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3 なんとしてもアイスクリームが食べたい

 朝日で目が覚めました。

 昨日は、ありえないくらい入眠がスムーズだった気がします。

 いつもより寝癖が付いてないし、髪の毛の指通りがいい。

 顔もすべすべしてる。

 不快な部分が一個もない。

 絹パジャマ、絹の布団カバーのせいでしょうか。

 高級化粧水や快適な気候のせいもあるかもしれません。

 さらりとしているのですが、全然乾燥している感じがしませんでした。

 私は乾燥肌なのに。


 絹は凄いな。

 そりゃ金持ちは絹に包まれて寝るわ。

 当然だわ。

 下着も何もかも絹がいいわ。

 分かる。正しい。


 この後、実際に絹製品を洗濯してみて初めて知ったんですけど、絹って確かに洗濯機では洗えないし、絞るのも厳禁でお手入れがちょっと特殊です。

 でもめちゃくちゃ乾きやすいから、布団カバーとかパジャマ程度なら陰干しでも半日で乾くんですよね。

 亜空間では私が望まない限り雨も降らないし湿度も一定だから、ただ物干しにかけておけば綺麗に乾いちゃう。

 自宅と違ってこの亜空間では物干しのスペースもたくさんあるから、干す場所がなくて困るなんてこともない。


 なるほど、余裕は全てを解決する。


 案外絹のお手入れは負担じゃなかったですね。

 一回くらいは使ってみたいと思って絹製品を出したけど、どうせお手入れが大変で、すぐに使わなくなるんだろうな……なんて思ってましたが、これはリピ確です。


 さて、こうしちゃいられません。

 今日は日曜日、明日からはまた出勤です。

 平日はゆっくりゲームを楽しんでいられないだろうし、今日中に家具は揃えたい。

 服も欲しい。

 物欲が止まりません。

 昨日、もう料理はしなくていいのだと判明しましたが、せっかく作り置きしたものを捨てるのは勿体なくて嫌なので、昨日作ったイワシの水煮にレモンを絞ってレタスを添え、ラタトゥイユと一緒に食べました。

 それから近所の美味しいパン屋さんの湯種食パンをカリっと焼いてあんずジャムを付けました。


 うーん、やっぱり美味しい気がする。

 私が作ったものですが、魚も野菜もちょっといいものを使うだけで、こんなにも違うとは。

 そういや、このゲーム始めてから不味いもの一回も食ってない。

 これに慣れたらいつもの生活に戻ったら辛いだろうなあ。

 ゲームは削除できない、消えることはないって書いてあったけど、レベルが上がると平気で前提条件崩してくるから、それも分からないよね。

 凄く便利なゲームだし、ありがたく活用するのはするとして、外での生活おろそかにしたらいけないよな。

 そうだ、このゲームがあるうちに家の冷蔵庫綺麗にしよう!

 中身出さないと掃除出来ないもんね。

 こっちの冷蔵庫に一時的にものを移したら一気に掃除出来るぞ。


 全てを知った今、この時の私の発想を改めて思い返すと、めちゃくちゃ庶民的で泣けてきますね。

 このゲームがなくなることなんてないのに。

 その時はこのゲームの本当の目的も真価も私は知りませんでしたから、まあ仕方ないんですが。


 とりあえず、今日は家具を揃えるぞ。


 まずは居間、ここには北欧調のコンサバな感じの皮張りのソファーを適当に置いていました。

 たぶんお高いやつなので、座り心地は良いのですが、このだだっ広い家に置くと直線的なフレームが馴染み過ぎて、個人宅っぽくないんですよね。大企業のビルの一階みたいで、ちょっとよそよそしい。

