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プロローグ〜 第一話:山の麓の道場

プロローグ


ある夜、ふと目を覚ますと、すぐ目の前にお袋の顔があった。

月明かりに照らされたその顔は能面のようで、一切の生気が抜け落ちていた。ぞっとして、慌てて寝たふりを続ける。お袋は何かをぶつぶつと、呪文のように呟いていた。


「お前なんか、どっか行っちまえ」


最初は聞き間違えかと思った。だが違う。お袋は絶望の子守唄のように、その言葉だけを延々と繰り返していたのだ。俺の枕元で。


優しいお袋だった。

継承権のない三男坊がよくやるように、父さんが安い戦士の身分を売り払い、商人として一旗揚げようとして失敗し、命からがら故郷に逃げ帰ってきてからも。その父さんが別の女の元へ出奔し、病弱な俺と幼い弟たちだけが残されてからも。お袋はたった一人で俺たちを育ててくれた。


だけど、もう限界だったのだ。

俺はずっと、自分が家族にとっての重荷だと分かっていた。


翌日、俺は黙って家を出て、裏の山に入った。死ぬつもりだった。

生きていることに、もう何の執着もなかった。


食料はない。水だけを竹筒に入れて、ただひたすら山の奥を目指した。帰れないくらい奥深くへ行ければ、それでよかった。

足がもつれ、木の枝で体を擦り、泥に汚れる。自分がどこにいるのか、とうの昔に分からなくなっていた。

三日目に、俺はついに倒れた。

喉の渇きが酷い。腹はとうに感覚を失っていた。指一本動かす力も残っていない。もうすぐ死ぬのだと、ぼんやりと思った。


瞼の裏に、お袋の顔が浮かぶ。俺を気遣ってくれた優しい顔と、能面のような最後の顔が、交互に現れては消えた。

意識が、暗く冷たい穴の底へゆっくりと落ちていく。体の感覚が消えていく。


ああ、これでようやく――


全てを諦め、深い眠りに身を委ねようとした、その瞬間。

何者かに、ぐい、と後ろ首を掴まれた。


それが、俺の師匠との出会いだった。


---

第一話:山の麓の道場



師匠との五年間の生活は奇妙なものだった。

俺が名前を尋ねても、師匠は「必要ない」とだけ答えた。ここで何をしているのか、何をさせられているのかと聞いても、「聞いてどうする?」としか返ってこない。


師匠はふらりと現れては、そば粉やきな粉といった食料をどさりと置き、「これをやっておけ」と一言だけ書いた紙を渡して、また姿を消す。長い時は、三ヶ月も現れないことがあった。

最初の頃、ただひたすら木のように立ち続けるような修行が辛くて文句を言うと、師匠は静かに言った。

「お前は死にたくてここへ来たんだろう。ならば、文句を言う理由などないはずだ。嫌なら、いますぐ死ねばいい」

その通りだった。


三年が経つ頃には、あれほど病弱だった俺の体から病の気配は消えていた。そして、修行は明らかに「武術」だと分かるものに変わった。

「武術なんて習いたくない」と俺が言うと、師匠は初めて俺の目を見て、はっきりと言った。

「これはお前が自分を守るためのものではない。人を守る必要がある時にだけ、使え」


そして、五年が経った今日。


「山を降りろ、いますぐに」


師匠はそう言って、俺に背を向けた。

もう少し一緒にいたいという俺の願いは聞き入れられず、振り返った俺の頬を小石が掠めて飛んでいった。

「振り返るな」という、師匠の最後の教えだった。


俺はもう二度と振り返らず、山の麓を目指して歩き続けた。

これからどこへ行き、何をすればいいのか。

行き先なんて、どこにも決まってはいなかった。



師匠と別れてから、三日ほど歩き続けた。沢を下り、獣道を進み、ようやくたどり着いたのが、この山の麓にある街だった。

その中で一番堅牢そうな石造りの建物が、この「アークライト剣術訓練場」だ。


山にいる間、俺はずっと考えていた。師匠に教わっているこの技術は、一体何なのだろうか、と。師匠は決してその名も、流派も、目的も教えてはくれなかった。「武術に興味がない」という俺に、「人を守るために使え」と、ただ一度言ったきりだ。

