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第15話 中心都市

 3人組になって初めての旅路か終わった。

ここの街はデカい。物凄く栄えてる。

堀も深いし跳ね橋も立派だ。


 正に、王都だ。


 ここに来るまでも例に洩れず苦労があった。

特に、ここに着く三日前が酷かった……






「何か最近雑魚ばっかだね。」

 俺は何も気にならない。おかしなこと言わないで欲しい。


「もうじき街に着くからな。周辺の警備や討伐も充実してるんだろ。

安全に旅ができるなら問題ないと思うけどな。」

 俺の率直な意見を言う。間違ってない、絶対に。


「確かに穏やかですね。まあ、私も少し運動不足な気はしますけどね。」

 このデカブツはポイントポイントでディッドの後押しをしやがる。

腕立て腹筋背筋スクワット、百回百セットでもやってろ。

戦いはスポーツじゃ無いからな。



 …しかし、奇跡の石はやはり運気が上がるのだろうか?


「あっ、あそこの丘の上、見て下さい!」

 ラックバードが指さした方角に比較的大きな生き物が見える。


「ぉ、おぉ、おおっ、おおおおおおおお!」

 ディッド?変なキノコでも拾い食いでもしたのか?やっぱ回復魔法唱える魔法使いがいた方が良いんじゃないか?


「行きますか?ディッドさん!」

「答える必要は無いよねッ!」

 答えになってるな。飼い主に一年ぶりくらいに会う愛犬のように一直線にターゲットへ向かっていく。

 あ~、あのデカブツも凄い足してんな。遅れる事なくディッドに着いていってるよ。


「グリフォンです!やりましたね!」

 一等賞当たりか?何がやったんだか…

「キタキター!いくよ~ラッキー!!」

 当たりらしい。どうやらこの間見た冒険者達の戦いで、見てるだけのことにフラストレーションが溜まっていたらしい。


 ん?グリフォン2体いる!

「おい!気をつけろ!もう一体隠れてるぞ!」

 声が届くかも分からない程離れているが、できる限りの声を張り上げた。


 後から気付いたのだが、そんなに二人がまとめて離れたら俺の命が一番危ないんだけど‥…


 「ははっ、はははははっ!」

 ディッドはよっぽどでないと声を上げて笑うことは無い。一等賞じゃなくて特等賞なんだな、今回。

 ディッドが標的1に近づくと刀を大きく振りかぶり…………地面に刺し、踏み台にする。

 俺は理解が追いつかない。


「ふんっ。」

 ああ、投げたねラックバード、アレを。

なるほど、あの必勝パターン展開だ。



 一体終了、墓標付き。早すぎる……

 

「もう一丁行きます!」

 ラックバードが二本目を投げる。今度は直線的にディッドにパスをする。

標的2は一気に高度を上げ、ディッドの手の届かない所へ逃げようとする。


 あれ?デカブツ、三本目の竹槍どこやった?


 一本目をディッドに向かって投げた後、既に二本目は、もう一体のグリフォンの真上に向かって弧を描くように投げていたらしい。

 空に飛び立ったグリフォンの腰に竹槍が突き刺さる。


「ナイス〜、ラッキ〜。」

 ディッドが受け取った竹槍の切っ先を空に向ける。

すると、上空から腰に竹槍が刺さったグリフォンが落ちてくる……


 惨すぎる。惨すぎ記録更新だ。竹槍サンドなんて思いもつかないよ、俺。

 腰に刺さった竹槍とディッドの突き上げ喉元に刺さった竹槍でグリフォン身体が半分に引きちぎれそうになってる……


そして地面からそびえ立つ三本の竹。



 そう、三本の赤柱である。




「ほらね、この間の奴らより大分早く倒せたんじゃない?」

 確かに一体目は瞬殺だった。勝負にもなってない。


「やっぱあんな魔法なんかより、我が愛槍〈柱トリオ〉の方が強いんだよ。」

 魔法に竹槍で対抗心を燃やさないで欲しい。

でもさ、愛刀を踏台にしてなかった?いいの?ホントに。


「そうですね!流石はディッドさんです。背中から合図がビンビン伝わってきます!

もう、何でしょう、私、武者震いが止まりません!」

 デカブツ!オイッ!ふざけんな!

お前までそっち行ったらこのパーティーお終いだよ!

多分俺が最初に人生お終いになるだろうけど…


 俺、本気で腕立て腹筋背筋スクワットやろうかな‥‥



 と、その後、筋トレを頑張った俺とその一行は王都に足を踏み入れたのだった。

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