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第23話 特別の意味

 「君達!すまないが、自分と少し話しをしてくれないか?その、何と言うか、この部屋は何も、興味を引く物が、無くて落ち着かない…ああ、駄目だ、お願いだ、悪い様にはしない、約束するから!誰でもいい、誰でもいいから…お願いだ!頼む、助けてくれ!ねえ、ラックバードくん、聞こえてるかね?」


 隣の部屋から悲痛な声が響いてくる。助けて欲しいのは俺達の方なんだけど……ラックバードじゃなくても逃げたくなるな、こんなの。


「あぁ〜…あっ、そうだ!君達!借金があるんだろう?一度肩代わりするから!そうすればここから出れる。今後についてはここから出てから話し合おう!君達も罪人として扱われたくは無いだろ?悪い話じゃ、無いだろう?なぁ……」


 うるさい、少しは黙ってろ。ガキじゃ無いんだから大人しくしてろ。

 でも、あの金額を肩代わりできる財産を持ってるのか?だとしたら、流石、国家の上位研究員って事かな。


「うるさい、少しは黙ってろ。ガキじゃ無いんだから大人しくしてろ!」

 ヤバイ、俺…無意識に声に出しちまった……


冷や汗が噴き出したのだが、俺の心の声と一言一句変わらないディッドの声が噴き出していた。


「キサマが、そこまで言うのなら交渉に乗ってやってもいいぞ。だがな、コッチの大事なものを取り上げると言うのなら、王国相手と言えど一歩たりとも引く気はない!心して考えろ。」


 か、格好いい……格好いいぜ、リーダー!ただ〈もの〉ってほぼ間違いなく者じゃなくて物だよな。俺達はいいとこ二番候補だ。そしてお前は自分の欲望のまま借金をし、犯罪者になり、追われる身になろうとしてただけだぞ。だが、何故か行けそうな気がする。


「大丈夫、大丈夫だ。お〜い、衛兵来てくれ!証人になってくれ!早く上に繋いでくれ!」


 ストーカーの一本釣りが成功した。



 基本的に俺達は借金を払えなかっただけなので悪人ではないこと、暴れたりしたわけではないこと(ストーカーへを除く)、借金を返済できたこと(ストーカーの資産)という事で解放された。………何かディッドが得してるだけじゃないか? まさか、奇跡の石…の効果か?だとしたら俺達以上に大事な〈モノ〉でもしょうがないよな。今はそういう事にしとこう。


 しかし、その後も想定外が畳み掛けてきた。国王との謁見である。今まで上流階級、ましてや王室に関わるような人なんて全く接点無かったんだけど、田舎から出てきたただのお上りさんなんだよ、俺。


「…以後、其方等4名は王国特殊防衛機関、特別上位討伐部隊所属となると、クリンゲルバウム王国国王より任命されることとなる。」


 側近の方が何か言ってる…俺、ほぼ一般人と変わらないレベルの冒険者なんですけど…お門違いも甚だしいと思います。しかも4人って事はストーカ―も入ってる?先程知り合ったばかりなんだけど、この変質者…


 大体、討伐ってなんだよ? 国から指定される討伐対象なんてヤバイのしかいないだろ!? 俺達の戦力なんて、やれ竹槍で龍倒すくらいの奴とか、やれ球技でアスリートを再起不能にする奴とか、それに理由の分からない国家特殊研究機関の奴と組まして何ができると思う?何か凄いことできそうだな、確かに。


 ……なので俺はこのメンバーでは力不足なので除外してもらいたい、と懇願を………させて貰えなかった。上層部は難色を示したそうだが、ディッドとラックバードがこれでもないくらい俺を推してきたそうだ。やめろよ、へへ。

 いや、照れてる場合じゃない、が、俺一人どうでもいいらしく、滞り無く任命された。



「一応、自分は君達の借金を肩代わりした恩人だからねぇ。これからぁ、ゆっくりとぉ〜研究をぉ〜…」

 マグが変態を抑えきれてない。


「やめろと言ってるだろう、興奮するなバカモノめ。分からない様ならそこら辺に埋めていくからな。」

 ディッドは本気だ。


「おっと、すまない。まあ仲良くしようじゃないか。よろしく頼むよ。なあ、アルゼ君、ラックバ〜どぉ〜くぅ〜ん〜」

 マグが横っ面を思い切りディッドに殴られていた。大人しくなったのだが、何故生きてるのだろう?俺は近くにいて衝撃波で吹っ飛ばされたんだけど……


「あのさ、役職に特別って付いてるけど、もしかしてコレって俺達全員この変質者と同じ扱いってことかな?」

 ラックバードに確認する。

「私達、何をされても文句言えないんですかね……凄く怖いんですけど……」


 今後、俺達と同行している間は、マグの〈特別〉は解除される。4人で行動してれば純粋に国家の特別な司令を受けた特殊部隊として優遇されるらしい。



 さて、ここに来て俺たちの旅に目標ができたわけだ。しかも国王のお墨付き。今、歴史に残る冒険が始まる予感がした。





 その前に、俺達の目標ってなんだっけ?ディッドはただ楽しいこと探してぷらっぷらしてただけだよ…そんな大義無理じゃない?で、いつになったら俺は解放されるんだ?


 俺、奇跡の石でも探しに行こうかな……

ようやくプロローグが終わりました。

次からはようやく本番の冒険が始まるはずです。

脱線ばかりしそうですが、温かい目でよろしくお願いします。

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