だから、知りたかった。己の半身とも言えるこの技術の正体を。その手がかりが、人の集まるこういう場所にあるかもしれない。そんな思いが、俺の足をここへ向かわわせた。


重い木の扉を押すと、活気のある声と共に、ひやりとした空気が肌を撫でた。

そして、まず足元に衝撃を受けた。磨き上げられた石畳だ。こんなに美しく磨かれた床を、山歩きで汚れた俺の草鞋で踏んでしまっていいのだろうか。それは、ひどく失礼なことに思えた。

俺は入り口の隅で、当然のように草鞋の緒を解き始めた。その時だ。

「おい、見ろよあいつ。訓練場で履物を脱ごうとしてるぜ」

「どこの蛮族だ? マナーも知らないのか」

門下生たちの嘲笑が、広い空間によく響いた。


その声を制するように、胸当てを着けた一人の青年が進み出てきた。高弟の一人なのだろう、他の者よりいくらか年長に見える。

「静かにしろ!……貴様、見ない顔だが、何の用だ?」


その高圧的な物言いに少し驚きながらも、俺は自分の目的を伝えようと、必死に言葉を探した。

師匠以外の人間と口を利くのは、五年ぶりだった。そもそも、その師匠との会話も最低限の言葉を交わすだけで、世間話はもちろん、俺が自分のことを話そうとしても、「わしには興味がない」の一言で終わらされてしまうのが常だった。

だから、頭の中では伝えたいことが浮かんでいるのに、いざ声に出そうとすると、喉の奥でつかえてしまう。言葉が、まるで久しぶりに着る服のように、口の中でごわごわと馴染まない。

それでも、なんとか喉から声を絞り出した。


「あの……俺はずっと山で師匠と二人で暮らしていて……。そこで、色々な動きというか、体の使い方のようなものを教わりました。でも、師匠はそれが何なのか、名前も流派も教えてはくれなくて。だから、その……ここに来れば、剣術に詳しい方がいるかと思いまして。俺の動きを見てもらって、これが何という流派なのか、あるいはただの我流なのか、教えていただけないでしょうか……」


俺がたどたどしく説明していると、その高弟は苛立ったように俺の言葉を遮った。

「話が長い!貴様の身の上話に付き合う暇はない!……それで、お前の名前は?」


名前……。

そういえば、名前で呼ばれることは、もうずっと長い間なかった。師匠のことは「師匠」と呼び、師匠は俺の名前を一度も尋ねようとはしなかった。いつも「おい」か「お前」で、それで何の不自由もなかったのだ。

俺の名前。

黙り込んでしまった俺を、高弟が不気味なものを見るような目で見ている。


ようやく思い出した俺は、彼に告げた。

「俺の名前はライル、ライル・アッシュフィールドです」


「……そうか。で、ライル。要するに、俺たちに『動きを見ろ』だと?つまり、手合わせがしたい、そういうことか?」


手合わせ。その言葉は、俺の中では少し違う意味を持っていたが、結果としてやることは同じなのかもしれない。

「手合わせ……そうですね。そういうことに、なるのでしょうか。もし、よろしければ」


俺が曖昧に頷くと、その高弟は「話にならん、帰れ」と吐き捨て、追い払おうと手を振った。

その時だった。訓練場の奥、椅子に腰掛けていた師範が、静かに口を開いた。


「待て、コンラッド」


コンラッドと呼ばれた高弟は、驚いて振り返り、恭しく頭を下げた。

「しかし師範、このような素性の知れぬ者を……」

「……試してみる価値はあるやもしれん。相手をさせてやれ」

「はっ……!」


師範の鶴の一声で、俺の手合わせは許可された。コンラッドは不承不承といった顔で俺に向き直ると、苛立ちを隠せない様子で言った。

俺はその時初めて、師範の近くに立つ二人の男女の姿をはっきりと認識した。一人は、まるで作り物のように顔立ちの整った銀髪の青年。彼は俺を虫けらのように一瞥すると、つまらなそうに顔をそむけた。

