第3話 討伐スタート
最早崖と呼べる斜面。
生い茂り邪魔をする鬱蒼とした木々。
暗闇を湛える洞窟の穴。
その穴の目前に若干の平地がある。
そこにヒトガタと呼ばれるものが3体、それに囲まれるように青竹を背負った人型が確認できた。
「おいっ!大じょ……」
まだまだ遠目だが、声を張り上げたその瞬間…
それは正面に向き合っている魔物のヒトガタに竹槍を突き刺した、一瞬で5回ほど。
眼前の魔物しか目に入っていない人間に他のヒトガタは呆気に取られているように見える。
正直、後から追ってる人間も呆気に取られているのだけれど…
突き刺した竹槍をゆっくりと引き抜く。
その脇で身動きできず状況を認識しようとしているであろうヒトガタの一体が吹き飛ぶ。
(あいつ、蹴り飛ばしやがった)
そして、3体目に目をやると既に滅多刺しになっていた。
近づきすぎるのも怖いし、余り離れても俺一人では敵と対峙しても勝てそうにも無いので、洞窟の入口と俺の間にディッドを挟むように位置取る。
吹き飛ばされたヒトガタが穴に逃げ込んだと思ったら、奥から15体ほど、更に倍近くの体積を持つボスらしき個体が巣を攻撃された蜂のように溢れ出てきた。
(5体程って言ってなかったっけ!?)
ヤバイと思い撤退を含めて声をかけようとしたのだが……ダメだ、やる気を止められそうもない。しかも、ボスしか目に入ってない。
俺が死ぬ事さえも考慮に入れた時、手前に出てきてたヒトガタが突き刺され、叩き潰され、払い飛ばされ、殴られ、蹴られ、突き刺され、突き刺され………
(大分竹槍の使い方が上手くなってきたな。)
達観し、冷静に状況をみてる感じだが、実際は怖すぎて動けないだけだった。
少なくとも9体は戦闘不能になり、ボスの前に一本の道が開けた。
「‥……ふふふ。」
どうしよう、もうボスと一体一でやり合う気になってる。でもまだ5体以上普通の大きさのが残ってるんだけど。俺、一体すら倒しきれないよ!?
竹槍を振り上げボスに飛び掛かる。
その周りにいたヒトガタが巻き込まれ、盾となり絶命してゆく。
このまま行けば大丈夫かな?と思い始めた時。
「危ない!避けろ!」
俺は咄嗟に叫んだ。
ボスの長くしなる腕がディッドの死角からカチ上げてくる。
なんとか反応し、ガードを固める。
「うっ…」
ダメージは無さそうだがおよそ15メートルは弾き飛ばされた。
(良かった、大丈夫か。)
ひと安心はしたのだけど、ふと状況確認をしてみる。
…あれ?俺のほうが今ヒトガタに近くない…?
正に今、目標が俺に変わった瞬間だった。




