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第32話 感謝

「凄い、本当に勝手に動くんだ。」

 マグの機械は何かしらの動力があるらしく、操縦桿らしきもので操作をしている。ただ、この機械はマグじゃなければ使いこなせない代物らしく、本人が近くにいなければならないので自分で持ち運べる設計にしたと言われた。


「なんで動いてんだ?もしかして魔ほ……」

「違うよ。」

 即否定か……一応期待を込めたいじゃん。いきなりぶった切らないで欲しい。


「ほら、早く行かないとディッド君がイライラしだしたぞ。ボディブローは結構内臓に響くからね。」

 マグは一番普通の人格の所でディッドに顔面を殴るのをやめさせた。スロットマシーンみたいで楽しいとテンション上げ始めたので、宥めるのが大変だったな。ディッドレベルの破壊力が無いとマグのスロットは回らないらしいので、このまま暫くは大丈夫だろう。


「不思議ですね。本当に燃料とかは大丈夫なんですか?それっぽいものは持ってきてないですし、途中で調達するならどんなものか教えてもらえれば、私も探しながら行きますよ。」

 面倒見いいな、ラッキーは。ただ、もの凄い量の荷物を君は一人で背負ってんだよ。先頭を呑気に歩いてるアイツが仕事すればいいんだけどな。


「大丈夫だよ。夜に休む時に自分が充填すればいいだけだから。」

 よく分からないが所有者が責任持ってやってくれるなら問題ない。

「ラッキー!準備!」


 傍にいたはずのディッドの声が遠くから響く。一瞬でどこまで移動してんだよ……更にぐんぐんと遠くに離れていく。


「何かいるな、あれ何か分かる?」

 何となく分かったけど何かな?とラッキーに確認する。


「えーと、サーベルタイガーですね。5頭です。」

 そうだよな、あのバカ一人で突っ込みやがった。全頭デカいぞあの虎。大丈夫か!?

 まあ大丈夫か。一斉に後方支援に移る。


「まずこれを使ってみてくれないか。2頭が寄ってるのを目的にして貰えるかい?」

 マグがラックバードに鉄球を渡す。


「了解です。任せて下さい!」

 コンパクトに振りかぶった後、大きなストライド幅で全身の力を乗せる。ラックバードが力が余すこと無く伝える姿は、嫉妬に狂うほどに格好いい。俺の隣にはその姿に心酔している変態が現れている。良かったな、アイツがいたら今頃ぶっ飛ばされてるぞ。


 どストレートの鉄球が2頭の虎を割るように滑り込み、虎の身体に触れた瞬間。衝撃音と共に虎の身体は弾き飛ばされた。ん?不発か?


「さすが〜ラックくん〜はあぁ〜別格だねぇ〜………は、いかんいかん。

 ふう、今回の弾は殺傷目当てではなくて、捕獲や制圧用に開発したものなんだよ。大きな生物相手に実験しときたくてね。何でもかんでも殺せばいいってもんじゃないし、研究材料もほしいしね。」

 殺されなくてもその後実験で使い倒すのか‥…不憫だな、なんか共感してしまう。


 そんな中、先行していたディッドが先頭の一頭目の懐に沈み込む。

 おいおい、そんなに深い所に入ったら潰されるんじゃないか?そんな心配を他所に低い姿勢で脚の間をすり抜けた。刀の一閃と共に。



「うげぇ、内臓がズルズルはみ出してきてるよ。やっぱあのバカ、素直に刀で戦ってくれればいいのにな。」

 敢えて言葉に出した。何故かって?すぐ脇で竹槍用意してるデカブツがいるんだよ。同意してくれるかと期待したのだが、聞こえなかったのか?……いや、聞こえない振りしてんだろデカブツ。


「ディッドさん!速攻で連続です!」

 ナイス連携だな。マグ、ラッキー、ディッドに繋がる攻撃。素晴らしいね、俺入ってないけど。

 ラッキーが今度は竹槍をサイドスローで投げる。低く一直線にディッドに向かっていき問題無く受け取った。と思ったのだが、勢いを止めず竹槍の方向転換をする。スイングバイって奴か、ディッドの力を乗算して標的に突き刺す。


 この後丸焼きにするって感じに槍が身体を突き抜けてるよ……

 そしてそのまま次の標的の正面に移動した。回数を重ねる毎に動きが洗練されてゆく。続けざまに残り3頭も同じ様に串刺しにしていった。



「いいね!〈柱トリオ〉改め〈カルテット柱〉!やっぱこれだね〜!」

 そう、竹槍は4本になった。律儀に全部使うんじゃねえよ!悪ノリのレベルがホントに一緒だな。あの二人ぶっつけ本番でやってるんだと、この流れを。

 行き過ぎないように監視しないと……他人に見られたら何言われるか分からんからな。


「いいよねあの竹槍、ネオ青柱、ネオ赤柱、ネオ黄柱、茶柱って言うらしいよ。」

 俺が昏睡してる間にマグが作るの手伝ったんだろうな。てか、完全に早口言葉になったよ。しかも縁起物も付いてきた。どうでもいい。


「ちょっと羨ましくて自分もマーシーって名付けたんだよね。」

 マジでどうでもいい。



 やっぱダメだこいつら全員、精神年齢が10才くらいだな。俺一番弱いのにこんな奴らの引率しなくちゃいけないのかよ。いっそのこと学校の先生に転職させてくれないかな。そっちの方が素直に俺の言う事聞いてくれそうな気がするよ……


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