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第1話 買い戻し

どう見ても風格が有り、立居振舞も見事な者がここにいる。誰が見てもきっと名のある冒険者か高名な武芸者だと思うに違いない。


「スイマセン、度々…」

だが今、俺の眼の前で正座をし、頭を下げている。


「どうすんの?結構大きめの依頼こなさないと無理なんだけど。」

 普段俺は高圧的な態度を取ることはない。

寧ろ、下手に出ている。怖いから。


「大丈夫です!コッチは素手でもいけます!

チョット時間かかるかもしれないけど…ね」


(武器を売るんじゃない。)

まあ、金目のものはそれ位しか無いから仕方が無いけどまさか今回それを借金の形にされるとはな…


「で、この依頼だけどマジで結構どころじゃなく手強いんだけど?本当に大丈夫なの?俺は戦力にならないよ?」


「チョト危険な香りがする方が面白そうじゃない?勝てば報酬もお釣りが来る位貰えるしね♪」

 と、結局ギャンブル性の高い発言をする始末だ…全く懲りてない。


 昨晩賭場に乗り込んで止めて無ければ、今頃俺の装備品もろとも取り上げられただろう。

俺は強くないんだよ。いいトコ普通レベル。

武器防具なかったらまず死ぬからな。


「やっつけるのは5体位だっけ?

それなら特にコッチ一人で問題ないよ。」

 経験も実力もあるが本気で素手で殴り潰す気でいる相棒を見てゾッとする。なんか凄いワクワクしてない?

 とっとと終わらせてコイツの武器を買い戻さないと俺の命にも関わるよな……


「さあ、行こう!アル!!」

「分かったよ、俺に合わせて進んでくれよ?

いつも勝手に先に向かっちゃうんだからな。

追いつくの大変なんだからな。」

 これ以上小言を言ってると100%逆ギレされるので普段の調子に言葉を戻す。コイツはどうにもならないと反射的に手を出してくる。痛いんだよ。


 そんな経緯で街を出て目的地へ向かうのであった。




「それで、内容はどんなだっけ?」

 基本的に戦うのはそっちなんだからちゃんと覚えていて欲しいのは贅沢な悩みなのか?


「一山超えた先にある渓谷に洞窟があって、そこにヒトガタって呼ばれてる魔物が出るらしい。この頃生活圏で見かけることが多くなったから討伐してくれだってさ。」

 大した労力ではないので子供に諭すように伝える。


 のどかな街道を移動してきたが、目的地に向かうため整備されてない道に外れ、山麓に広がる森に進路を変えてゆく。




「おぉ!見ろ! あそこに立派な竹林がある!

ちょっとアルの短剣貸してくれる?」

 半強制的と言うにはまだ足りない勢いで強奪された。

(俺は武器がないと身を守れないんだよ!?)

お願いだから俺の希望も聞いて欲しいんですけど…


 ものすごい勢いで竹林に突進していく。何かあったらお互いどうにもならない距離が開く。

林の影に動く動物?大きい!

(ディッド!左後ろ!)

 あわやと思った瞬間、何故か気配を察知し拳を叩き込む。


 …いや、俺の短剣持ってるよね?

心配や疑問を挟む余地なく獣は制圧されてた。

恐ろしい……まあ、だから戦力外の俺が一緒に行動を共にできてるんだけどな。だから離れないでいて欲しい。 



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