14 さあ、ゲームを続けましょう!(完)
・既存の空間の複製やそのカスタマイズではない空間に知的生命体による文明圏を1つ発生させましょう。
つまり一から自分で宇宙を作って、そこに知的生命体を生まれさせ、さらに文明まで作らせようという……
絶対これ、めちゃくちゃ苦労するやつじゃん!
求められているのはたった一つ、それでもすでに私はこれがどれだけ難しい事なのか、すでに知っています。
詰んだかもしれん。
てか、なんでフレンドが大事か分かったよ。
これ、知的生命体の文明を発展させてる宇宙のサンプルをなるべく多く集めて、その宇宙の初期状態を観察させてもらって、複製に頼らず、それを再現する……みたいなのを繰り返さなきゃいけないんだ!
みんな必死で友達作るわけだ!
泣き言は言ってられません。
私は本来ソシャゲでの交流なんて避けるタイプの人間ですけど、積極的に交流しに行きました。
質問もしまくりました。
その結果、「宇宙の初期状態を作る時にこれらの条件を守るとこういう生命体が発生しやすい」という攻略法ならぬ、宇宙のレシピが出回っていることを知りました。
しかも快く教えて貰えました。
先輩プレイヤー達に感謝です。
創造ゲームでは友達や家族、創造主ゲームでは他のプレイヤー、やっぱり他者との交流は大事ですね。
本当にそう。
どんな時でも。
まあ、
※明確に「複製」を行わない限りは既存の空間と類似していたとしてもレベルアップのための実績としてカウントされます。
とあるので、宇宙の初期状態がいくら似ていようが、複製さえしなければ実績としてカウントされ、他のプレイヤーとのアイディア被りを恐れる必要はないからってのもありましたけどね。
ノウハウに沿っていくら初期設定を似せたとしても宇宙は大きくて複雑過ぎるので「複製」を行わない限りは絶対に誤差が生まれます。
その誤差で生命が生まれたり生まれなかったりする、その情報こそがめちゃくちゃ大事なんです。
みんなで試せば情報が蓄積されて、さらにノウハウが洗練されるというわけです。
なので、実際に空間を作った時のデータをプレイヤー間で共有する事だけは厳命されました。
厳しく言われたのはそこだけ。
いや、かなりガツガツ質問したから、私いけ好かない感じのプレイヤーになってたと思うんですけど、みんな親切でした。
話が逸れました。
知的生命体が文明圏を発展させている宇宙を創る……たぶん闇雲に作ってると一生成し遂げられないなって思って、目標を作ることにしました。
私が私の世界以外で一番明確にイメージ出来る文明圏はというと、そう、あなた達の世界です。
あなた達の世界を作ることを目標にしようと思いました。
創造ゲームの時からずっと思考ツールとしてお世話になってきたし、何より自分で作った世界だから愛着が湧いていました。
あなた方とお話出来たら、どんなにいいだろうって思っていたしね。
実際に作って存在させれば、それが可能になります。
それにレベルアップで困難にぶち当たるたびに助けてくれたから、きっと今回も助けてくれる、そんな確信がありました。
先輩方のレシピを参考に根気よく知的生命体発生チャレンジを続けていると、だんだんとコツが掴めてきました。
体感時間で1年近く経ったころですかね、ようやくあなた方の原型となるような生命を誕生させられるようになったんです。
それを毎回つぶさに記録して、少しずつ条件を変えて何度も何度も試して、文明社会が長続きするように……
大変だったんじゃないかって?
正直そこまでではなかったですね。
いや、苦労はしたんですけど、結構楽しかったです。
辛くはなかった。
自分の世界や自分が属する人類という種は、びっくりするくらいダメダメで、もう本当に何をやっても上手くいかないんじゃないか、って鬱々としてたから、全然違う世界に触れるのは息抜きになりましたよ。
何度もやり直して妥協せずに作りこんだことで、文明を発生させるためのコツみたいなのを学べましたしね。
体感時間で3年後くらいかな、ついに思い描いた通りの世界が出来ました。
今のあなた達の世界です。
嬉しかったなあ。
あなた方の世界はまさに思い描いた通りのものだったんですけど、ちょっと予想外なこともありました。
レベル6へのレベルアップの条件:
・既存の空間の複製やそのカスタマイズではない空間に知的生命体による文明圏を1つ発生させましょう。☑
※「既存の空間の複製やそのカスタマイズではない」の判断基準はレベル5と同様です。
レベルアップしました!
