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5章

 夕食の準備をする。今日もはりきってクッキング、といきたいところだが、あまりにも疲れていたので簡易かんいバージョンにする。


 袋ラーメンに、野菜炒めと卵をのせるという食事にする。一手間かけるのが、せめてもの抵抗だ。


「いただきまーす」

「いただきます」


 今日も当たり前のように幸恵がいる。当然のように食卓を囲む。


「亮ちゃん、七味唐辛子はないの?」


「ないよ。欲しいなら、自宅から持ってくれば? というか、袋ラーメンなんだから自宅でメシ食った方がうまかろうに」


 幸恵は美味しそうに食べてくれるが、いくらなんでも今日の料理は、他人をごちそうするにはいささか物足りない。


「いいの、いいの。作ってくれるなら、何でも美味しいから」


「タダ飯は何でも美味いとか、そういう理屈か。将来は立派な主婦になれるよ」


 スーパーの試食コーナーで、美味しそうに食べている幸恵の将来を想像した。店員は迷惑そうにしている。


「将来かあ……、ねえ明日が締め切りだけど、進路予定表は書いた?」


「そういえば、そんなのがあったな」


 音楽室で、姫野さんにも言われたことを思い出す。彼女は、俺に選んでほしいと言っていたが、あれはどういう意味だったのだろうか。


「何か考え事してる……。もしかして、好きな人のこと?」


「どどど、どうしてこの話の流れで、そういう結論になるんだよ!!」


「女のカン」


 はっきりと言われる。


「でもさ、亮ちゃんが何を選んだって、私はそれでいいと思うから。私は味方だよ」


 幸恵がラーメンの汁に、ご飯を投入する。


行儀ぎょうぎ悪いなあ」


「いいの、それが私の選んだ選択なんだから」





 食事を終えた後、まったりとくつろぎタイムが発生。だらだらとバラエティ番組を二人で眺めていた。


「はー、すっかりたくましくなったよねー」


「何だよ、急に」


「泣き虫亮ちゃんの面影おもかげはなくなったよね」


 昔のことを持ち出される。


「旅の邪魔になるからって、子供を一人で残していく親ってどうよ? そりゃあ、泣きもするさ」


「そうだよねえ、ウチに預けられた最初は、いっつも泣いてたからねえ」


 あの頃は確かにそうだった。そんな俺の手を引っ張って、一緒に遊んでくれたのは幸恵だった。


「あー、改まって言うのも照れくさいけど、ありがとうな」


「ううん、私の方こそ、今までありがとう。そして……、さようなら」


「え?」


「何でもない、忘れて」


 今の台詞せりふが何でもなかったかのように、幸恵はいつもの様子でテレビを見ていた。


 何か嫌な予感がする。けれど、それを具体的に示す証拠は何もなかった。



続く 

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