 念じてみると本当に消せました。


 うわ、便利。


 あれやこれや出してみて、一番しっくりきたのは意外なソファーでした。

 鋲がたくさん打たれている革張りのソファーで、丸みを帯びた独特な形をしておりミッドセンチュリー風というか、結構主張の強いタイプの家具です。

 しかも色は灰色がかった薄紫。

 家具としては結構攻めてる部類と言っていいでしょう。

 インテリアデザイン的に見てどうか、というのは個人的な好みがあると思うので分かりませんが、少なくとも私の目から見たら大正解でした。

 これしかない。

 それに、とにかくどこにぶつかっても痛くない、どっしりした形、巨大さが良かった。

 何より座り心地が気に入りました。巨大な家に個性的な感じが逆に馴染んでいます。

 こんなデザインの家具を最初から自分で選ぶのは私の性格的に絶対に無理です。

 とっかえひっかえ出来るからこそたどり着いた正解という気がします。


 出したもの自由に消せるって素晴らしい。


 そんな調子でフロアランプやチェア、チェストなんかを出して設置していきました。

 書棚とデスクのあるスペースに置くチェアはすっきりしたデザインの皮張りのキャスター付きのチェアにしました。

 これは老舗の国内メーカーの名作チェアで、昔ネットで見かけて欲しいと思ったものですが、実はもう生産されていません。

 今手に入るのはビンテージだけ。

 でもこのゲームでは新品が手に入ります。

 本来ならもう絶対に手に入らないものも手に入るというのは、このやばいゲームならでは。

 活用できて非常に満足でした。

 ダイニングに広い壁があったので、絵を飾ろうと思いました。

 どうせなら一般家庭ではかなりハードルの高いやつを。


 そう、今なら私はどんな絵でも飾れるのです。


 美術館に行かなければお目にかかれないような絵でも、それこそゴッホでもモナリザでも、おそらく本物と寸分たがわぬものが飾れます。

 そこで、以前友人と行く予定だったある画家の展覧会の事を思い出しました。

 結局、都合がつかなくて行けなかったのですが、その後図録だけ手に入れて「こんなに素敵な絵がたくさんあったのに」と後悔していました。


 絵を出しては消してを繰り返せば、あの展覧会がまるっと全部見られるって事じゃない?


 友人とお喋りしながら見ることが出来ないのは残念ですが、その代わり間近でしっかり見られます。

 さっそくマンションの自宅に戻って図録を取って来ました。

 そしてプロジェクターで映像を切り替えるように、壁に絵をかけて、消して、次の絵をかけて、それを繰り返しました。

 どれも素晴らしい絵でした。

 その中で、家の雰囲気に合ったものを一つ選んで飾る事にしました。

 雪景色の森の中、湖に張った氷の上で子供が遊んでいる絵で、実に様々な色が使われているのですが、遠目に見ると薄紫色に見えて、ソファーとの相性が良かったので。

 贋作のようで少し気が引けますが、私しか見ないし、これで金銭を得ようと思っているわけではないので、まあ許容範囲でしょう。

 この家は開口部が広く、窓の外の景色がインテリアみたいな感じの作りなので、広い壁は意外と少なく、絵を飾れるのはここだけです。

 定期的にこの展覧会再現ごっこをして絵を替えるのもいいかもしれません。


 ゲームの画面で確認したところ、たとえ作った後すぐに消したとしても、カウントはちゃんと稼げていました。

 意図したことではありませんでしたが、展覧会ごっこでかなりいい調子で進んでいます。

 次のレベルに上がるための条件「亜空間で1000種類以上のものを作りましょう」も案外すぐに達成できそうです。


 私だんだんこのゲームの楽しみ方が分かってきたかも。


 気になる展覧会で飾られていた絵をここに再現できるって本当に楽しいので、ほっといたらずっとこればかりやってしまいそうですが、でもそれは後で。

 家財道具を一通り揃え終えたので、次は洋服です。

 展覧会ごっこの次は自分着せ替えごっこというわけ。


 わはは、遊んでばっかり! 超楽しい。


 最近は忙しくてろくに服も買いに行けていませんでしたので、正直言ってめちゃくちゃ楽しみにしていました。

 この家には主寝室と繋がる巨大なウォークスルークローゼットがあります。

 大きな鏡も用意したので準備は万端です。

 そろそろ寒くなる時期ですが、手持ちのニットは毛玉が浮いているものしかないし、ダウンジャケットも色あせています。防寒具は待ったなしで必要になってくるので、まずはこれらを揃えることにしました。

 値段は気にせず、ハイブランドだろうが、出来たばかりの小さなブランドだろうが、古着だろうが、とにかくネットで見かけて気に入ったものを片っ端から出して着て、いまいちなものは消して、ちょっと迷ったものは残して、自分の体型と雰囲気にあったものを探しました。