もう一人は、黒髪を高く結い上げた、凛とした雰囲気の女性だった。**雪のように白い肌に、通った鼻筋。固く結ばれた唇は、強い意志を感じさせる。何より印象的なのは、その紫水晶アメジストのような瞳だった。**彼女はただじっと、俺の立ち姿を観察しているようだった。


「師範がお許しだ。……だが、紹介状もなしに手合わせを望むからには、それなりの覚悟があるのだろうな?……」

「いえ。ただ、自分の技を知りたいだけです」


門下生の一人が木刀を数本持ってきた。コンラッドが俺に尋ねる。

「獲物は木刀で良いのか? それとも、刃引きの真剣にするか?」

「いえ。これで、十分すぎます」



俺は一番シンプルな木刀を手に取った。ずしりと重い。

石畳の硬い感覚を確かめながら、コンラッドに指名された門下生と向き合う。俺がすぐに半身の姿勢を取るのを見て、コンラッドが呆れたように言った。

「おい、貴様。準備体操はしなくていいのか?いきなり体を動かして怪我をしても知らんぞ」

「準備、ですか?……なんの準備でしょう」

準備体操という言葉の意味が分からず、俺が素直に聞き返すと、コンラッドはこめかみをピクピクと引き攣らせた。

「……もういい。ヨハン!さっさと終わらせてしまえ!」


ヨハンと呼ばれた門下生は、明らかに俺を馬鹿にした表情で、だらりとした構えで前に立った。

師匠との修行では、相手が構えた瞬間が「始まり」だった。俺は教わった通り、真っ直ぐ進む。相手が何かを言う前に、その喉元に切っ先を突きつけていた。


「ま、待て!反則だ!『始め』の合図がまだだろうが!」


ヨハンが顔を真っ赤にして叫ぶ。反則?合図?俺には何のことかさっぱり分からない。何か、この場所での礼儀を欠いてしまったのだろうか。

俺は慌てて木刀を下げ、頭を下げた。

「すみません、何か、失礼をしましたか?」

「当たり前だ!このど素人が!」

俺の心からの謝罪に、今度はコンラッドが怒鳴った。「手合わせは、審判の『始め』の合図で始まり、『そこまで』の声で終わる!それがここの決まりだ!」


そうだったのか。戦う前に、言葉で合図を交わすのがここの流儀らしい。

「知りませんでした。申し訳ありません」

俺はヨハンに向き直り、もう一度頭を下げた。「すみません、もう一度お願いします」


訓練場の奥で、それまで静観していた師範の目が、すっと細められた。目の前の男が持つ、武術の理そのものを根底から覆すような、異質な「何か」に気づいたからだ。


「……では、仕切り直す!始め!」

コンラッドの鋭い声が響く。それと同時に、ヨハンが汚名返上とばかりに踏み込んできた。だが、結果は同じだった。俺は最初と全く同じ動きで彼の攻撃を制し、喉元に木刀をぴたりと付けていた。

今度は、ヨハンも負けを認めざるを得なかった。


コンラッドは忌々しげに舌打ちすると、もう一人、先ほどのヨハンより体格の良い男を呼びつけた。しかし、結果は変わらない。三度、全く同じ動きで相手を制圧すると、負けた男は狐につままれたような顔で首をひねりながら下がっていった。



その、誰もが次の言葉を失った静寂を破ったのは、甲高い嘲笑だった。

「情けないな、お前たちは。そんな山猿一人に手間取るとは。アークライトの名が廃る」

銀髪の青年――ユリウスが、ゆっくりと前に進み出てきた。彼は腰に提げた美しい装飾の長短二本の木刀を抜き放つ。木刀を二本……。師匠との修行では見たことがない。ああいう戦い方もあるのかと、俺はただ純粋に感心した。

