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病弱だった俺が謎の師匠に拾われたら、いつの間にか最強になっていたらしい(略称:病俺)  作者: 佐藤 峰樹 (さとう みねぎ)
第一部【王都クーデター編】

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第三十五話:エピローグ【後編】

 ライルは、城の中に一部屋をあてがわれ、そこで客人として暮らすことになった。しかし当初予定されていた部屋は、「あまりにも大きすぎて不便です」というライルの言葉で変更となり、その後、城内を巡った本人が「ここでお願いします」と選んだのは、小間使が使う小さな部屋だった。

「王の恩人をこんなところに住まわせるわけにはいかない!」と周囲の者を慌てさせたが、他のことはたいした拘りもなかったライルが、これについては譲らず、周囲が困り果てることになった。結局、従者長がヴァレリウス王に相談したところ、笑って「彼の者の良いようにしてやれ」という答えたことから、ライルの希望通り、ベットと小さな机、衣類を入れる箱しかない、狭い部屋に暮らすことが決まった。

 ライルには四十を越えた熟練の従者であるヘッテという男が付けられたが「仕える従者より狭い部屋に住む変わり者」と城で話題になることとなった。


 当初は毎日これといってやることがなく、戸惑ったライルだったが。牢屋に閉じ込められた時と同じく、部屋で坐ったり、城の中庭を歩いたりするようになり、そのうちに城内に気に入った木を見つけると、その木の周りで体操のような稽古をして、周りの者を驚かせた。またギデオンの要請により騎士団の訓練所やアカデミーに顔を出したり、セレスに稽古をつけたり、訪ねてくるロッテと遊んだり、時折、ヴァレリウス王から呼ばれて山での暮らしを話したりと、思うより忙しい日々を送っていた。


(自分がこんなこと生活をするとは思わなかった)

 と思わない日はなかったが、(流れに身を任せる)と決めた以上、ライルなりにいまは与えられたこの生活を受け入れることに専念していた。そこには、山を下りた以上、これから自分が生きていく世の中を学ぶ時間が必要だろう、という考えもあった。

 しかしそれ以上に、時が満ちれば咲く花のように、日々の中、何かが満ちてゆき、いずれ起きる変化を確信していた。


『この世は無常だ』


 そう言った師の言葉は、間もなく彼のもとに届く、一通の手紙により証明されることになる。


(第三十五話【第一部】 了)

これにて、第一部【王都クーデター編】は完結となります。 ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました!


物語は、次回から二つの幕間とを挟んで、第二部【王都陰謀編】へと続きます。

※ストックが残り少ないので、更新回数が減ることもあるかと思いますが、その際はご容赦ください。


もし、ライルたちの戦いを「面白い」「続きが気になる」と少しでも思っていただけましたら、今後の執筆の大きな励みになりますので、ブックマークや、ページ下の【★★★★★】での評価を、ぜひ、よろしくお願いいたします!


次回は明日の11時の更新を予定しております。またお会いできると嬉しいです。

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