 出してすぐに消せる上に、高い服を試着しても店員さんに気兼ねする必要もなく、しかも誰も見ていないので、普段なら絶対に手を伸ばさないようなデザインのものも気軽に試せたせいか、新たな発見がたくさんありました。

 意外と柄物のコートも着こなせるものだな、とか、原色も恐れずに着てみると案外似合うものが見つかったりするんだな、とか。

 そして、オリジナルが古着であっても、亜空間に出て来るのはあくまでも新品なので、防腐剤の匂いなどが気にならなくて助かりました。

 純粋にデザインだけを見て選ぶことが出来ます。


 楽しい。楽し過ぎる。


 お店で試着する時には売りものに化粧が付かないよう別に布を被ったりする必要がありますし、脱いだら痛まないように軽く畳んでおかなければいけないし、とにかく手間も時間もかかるんですが、今はそれら全て気にしなくて良いのです。

 自分には似合わないな、と思ったら即消せばいいので、服を脱ぐ手間も省略出来ます。

 畳む必要もない。

 棚に戻す必要もない。

 爆速でがんがん試着をしまくりました。


 結果、「ここのブランドならだいたい何を着ても似合う」というブランドを一つ見つけることが出来ました。

 ここの新作、これからは絶対チェックしようと思います。

 決して安くはないのですが、誰もが知っているハイブランドというわけではないので、なんとなく安心感もあります。

 国内縫製で丈夫そうです。

 ここで、シャツやパンツ、セミフォーマルなコートなんかを見繕いました。

 それから、ノルディック柄の可愛い厚手のVネックのセーター、ざっくりしたケーブル編みの白いカーディガンをゲットしました。

 ノルディック柄の方の値段を見て驚きました。


 え、こんな可愛い柄なのにお値段が可愛くないどころじゃない。

 中古車なら買えちゃうお値段じゃん、どういうことなの。


 慌てて商品の説明を改めて見てみると、全然知らない海外ブランドのハンドメイドニットでした。


 ハンドメイドか。

 なんか作りがしっかりしてるもんな。

 それにしたって高い。

 私が疎いだけで知る人ぞ知るブランドなのかな。

 ひええ、誰が買うんだ。

 いや、確かに凄く可愛いし暖かいからきっと富豪が買うんだろうな。


 ニットカーディガンは古着でした。

 男性用のようですが、元々そういうデザインなのか、かなり細身に作られていて女性の私が着ても違和感がありません。

 毛糸からしてちょっと普通と違うから、きっと高いのだろうと思いますが、値段は分かりませんでした。


 カーディガンについてる木のボタン、たぶんこれ手彫りだ。

 いつの時代のものなんだろう。


 とりあえず、真っ当な手段では絶対に手に入らないものだ、ということだけは分かりました。


 好きな物かつ、似合う物、ただそれだけを求めて値段を気にせず選ぶとこういう感じになるんだな。


 いつもはまずお財布と相談するので、こんなゲームでも手に入れなければ、これらの服は袖を通してみることすら出来なかったでしょうね。

 それからパンクスタイルで有名なブランドの、ど派手なブルゾンも手に入れました。

 がっしりしたスカジャンのような感じで、黒地に色鮮やかな鳥がデザインされたものです。

 これは似合っているかどうかは二の次で、完全に物欲だけで手元に残しました。なんだかとっても綺麗だったから。

 少しだけサイズが小さければ完璧なのですが、一番小さなサイズでも大きめでした。

 たぶんそういうデザインなんですね。

 派手なのに下品に見えないのが不思議で、着心地が良くて、もう好きが詰まっていたのでとにかく欲しかった。

 いいんです。

 たとえ似合っていなくても着たい服というのもあるんです。

 次に寝袋ブランドが他のブランドとコラボして出している新作のダウンが軽くて良かったのでそれもゲットして、これで冬の備えは万全です。

 ついでに、すっかり絹の魅力にはまってしまったので、絹製の下着も出しました。

 メリノウールの肌着も出しました。汗をかいても冷えないって素晴らしい。


 あとは何か、欲しいものあったっけなあ。

 そうだ、鞄!

