キミの名は 3
そして時が立つこと、一時間。
外はすっかり真っ暗になっている。
ドアをノックする音。ドアの向こうから声がする。
母「クレハ!ご飯の時間だからちょっと手伝ってくれない?」
慌ててクレハは応じる。
クレハ「わっ!?分かった!ちょっと待ってて!!」
どうやら夕食の時間になってしまったらしい。
クレハは一息ついた後、部屋を出ようとしたそのときである。
ニャルルが突然、顔面に抱きついてきたのだ。
ニャルル「ごはん♪ごはん♪!!」
興奮した声でニャルルは言った。
再びヘブン状態になるクレハだが、今は急がなければいけない。
クレハ「えぇっと・・・、ごめんね!後から何か持っていくから、ちょっとだけここで待っててくれないかな?」
たとえ親の前であっても、クマさんを抱いていくわけにはいかない。
なぜなら、これ以上「女」みたいに見られるのはクレハは嫌なのだ。
だがしかし、クレハはトドメをさされた。
ニャルル「ニャッ・・・、ニャオー!!」
万歳をするかのように両手を上げ、甘えるような声でニャルルは言った。
その瞬間、ニャルルを強く抱きしめ、クレハは勢いよくドアを開けた。
そしてものすごい速さで階段を駆け降りた。
もうなにも恐れない・・・ と、誰かに訴えかけるかのように・・・
その後、親から生暖かい眼差しを向けられたうえに、
(やってしまった・・・、僕は、僕は・・・!!)
プライドを投げ出してしまったことを後悔し、
深い夜を泣いて過ごしたということは言うまでもない。