おめでとうございます!
レベル6:
・フレンド申請済みの複数のプレイヤーと同時にビデオ通話が可能となりました。
・運営が主催するイベントに申し込みが可能となります。フレンドを増やすチャンスです! 奮ってご参加下さい!
レベル7へのレベルアップの条件:
・既存の空間の複製やそのカスタマイズではない空間に知的生命体による恒星間移動が可能な文明圏を1つ発生させましょう。☑
※「既存の空間の複製やそのカスタマイズではない」の判断基準はレベル5と同様です。
レベルアップしました!
おめでとうございます
レベル7:
・ゲーム運営に対して問い合わせが可能となります。「お問い合わせはこちら」をご確認ください。
・複製元が自作の空間であれば、たとえ複製した上でカスタマイズしたとしても、オリジナルの空間であると判断されるようになります。
※レベル7へのレベルアップの条件を満たすために作成した空間を複製し、さらに文明を発展させて時間遡行が可能となるようカスタマイズを行った場合、レベル8へのレベルアップの条件を満たすことが出来ます。
レベル8へのレベルアップの条件:
・既存の空間の複製やそのカスタマイズではない空間に知的生命体による時間遡行が可能な文明圏を1つ発生させましょう。
※ここで言う時間遡行とは「タイムパラドックス」を発生させることが出来る、という意味です。
サブクエスト:
・邪神としての協力要請が来ています! 創造ゲームプレイヤーから4件 受注しますか?
創造主ゲームプレイヤーから3件 受注しますか?
・滅びゆく文明圏を救ってみよう!
・他の空間にアクセスして見学しよう! 見学可能に設定しているプレイヤー一覧→
※見学にはフレンド申請が必要です。
・他のプレイヤーの質問に答えよう! 回答募集中の質問一覧→
・イベント開催予定 一覧
ちょっと待って?
何が起きた?
一気にレベル7?
なんで?
あ、出来た文明が恒星間移動が可能だったせい?
完全にビギナーズラックです。
普通はこんなラッキーパンチは出せないっぽいです。
文明とかろうじて呼べるかどうか、みたいなすぐに滅んじゃうような未熟な文明を一つ作るだけだって大変で、そういう文明をいくつも作ってから、ようやく恒星間移動が可能な文明にたどり着くんだと思うんですけど、私の場合は創造ゲームの時にあなた達の世界を作りこんだのが功を奏したのか、なぜか高度に発達した文明がいきなり出来ちゃったんですよね。
ちなみに私のゲームの進行は今ここで止まってます。
レベル7です。
しかし、最初読んだ時はレベル8へのレベルアップの条件がマジで意味分んなかったんですよ。
タイムパラドックスが可能なって、時間遡行したら当然タイムパラドックス発生するでしょ、何言ってんの?
時間遡行って定義が難しくて、あんまり理解出来てないんです実は。
ちょうどレベルアップでフレンドとの交流手段が増えたから、フレンドに話を聞きまくってました。
それで私なりに解釈した結果を話しますね。
想像ゲームの時に時間遡行に制限が付いていたの覚えていますか?
そうそうレベル6の時の!
さすがよく覚えてますねえ。
他のどんな魔法も使えるけど、時間遡行は出来ないってやつ。
あの時は「アホなプレイヤーがタイムパラドックスで消えちゃったりしたら可哀想だから禁止してんのかな」って流しちゃいましたけど、もっとちゃんとした意味があったんです。
その意味の話をする前に、時間遡行について、確認しますか。
時間遡行って私の住んでる世界では実現してない技術なんですけど、物語の中にはたくさん登場するんですよ。
過去に戻って失敗をなんとかしたい、誰でも一度は夢見ることですから。
フィクションの中での時間遡行にもパターンがありまして……
その一、主人公が居る時間軸と同じ時間軸に戻るパターン、これはタイムパラドックスが発生するやつですね。自分の両親の出会いを邪魔しちゃって自分の存在が消えちゃったりするやつ。
その二、主人公が過去を改変した瞬間に別の時間軸、つまり宇宙が発生するパターン、これは主人公は自分が生まれた世界とは別の時間軸に居るってだけで、主人公が元居た世界は主人公が忽然と消えた状態でずっと続いていく。主人公が過去に戻って自分の両親の出会いを邪魔しても自分の存在が消えない、つまり、タイムパラドックスは発生しない。
実はその二のパターンは創造主ゲームで普通に再現可能なんですよ。
ほら、空間、時空って時間軸とほぼ同義だから。
まず自分が居る宇宙を複製するでしょ、創造主は自分が作った空間なら任意の時間にアクセスできるから、好きな時間を選んでゲームの力でそこに行けばいい。
ああ、自分の年齢もゲームの力で簡単に操作できますしね。
自分が邪魔なら自分を消した状態で複製したらいいだけ。
いや違うだろ、それは時間遡行じゃないだろって?
