無機質であれ
ゆくえもわからずに、進む彼らは文句の1つももらさない。
どこへいくの?
それすら、きくことはない。
歩くことが、彼らの役割だから。
疑問の1つもあるだろう。
なんで、無意味に進むのか?
そんな、簡単なことすら聞けない。
聞くことの許可を得ていないから。
1人、また1人と人数がへる。
僕の後ろを歩いていた男性はいつ消えた?
どうして、消えた?
僕も消えたい。
隣の同僚の顔色を伺えば、無表情だった。
前をみて、規則的に歩く姿は、ひどく恐ろしかった。
彼をそれ以上見ていられなくて、目をそらた。
無意識に、表情がゆがむ。
辛いのは僕だけ?
どうすれば、やめれる?いつ終わるの?
頭の中がぐちゃぐちゃしていった。
恐怖が僕をさそう。
「いつ、終わるの…。」
そして、耐えられずに思わず口にしていた。
ぴたりと、足音が止む。
あんなに大勢がどうやって同時に止まれたんだろう。
僕は呑気にそんな事を考えていた。
やっと終われるんだろうか?
期待をこめ、顔をあげた。
「…え?」
みんな僕をみていた、
無機質な目で。
そして、理解した。
あぁしくじった―