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第18話 フラッシュバック

〈王都はスポーツとか格闘技とか娯楽が栄えているんですよ。上流階級の人達は暇を持て余しているようなので色々な遊びが発展したらしいです。〉



〈上流階級の人達は暇を持て余しているようなので色々な遊びが発展したらしいです。〉



〈遊びが発展したらしいです。〉



〈遊び〉



 上流階級の遊びってなんだ?あれか?鬼ごっことかかくれんぼとかか?



〈大きい街はいいな、楽しめるものが沢山溢れている。〉



〈楽しめるものが沢山溢れている。〉



〈楽しめるもの〉



楽しめるものってアレもそうなのか?

俺は楽しめないぞ、勝った事無いし。



〈んふふ、この石をさ〜〉



〈んふふ、〉



〈んふふ、んふふ、んふふふふふふふふふふ〉



 ぐあああああっ!磨いてた!磨いてたよアイツ!あんなに飽きっぽいやつが、寝る前にいつもいつも不気味な笑みを浮かべながら何回も何回も………

 しかもここは王都だぞ!?チンケな賭場じゃなく、きっとアレだろう?





  カ ジ ノ、だ!!!!!!!



 アイツ、俺が昼間デカブツと話に集中してた時から完全に気配を消してやがった。ずっと行動を一緒にしてたはずなのに全く会話にも乗ってこなかった!

 以前二人で旅をしていた時は逐一行動を監視することができたんだよ。だから被害は最低限に抑えるようにすることができていた。

 だが、あのデカブツが話が分かる感じだから気ぃ抜いちまった!今まで自分一人で背負ってたものを少しは軽くしてくれるかも、って勘違いさせんじゃねえよ!

 そう言えばあのデカブツ、勝負、勝負ってなんかこだわってたよな?そうだよな、ギャンブルなんて勝負これ以上無いだろうよ。

 常識あるような顔して結局ただの悪ガキじゃねえか!どうせ二人ともテンションバッキバキに上げて今頃カジノを楽しんでんじゃねえのか?


 ぬああああああああっ、悔やんでも悔やみきれない。どうせアイツは、

「言われてなかったから」とか「言ってくれれば」で誤魔化そうとするだろう。念を押して軍資金を渡せばその範囲だけの被害で収められてたんだよ。

 でもさ、ここ王都だろ?デカいカジノがあるわけよ。潤沢な軍資金で臨みたかったんだろうな。その為に静かにその時を待ってたのに違いない!





 宿屋を飛び出し、行き交う人にカジノの場所を聞く。脇目も振らずにひたすらに走る。

龍だが鳥だか獣だかと戦った時より息が切れている。いや、正直俺自身は戦ってないけど。


 王宮に向かう方向にカジノはあるらしい。その辺りは高台になっているため離れていてもすぐ分かるとのことだ。心臓破りの坂道が続く。寝起きではっきりしない体にはこれ以上無いほど負担がかかる。

 まだもう少し頑張れそうだ。きっと、腕立て腹筋背筋スクワットの効果だな。俺だって、何もこのままでいようとは思っていない。バカから逃げるのには体力が必要になるはずだろう。これくらいでバテてられない。筋トレの効果は侮れないな、毎日10回2セットで精一杯だけど多分効果はあるんだろう。





(着いた!ここだ!)

 ゴージャスだ。俺には縁のない煌びやかな世界だ。いつもの俺ならここで躊躇してしまうだろう。しかし、今は一刻を争う事態だ。扉の前にはマッチョ黒服が立ち塞がる。そんなの関係ない、オマエラなんかより恐ろしいモン毎日相手にしてんだよ、俺は。

 火事場のクソ力なのか、筋骨隆々な黒服を押しのけ無理矢理に中へと入る。カジノのクソ力ってか?余裕がないのに理由の分からないことはポンポン頭に浮かんでくる。俺、限界だろ。


 目の前に巨大なホールが現れる。想像以上に繁盛している。夜な夜なコイツラは遊んでんのか?暇人が。

 真っ直ぐ正面、ホールの真ん中にステージになってる場所が見える。そこをギャラリーと思わしき人達が取り囲んでいるようだ。何か大きなイベントがあったのだろうか?人を掻き分け奥へと進んで行く。


 その中心に見覚えのある二人が見える。

こちらを振り返り俺に向けて言葉を発する。





「ふふ、思っていたよりか早かったな。」










「そして、遅かったな。」

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