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第24話 総力戦

 どこまでも澄み渡る空の下、砂埃を上げ敵意を剥き出しにその群体は迫りつつあった。


「数の暴力か………本物の暴力を味わったらどんな顔をするのか楽しみだな。」

 まるで意に介さないとディッドは呟く。


「漏れた敵は私に任せてください。球の補充も問題ないです。一つ残さず撃ち落としてみせます!」

 自信満々で宣言するラックバード。すると早速散開し始めた敵に向かい仕掛け始めた。恐ろしいほどの投擲能力により、敵の姿見もはっきりしないまま、戦いの口火は切られる事になった。


「おい、我利勉!危ないから下がってな。どうせ研究ばかりしてて直接戦うなんてしたこと無いんだろ?」

 ディッドは細身の男、特殊機関の研究員だったマグに挑発気味に注意を促す。一体一体確実にラックバードが敵を減らしてるのだが、それでもまだ余るほど押し寄せてくる。


「腕力だけで語られてま困りますね。ラックバード君、コレを相手の目前に投げつけてくれますか?」

 マグは鉄で覆われた球体をラックバードに渡した。そして言われるがままに敵へ目がけ投げつける。


 凄まじい轟音とともに軽く20体は駆逐した。片眉を上げ感心するようにディッドが言う。

「中々面白いものを持っているじゃないか。ふふ、楽しめそうだな。着いてこい。」


「自分のいた特務機関は特に戦争用の研究がメインでしたのでね、おっとこれは極秘事項なので他言無用でお願いします。」

 飄々とした感じだった為、マグの言葉に信憑性は無かった。しかし、威力がすべて真実だと物語っていた。


「凄い、凄いです!」

ラックバードは自分の想像を越えた力に興奮が止まらない。


「確かに凄いがな、次は純粋な力という戦いの華を見せつけてやるとしよう。」

 ディッドはニヤリとほくそ笑み、  『チョット…』  敵に向かい   『ちょっとちょっとちょっと!』  勇ましく    『ちょっと待て!』



 事実を捻じ曲げるなよ!違うだろ?コイツ等こんなに劇画チックじゃねえよ。それに、いいか、もしこのまま話が続いていったとしよう。そうすると……俺の出番全く無くない?

 コイツ等がこの後何かしらの偉業を達成したとしよう。で、英雄フィルターかかって本にされたらこういう風になるかも知れない。でもさ、コイツ等はそんなご立派な人間じゃないだろ!!俺の苦労はどうなる?それどころか存在すら否定されそうじゃないのか?

 …そんなのは許さない。俺は真実を残すべく語り継いでいく、俺の中だけでもな!〈アルゼ 談〉


やり直すからな!



 今日は快晴だった。このままのんびり行きたいな、と思ってると、

「アルー、ヒマ。なんかやっつけるの探してきて。」

 まずお前の性根をやっつけたいよ。


「見てください!あっちに何か砂埃……群れで移動する………ミノタウロスです!」

 え、ミノタウロスって白昼堂々集団行動するんだ………まあ、半分牛だからそうなんだろう。目がいいラッキーが言うんだから間違いないしな。それよか、出たな奇跡の石効果。


「OK,殺ろう。」

「早い、早い!ディット!良く考ええろ、アレだけの大群やっつけ過ぎじゃないか?周りに影響が出たらどうする?」

 短絡的に殺戮を始めようとする。恐怖でしか無い。


「でも、アレ街とか襲ったらマズいよね?」

 正論で返してきやがった。


「私もそう思います。一応討伐隊なので国民の安全の為なら倒しといた方が良いかも知れないですね。」

 確かにな。だがデカブツ、お前この頃戦うの楽しんでんだろ?知ってんだぞ俺は。


「どうぞご自由に。自分は皆さんの戦い見学させて貰います。」

 マグは俺達のこと興味対象でしか無いのか馴れ合う気は無さそうだった。まあ、金の恩人だし、変態だし、国の命令で同行してるだけだしな。


 あ、ミノタウロスが一体爆砕した。

「ヒットです!どんどん行きますよ!今日は石一杯ありますからね!!」

 ほら、口火切ってんじゃん。デカブツ。


「ラッキーズルい!よーし、負けないぞー。」

 ガキか!………ガキだよ。間違い無い。その様子を見ていたマグ〈変態〉がそっとデカブツに近付き何かを渡した。


「ラックバードくん、これを〜投げてぇ〜もら〜    ぐふっ。」

 同時進行多すぎで忙し過ぎだ!ラッキーの攻撃を見てマグが何かを試したくなったのだろう。だが、実験に興奮したのか、変態が現れた。するとディットが反射的に殴り倒す。その衝撃波で俺が吹っ飛ぶ。これが闘いの形その1である。

 

「ああ、すまん。ラックバード君、投げてみてくれ。」

 なんでディットに殴られて無傷なんだよこの変態。俺の方がふっ飛ばされて擦り傷だらけだよ、おかしいだろ……と、少し離れた先で青白い光が放たれ20体程のミノタウロスが蒸発した。


「うおー、凄いなマグ夫。こんなの持ってるんだ。」

 破壊力にディットが素直に感嘆する。玩具と認識したのだろう、一気に距離を縮めてきた。


「自分のいた王国特殊機関は主に戦争に特化した研究所でしたので。しかし、余り自分の思うような研究はさせて貰えなくてね。だけれども、今なら〜自分のぉ〜やりたいぃ〜   げふっ。」

 戦いの形その1、擦り傷増えた。痛い。


「よーし、いくよ!」

 今日は刀でスパスパとミノタウロスを切っていく。上機嫌だな、瞬殺モードだ。ヤバイ、殺傷力が異常じゃないか?コイツ等。こんなのバレたらどんな強いの討伐させられるかわからないぞ?




 そんなのとっくに機関にはバレてるんだけどな。

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