でもこれって、その二のパターンの時間遡行と起きてる事は同じじゃないですか?
時間を遡って過去の世界に行ったんだ、という意識で行うか、新たな時間軸、もとい宇宙を再現して好きな時間を選んで新たな宇宙に移動したんだ、という意識で行うか、の違いしかない。
その二の考えかたの時間遡行は創造主ゲームで出来るようになるけど、創造ゲームのレベル6ではまだ無理だった。
でも、ゲームが求めてる時間遡行はそれじゃないから、今回は「タイムパラドックスが発生するようなやつで頼むね」って注釈が付いた。
誰も求めなてないよ、そんな厳密さは! って思ったんですけど、時間遡行が可能な文明の出身者も普通にゲームに参加している可能性もあるんですよね。だからかな。
ちなみに、タイムパラドックスが発生するような形での時間遡行は、創造主ゲームの作成者の技術をもってしても本当に「まだ出来ない」んじゃないかと。
いや、出来るのかもしれないけど「安全に利用することが出来ない」んじゃないかと。
案の定、他のプレイヤーに聞いたら、次のレベルアップで、
レベル9へのレベルアップの条件:
・既存の空間の複製やそのカスタマイズではない空間に、間遡行が可能かつ時間遡行が発明され一般化した後も3000年以上存続する文明を一つ発生させましょう。
※ここで言う時間遡行とは「タイムパラドックス」を発生させることが出来る、という意味です。
って出てくるみたいなんです。
その人曰く、時間遡行の方法が発明されると、文明は百年ともたずに速攻で滅びてしまうそうでして。
しかもほぼ100%。
私が探した限りではまだレベル9になった人って居ないんです。
レベル8のその人が私が知る中では最もハイレベルなプレイヤーですね。
その人の予想では、レベル10へのレベルアップの条件は「時間遡行が発明され一般化した後も3000年以上存続する文明を100種類作れ」とかなんじゃないかってことでした。
時間遡行が発明されても滅びない文明を作れと。
しかもそれをいくつも。
わはは! いかにもこのゲームがやりそう!
まあ、100かもしれないし、1000かもしれないけど。
どっちにしろ気が遠くなりますよね。
最近知ったんですけど、そもそもレベル6に上がれる人ってかなりレアみたいです。
ほとんどの人がレベル5で停滞しちゃう。
こんな新参者にフレンド申請めちゃくちゃ来るじゃん! って思ってたんですけど、知的生命体による文明の発生した宇宙ってだけで見学する価値ありだし、さらに恒星間移動が可能になるまで発展してるとなれば一度は見てみないと……って感じらしいです。
まあ、正直気持ちは分かります。
私もあなた方の世界を見てすごく勉強になったしね。
たぶんあなた方の世界って物凄く稀有な文明の発達が上手くいってる世界なんです。
ね、ほら! 私に感謝してね!
そういえば、他のプレイヤー達の事は話していませんでしたね。
プレイヤーには本当にいろんな人が居ます。
外見も千差万別……
もちろん私と似てる人も居ますよ。「あ、私らの作者一緒じゃね? 作画が似てるもん」みたいな感じの人も。
……ええ、何も自分だけが特別なんて思ってませんよ。
私も誰かの作った「習作」なんでしょ。
てか、絶対そう。
「習作」どころか「失敗作」かも、シミュレーションのための「複製」かもね。
プレイヤー全員、それは自覚してると思いますよ。
けど、プレイヤー達、なぜかみんな感じがいいんだよなあ。
やさぐれ感ゼロ。
プレイヤー同士が揉めてるのも見たことないもん。
たぶんですけど、私も含めてプレイヤー達は創造ゲームをクリアする過程である意味、精神が神のそれに近いものになっちゃってるんだと思います。
神は言い過ぎか……そんな立派なもんじゃないですね。
少なくとも一般的な知的生命体とは異なる存在になっている。
物質的な欲望は全て叶えられる状態にし、さらに親しい人達の心配をしなくて済むようにしてあげて、そうして優しく真綿で包むように俗世間への執着をなくさせてね。
実際、私たぶんこの先かなり長いこと目的のために亜空間から出られない運命で、社会生活に戻れない予定なんですけど、普通にそれでもいいって思ってますもんね。
びっくりするくらい自然に。
目的を達成するまで千年でも二千年でも、ここに居ようって。
こう言っちゃうと悪いことみたいですけど、創造主業を後顧の憂いなく行えるように福利厚生が整えられてるってことでもありますね。
ちなみに、フレンドのうちの一人に邪神クエスト実績が飛びぬけて高い人が居るんですけど、その人ですら感じが良かったです。
なんで、そんな奴のフレンド申請受けたかって?
