女がいること。そしてあまりにも強力な記憶によって意識不明の重体となってしまったピナ。
社長を助けだしたサキチはこのシステムの破壊を提案する。破壊に賛成しピナを夢の世界より救い出す為に一同は再び夢の世界へと侵入するのであった。
なんとかピナを救い出し、現実世界に戻ってきた一同はシステムを破壊した。
二度とこのシステムを使わないことを誓って。こうしてサキチ達は日常に戻っていったのである。