 確か資産価値あるような鞄ってあったよね。私には縁がないと思ってたけど。

 えっと、なんだっけ……検索してみました。


 とんでもないお値段でした。

 私は俗物なので、こりゃ出してみるっきゃないな、と思いました。


 結構サイズのバリエーションがあるんだ。使うとしたらやっぱり一番大きいサイズかな。

 ワニ皮のやつが好きかも。


 出してみました。


 ……うん、はい。


 とても綺麗な鞄だと思いました。

 ですが私は庶民オブ庶民なので使われている素材が凄く良いものだとか、そういう事は全く分かりませんでした。

 それよりも、まず思った事は「肩に掛けられないと使いにくいんだよなあ」でした。


 それに重たい。


 肩掛けに適した形状のものは書類が入りにくそうだし、肩掛け用のベルトもなんか違う。

 何より、ちゃんとした服を着て、鞄を持って鏡の前に立っても全然似合ってないんですよ。悲しいほどに。


 豚に真珠ってこういうことを言うんだ。


 痛感しました。

 これは庶民が使うために持つバッグじゃないんだ、と。


 タワマンに住む富裕層の奥様が子供の名門校のお受験の面接に行く時に使うんだよ、って先輩が言ってた気がするけど、まじでそれ。

 つまりノットフォーミー。


 少し凹みながら、SNSを眺めていたら、使いやすそうなバックを見つけました。

 無理なく肩に掛けられそうで、革の風合いも好みです。


 いいじゃん。凄く好き。


 迷わず一番大きなサイズのものを出しました。


 あれ、凄く軽いってわけじゃないのにあんまり重さを感じないな。

 楽に持てる。

 裏地も綺麗。


 ブランドものに疎い私は気が付きませんでしたが、ロゴを見るとそんな私でも名前だけは知っているハイブランドのものでした。

 特徴的な金色のエンブレムがその証拠、いや全然分からなかったですけどね。


へえ、こんな普段使いに良さそうなやつも出してるんだ。


 鏡の前に立ってみました。


 あ、似合う。


 これです。私が探していたのは。

 これは買いです(買ってませんが)。

 資産価値があるというほど高いわけではありませんが、それでも十分に高い(私にとっては)バッグでした。

 よそ行きに使えるバッグが手に入ってうはうはでした。

 最近は通勤に使うバッグを友人と会う時にも、そのまま持って行ったりしていたので。


 通勤と言えば……


 今私は電車通勤なのですが、実は自転車通勤も可能なんですよね。

 私の職場は駅からやや遠く、周囲に狭い道がないため自転車通勤をしている人がそれなりに多いのです。

 運動不足も解消できるし満員電車に乗らなくて良いのが羨ましいと常々思っていました。

 満員電車は感染症のリスクもありますしね。

 でも雨の日は乗れないし、夏の炎天下でも乗れないし、そのためにわざわざ自転車買うのもちょっと……と躊躇していました。

 それに自転車って外に置いてると結構すぐに傷みます。室内で保管すれば長持ちしますが、場所がない。

 しかし、今はその全てが解決出来る。

 自転車は亜空間で保管すればいい。

 さっそく出してみました。

 有名なメーカーのクロスバイクです。

 ミントグリーンの塗装がちょっと目立ちますが、綺麗なのでよし。

 ちょっと高いけど買うならこれがいいなあ、と考えていたことがあるので、あまり迷いませんでした。

 一応他のメーカーのものや本格的なロードバイクなんかも出してみたのですが、やはり街乗りにはクロスバイクが良さそうです。

 ついでにヘルメットとライトも出して、海沿いにアスファルトで舗装された道を出して乗ってみました。

 いい感じです。

 自転車通勤用に職場に持って行っても違和感のなさそうなバックパックも見繕って、明日は晴れの予報なのでさっそくこれに乗って職場に行ってみようと思いました。

 そうこうしているうちに、もう外は真っ暗です。

 今は日差しの感じも外の世界と同期させているので、外の世界も今は夕方ということです。

 思わず熱中してしまいました。


 明日は出勤かあ。


 長くて短い濃密な週末でした。

 このゲームに出会ってからまだ丸二日しか経っていないのに、金曜日の夜に全裸に戸惑いながら、あれこれやっていたのが遠い昔のことのようです。

 夕飯を食べながら、不要な食器を消そうかと思い立ちました。

 昨日、旅館の朝食一式を出した時に一緒に出て来たお膳などです。

 そこで疑問がわきました。


 いや、待てよ?