邪神クエストもすごかったけど、「滅びゆく文明圏を救ってみよう!」の達成数もすごかったからです。
話聞いてみたくて。
なんと、その人は自分の世界で初手から邪神プレイをかましたらしいです。
レベルが上がって邪神召喚が可能となる前から、自らが邪神として振舞っていたみたいですね。
そう、完全にやべー奴です。
邪悪な生き物作り出しまくって、人を殺しまくって創造ゲームのクリアまで漕ぎつけたって。
……そんな攻略法あったんだ?! って目から鱗でした。
なんかこの世の全てが嫌になっちゃったんだって。
実際、話聞くとかなりクソな世界で、こんな世界なら私でも邪神になっちゃうかもしれないって感じでした。
いや、まあ、やらんとは思いますけど。子供殺すとか無理だし。
その人の世界も私の世界と同じように、「このまま行くと確実に滅ぶ」世界だったらしいんですが、邪神としてその世界を蹂躙してたら世界がましになってきて滅亡回避出来たらしいです。
ついでにサブクエストの「滅びゆく文明圏を救ってみよう!」も達成しちゃったと。
で、邪神プレイが楽しかったから、サブクエストをなるべく積極的に受注するようにしてたら、いい感じにコツをつかんで、文明圏を存続させまくって今に至ると。
なんかもう笑っちゃうんですけど、本当の話。
そんなことあるんだ。
思った以上に邪神って世界を存続させるには強力なツールなんだって証明されちゃいましたね。
パズルゲームに行き詰まった時のシャッフルみたいな感じなのかも。
邪神クエスト達成数が凄過ぎるので確実にやばい人なんですけど、まあ私には無害だし、話面白いし、一番親しいフレンドかもしれません。
邪神プレイ楽しいよ! やろうよ! 邪神必要ならいつでも呼んでね。私上手いよ! って会うたびに言ってくる以外は普通ですね。
……いや、呼ばないですよ?
ただ、私も自分の世界を救うために、滅亡回避シミュレーションのためだけに自分の住んでる宇宙を複製しまくってるから、倫理観のぶっ壊れ具合は実はそう変わらないかもですね。
人の事言えた義理じゃない。
実際、邪神さんにもドン引きされてますから、あはは。
ええ、はい。
お察しの通り、私はあなた方の世界も無数に複製してます。
そしてカスタマイズしてます。当然。
いや、やるしかないでしょ!
こんなすごい文明圏は作ろうったって、なかなか出来ないんだから!
弄り倒してなんとか時間遡行させるまで進歩させる気満々ですよ。
……あはは、「やめろ!」って言わないんですね。
やっぱ、あなた方ってかなり寛容だし、理性的だよね。
ちなみに、あなたがこうして私に会いに来てるのは、複製&カスタマイズでそういうバージョンを私が作ったからですよ。
「篤志家が創造主の話を聞きに来る」バージョンをね。
これからはどうするのかって?
やる事が山積みです。
他の世界の見学、まだまだ足りてない。
これは絶対やらなきゃね。
そうそう、実は私の世界を救うルートを探るためのシミュレーション、実はまだ続いているんです。
「私が思いつく範囲での介入を全部試す」って条件にしたじゃないですか。
フレンドと話すたびに、他の世界を見学するたびに、シミュレーション結果が増えるんですよ。
あ、最近追加されたルートだと、私がこの「創造ゲーム」と「創造主ゲーム」で体験したことを小説に書いてるルートもありましたよ。
ははは、ギャグですかって感じ。
題名は何のひねりもなく「創造ゲーム」だって。
昔、そういうショートショート読んだことあるから思いついたのかな。
小説って大きな意味では他者への伝達、つまりコミュニケーションで、コミュニケーションが思った以上に未来に大きな影響を及ぼすって、このゲームで痛感したからかもね。
とにかくありとあらゆる可能性が今もまだ試され続けています。
たぶんフレンドと関わることで私が学習し、その結果「私が思いつく範囲」が少しずつ広がってるからですね。
これだけで交流する価値は十分じゃないですか?
