キミの名は 1
玄関のドアを開けた一瞬の出来事である。
クレハ「ふむぅ!?」
なにかやわらかいものがクレハの顔面目掛けて強く抱きしめた。
ただただクレハは突然の出来事に呆然とした。
???「キミに・・・、キミに会いたかったのさ♪」
陽気な声がどこからか聞こえてくる。
(とっ、とりあえず!!・・・)
クレハは、抱きしめる「何か」をゆっくりと引き離す。
(!?)
その「何か」にクレハは見覚えがあった。
ずっと、ずっと大事にしてきたクマの人形。
小さい頃、母から初めてご褒美に買ってくれたクマの人形。
???「クレハ♪クレハ♪ふふん♪ふん♪」
(えっ!?)
クレハは、心から驚いた。
声の主はどこぞ!?とばかりに、周りをキョロキョロ見回してみる。
だが、それらしいものはどこにもない。
だが、一つだけ言えることが・・・
クマの人形の口元がパクパク動いている・・・
どうやら、声の主は、このクマの人形であるようだ。
クレハは、心から驚いた。
もちろん、人形には最初から「話す」「動く」などといった機能など
一切、なに一つついていないだ。
(なのに・・・、どうしてこうなった!?)
クレハは、状況を飲み込めず、とりあえずクマの人形を抱きしめながら頭の中を整理する。
クマの人形は、愉快にクレハの腕の中でもぞもぞ踊り始める。
クマの人形「クレハだ♪クレハだ♪ふふん♪ふん♪ふん♪」
陽気な声で歌い始める。
それから、小一時間。夕日が沈みかけている。
ドアの前で座りこんで考えてみたものの・・・
意味がまったく分からない。
クマの人形は、今でも腕の中で、もぞもぞダンスをしていた。
(こっ、これは・・・!?)
そのとき、クレハに電撃が走る。
クレハは、思った。これが唯一でた答え。
(この子!?かわいすぎる!!)
目を輝かさせながら、クレハは思ったのであった。