 これってどういう判定になるんだろう。

 お膳を一式として出したんだから、要らない食器を消すと昨日食べた朝ごはんも一緒に私の中から消えちゃうってことかな?

 亜空間から出入りする時に食べたものについては自動的に帯同するって話だったけど、消した時はどうなるの?

 消化されてたら消えない感じか?

 消化されてなかったら?


 ……ていうか、今度こそ、食べたものでも消せるんじゃないの、もしかして。


 性懲りもなくそんな事を考えました。


 はっ!! そうか。


 私は気が付いてしまいました。

 好きなものを食べる、そして、それが消化される前に消す、そうすば……

 一昨日は辛酸をなめさせられましたが、今度こそいけるのでは。

 脂っこいものやお菓子を食べても消せば無罪!


 いいのかな、そんな合法食べ吐きみたいな。ちょっと病的なやつじゃない?

 実際の食行動と摂取カロリーがあまりにも釣り合ってない状態に慣れてしまうのは危険では?


 頭の中で警報が鳴り響きましたが、ちょっとやってみるだけなら、試してみるだけなら……

 誘惑に勝てませんでした。

 ドキドキしながらアイスクリームを出しました。今度はチョコのやつです。

 これこれ。食後のアイス、最高ですよね。

 疲れているせいか、本当に美味しく感じます。夢中で食べました。

 ほとんど食べ終わりそうになったところで気が付きました。

 胃の中からアイスが消えたかどうかなんて確かめようがないです。

 空腹状態ならまだ感覚で分かる可能性もありますが、今は食後ですし。


 危なかった。検証しなきゃしけないのに。

 口の中にアイスが入った状態で消してみて、口の中のアイスが消えれば成功した可能性が高い……かな?


 最後の一口で試してみました。


 今食べたアイス、消します。空箱も。


 空箱は消えました。しかし口の中のアイスは残っています。甘くておいしい。

 おいしいけども。


 え、なんで消せないの?


 慌ててゲーム画面を開いてみました。







 レベル4の達成条件:

 亜空間で作り出したものを消してみましょう。☑

 亜空間で1000種類以上のものを作りましょう。☑


 レベルが上がりました。おめでとうございます。


 レベル4:

 亜空間で作り出したものを部分的に消せるようになりました。

 例:飴の包み紙だけ消すなど

 ※なお、食べたものに関しては自動的に消去する対象から除外されます。お皿に残ったものなどは消えます。

 亜空間で作り出したものを現代の科学技術で可能な範囲でカスタマイズ出来るようになりました。

 例:テーブルのサイズを変更するなど


 レベル5へのレベルアップ条件:

 亜空間で作り出したものを部分的に消してみましょう。

 カスタマイズしたものを1000種類以上作りましょう。








 またかよ!


 やってしまいました。


 サイレントにレベル上がってた!

 知らないうちに!

 うそ、気付かなかったよ!

 さすがに1000種類なんてまだまだだと思ってたから!

 どんだけたくさん試着したんだ私! 物欲爆発させ過ぎ!

 食べたものに関しては自動的に消去する対象から外されますって、このタイミングで。


 少し冷静になって考えてみると「食べ残しだけを消す」という行為は「出したものを部分的に消す」という事が出来なければなしえないことなので、やはりこのゲームはかなり厳密に組み立てられていますよね。


 うん、まじでありがた迷惑なのよ、その厳密さ!


 私のアイスクリームへの執着もたいがいですが、このゲームとのタイミングの噛み合わなさもたいがいです。


 くそーくそー、ちくしょう。


 思わず突っ伏しました。

 何回やれば気が済むのでしょう。

 またしても、レベルアップのタイミングにしてやられました。

 二日と置かずに夜にアイスクリームを完食した成人女性が出来上がっただけでした。

 私がダイエットに関してずるい事を考えると絶対に失敗する運命のようです。


 でも、食べたものをなかったことに出来る、が可能になってしまうと良くないような……


 なんというか、「病む」気がします。これで良かったのかもしれません。

 そう思うことにしました。そう思わないとやってられないので。


 はあ、明日から自転車通勤頑張るか。


 不貞腐れながら歯を磨いて風呂に入って寝ました。







 さあ、ゲームを続けましょう!









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