それに純粋に楽しいしね。
レベル7まで上がってもQ&Aには変化なしです。残念ながら。
でも、このゲームの作成者の目的はなんとなく推測出来ます。
賢いあなたなら、もうなんとなく察しがついてるんじゃないですか?
私が世界を幾通りもシミュレーションする時に、自分の代わりに亜空間とか空間をどんどん作ってくれるノートPCを作ったじゃないですか。
私達プレイヤーって、たぶん誰かにとってのあのノートPCなんだと思うんですよね。
その誰かは、時間遡行を安全に利用出来るくらいに発展した文明をなるべくたくさん作りたいんだと思います。
でも全部自分でやるのは大変だし……そうだ!
今までに作った知的生命体にも手伝ってもらおう!
楽しいゲームの形にしたら、きっとみんな嫌がらずに喜んでやってくれる。
滅びに瀕した人達から選ぶことにしよう。
彼らは何もしなかったら滅びるんだから、別に何も失わないからね。
自分の世界を救うチャンスをあげて、あわよくばレベルアップを餌についでに発展した世界も作ってもらったらいいじゃん!
ってね。
だから、たぶんですけど、このゲームのプレイヤーは「知的生命体による文明が短命な宇宙の、これからまもなく滅びるっていう時代」から選ばれてたんだろうなって。
どんな文明も結局は滅びるって言ったらそれはその通りなので、明らかに問題があって悲劇的に滅びるって意味ね。
とりあえず、今まで交流したフレンド、みんなそうだったもん。
多くは私と同じく、世界を救いたくて頑張りつつ、ゲームのレベリングを進めている人達です。
それか邪神プレイを含めた介入を行って、当面は滅びない世界にまで持って行った人。
「これからまもなく滅びる時代」から選ぶ、まあ、分かりますけどね。
「今自分が居る世界は、何もしなければやがて滅びる」「レベルアップすることでそれを回避する方法が見つかるかもしれない」ってゲームのモチベーションはめちゃくちゃ上がりますもん。
え? ずっとゲームのために引きこもってて辛くないのかって?
まあ、ちょっと寂しいですけど、出られない理由があるんですよ。
私が外の世界に戻って私の世界の時計を進めると、もうそれだけでいろんなシミュレーション結果に誤差が生じちゃうもん。
これから、他のプレイヤーと交流したり、他の世界を見たりして何かアイディアが浮かんだ時に、前にやったシミュレーション結果が使えなくなるのって、もったいないし。
まあ、シミュレーションのやり直しは大した労力でもないけど、私が外に出て時計を進めたら、たったそれだけで、出来たかもしれない介入の芽を一つ潰してしまう可能性もゼロではないでしょ。
今まではかなり無造作に外の世界での時間を浪費しちゃったけど、思った以上に残されている時間は少ないから、このまま時間止めたまま、一気に解決策まで行くのが理想ですね。
しばらくは、亜空間に籠って、創造主ゲームのプレイに費やす予定です。
まあ、そんなに絶望はしてないですよ。
フレンドとの交流は楽しいし、亜空間に居れば、あなた達みたいに私の世界と時間軸を共有しない世界の住人となら交流も出来るし、友達も出来たしね。
そして、それが私自身を変え、私が変わればシミュレーション結果も変わる。
繰り返していけばいつかは打開策が見つかるかもしれない。
思えばずっとそうでした。
他者と関わること。
自分の中にない情報を取り入れる事。
他者のために何かしようと考える事。
ヒントはいつだってそこにある。
これからも続けます。
なんたってゲームだし、出来れば楽しんでね。
***
創造主はそう言って笑った。
「な……るほど、大変だな。頑張ってください」
としか言えない。
暢気そうに見えた、この二足歩行生物がそんな重い使命を背負ってここにいたとは。
「聞いてくれてありがとう」
長い長い話だった。
途方もない話だった。
あまりに卑近なところから始まったので、一体いつまでこれを聞かされるのか、と思ったりもしたが本当に世界の核心に迫る話になった。
辛抱して聞いたかいがあった。
「それにしても有意義な時間だった。これまで支払った対価に見合うものだった」
満ち足りた気分だ。
そう伝えると創造主は苦笑いした。
「序盤かなりクソみたいな話聞かせた自覚ありますけど、それ本気で言ってます? ……本当にあなた方は寛容で、抑制が効いていて、感心しちゃうな」
最後に一つ聞きたかった。
「そのゲームを作った存在は、どうして文明の発展した宇宙を作りたいんだろう」
答えを期待したわけではなかった。
ただ、目の前の、自分とは全く違うこの生命体がどのように考えているのか知りたかった。
「さあ……時間遡行によって滅びた高度な文明の出身者とか? 自分たちとは違う可能性を探って、やり直したいのかも……それか、さらに別のゲームをしてるとか? 案外、私達がせっせと作った空間が、別のゲームをプレイするその人のレベルアップのための実績になってたりしてね」
創造主は笑っている。
笑い事じゃないと言うべきか、それとも笑うしかないと言うべきか。
「あなたの推測が正しければ、こちらの世界にはプレイヤーに選ばれる者はいないわけだな」
少し残念な気もするが、文明の発展した今後長く存続する予定の世界に生まれたことをありがたいと思うべきだろうか。
「それがですね……」
創造主は一呼吸ついてから言った。
「事情が変わりまして」
「え?」
「最近、大型アップデートがあって、『フレンド招待』が出来るようになったんですよ」
フレンド招待?
なんだそれは。
「実はこれが本題みたいなもんでして。簡単に言うとプレイヤー自身が自分の作った空間から住人を選んでゲームに招待できるようになったんです。レベル7以上のプレイヤーに限り、一つの空間につき一人だけですけど」
「は?」
「たぶん、運営側もプレイヤー選びに苦労してるんだと思います。結局さ、これから滅びる予定の文明って未熟だし、そこの住民も結構ポンコツなわけですよ。私も含めて」
創造主は真顔で言う。
「でもあなたがたの種はめちゃくちゃ優秀だから、いいプレイヤーになれそう。自分の世界を救いたいってモチベはないかもしれないけど、それを補って余りある優秀さがあるし、特にあなたなんかは世界の真理が知りたくて、こんなところまで来るくらいだから探求心の塊ってことでしょ? モチベに不足はないんじゃない? 少なくとも創造主の私よりあなた方の方が見込みありますって! 自信持ってください」
「えっと、ちょっと待っ……」
なんだこれは?
もしかして勧誘されているのか?
「創造ゲームから始めることになるから、フレンド申請はクリア後に創造主ゲームのプレイを開始してからになるけど……あ、そうだ! 帰りの燃料ないんですよね? 創造主権限でサーチ済ですよ。燃料切れは創造ゲームで速攻解決するよ! ほらね、お得! やりましょう! さあさあ!」
勢いが怖い。
「攻略法もだいたい今私が教えましたし、たぶん創造ゲームは速攻でクリア出来ますよね?」
まさか、あの長い語りにそんな意図があったというのか。
「ね? やろ? このゲームは何のためにあるのかって? そんなの私に聞くんじゃないよ! このゲームでレベル上げして、あなたが突き止めたらいいじゃない! 一緒に頑張ろうよ。世界の核心に迫れるよ? そのために来たんでしょ? 私も穏やかで有能な人とフレンドになりたいんですよ。そんで相談に乗ってよー! 私の世界の危機を救ってよー! お願いしますよ」
「い、いや、そんな責任は負えないが……」
「ちょっと相談相手になってくれるだけでもいいから! だいたい私も最初の動機は安心してゆっくりゲームを進めたいから、だったんですよ。今は世界救うためにゲームしてるけど。私の世界が危機を脱したら、今度は私があなたの目的達成を手伝うから! あ、私一応運営に直接質問する権限あるし! レベル7だから! あなたが聞きたい事は代わりに私が聞いてあげられる。創造主に恩を返すと思って! お願いお願い……」
「ええと、そ、そうだな」
世界の真理を探究する。確かに、私がずっと求めていたことではある。
こんな形で実現するとは全く想定していなかったが。
「よし、決まり! はい、これ、私のフレコ、ここの画面のここをタッチして、そうそう」
さあ、ゲームを始めましょう!