「どこの馬の骨とも知れん輩に、うちの看板を汚されては困る。俺が直々に躾け直してやろう」


ユリウスは短刀を前に、長刀を上段に構える独特の二刀流の型を取った。コンラッドが畏敬の声を漏らす。

「ユリウス様が自ら!?」

「おい、見ろよ……ユリウス様の『双蛇の構え』だ!」

門下生たちが色めき立つ。相当な使い手なのだろう。だが、俺には彼の構えがひどく隙だらけに見えた。


「始め!」

コンラッドの合図で、ユリウスが動く。彼は短刀で俺の木刀を絡め取り、動きを封じた上で長刀を叩きつける算段らしかった。だが、彼の短刀が俺の木刀に触れた瞬間、まるで沼に沈むかのように動きを封じ込まれる。上段の長刀を振り下ろす暇も無く、喉元に冷たい切っ先を感じていた。


「そこまで!」


師範の声が響く。だが、屈辱に顔を歪ませたユリウスは、合図を無視して、がら空きの俺の頭部めがけて長刀を振り下ろしてきた。そういうものなのか、と俺は思った。合図の後にも動いていいのが、ここの決まりなのかもしれない。

その一撃を、俺はいとも容易く払う。そして今度は、木刀の切っ先をユリウスの眼前に突きつけていた。

「ユリウス!見苦しいぞ!」

師範の叱責に、ユリウスはわなわなと震えながら下がるしかなかった。


再び静まり返る訓練場の中、あの紫水晶の瞳を持つ黒髪の女性が進み出た。

近くで見ると、その整った顔立ちはまるで人形のようだった。汗で首筋に張り付いた後れ毛さえ、一枚の絵のように見える。

「お父様、わたくしに、素手での立会いをお許しください」


師範――彼女の父親だったのか――は、少し考えた後、俺に向き直った。

「ライル殿。娘のセレスティアが、武器を持ずしての立会いを望んでおる。受けてもらえるだろうか?」


セレスティア。それが彼女の名前らしい。

武器を持たない。師匠との修行では、素手で打ち合うこともよくあった。俺にとっては木刀があろうがなかろうが、やることは何も変わらない。

「はい。構いません」

俺が頷くと、セレスティアさんは静かに一礼し、剣を置いた。俺も近づいて来た男に礼を言って持っていた木刀を渡した。


「始め!」

合図と共に、セレスティアさんは鋭い上段突きを放ってきた。鋭い踏み込みと、洗練された鋭い右の上段突きが俺の顔めがけて飛んできた。


俺は足の幅ひとつ分だけ前に進みながら、その突きを左手で受ける。そのまま彼女の突きを腕の内側に滑らせ、勢いを殺さずに利用して、逆に俺の右の上段突きを打ち込んだ。


ぴたり、と俺の拳が彼女の形の良い鼻先で止まる。

間近で見ると、長い睫毛に縁取られた紫水晶の瞳が、驚愕に見開かれているのが分かった。俺の動きで起きた風が、彼女の前髪を少しだけ揺らしていた。

セレスティアさんの瞳に、驚きと、そしてすぐに燃え上がるような屈辱の色が浮かんだ。


「……もう一度!」


彼女は叫び、再び構える。訓練場がざわついた。

「嘘だろ……セレスティア様の突きが外されるなんて……」

「徒手格闘なら、ユリウス様をも凌ぐと言われていたのに……!」


セレスティアさんは、今度はしなやかな右のハイキックを放ってきた。あんなに高く足を上げる蹴りは初めて見る。すごいな、と感心しつつ、俺は体を沈めると彼女の左の軸足を軽く払った。

体勢を崩した彼女の動きに合わせて、きつく結い上げていた黒髪の束が、絹のように流れる。

すてん、と綺麗な尻餅をついた彼女に、俺は思わず駆け寄った。


「だ、大丈夫ですか?お尻を打ちましたか?」

「……なめるな!」


俺の手を払い除け、セレスティアさんは怒鳴るように立ち上がって三度目の勝負を要求してきた。今度は慎重に、小刻みなステップで間合いを測り、フェイントを仕掛けてくる。だが、彼女が最初のフェイントに移った瞬間、俺の放った前蹴りが、その腹部の寸前でぴたりと止まっていた。


「……あああああ!」


悔しさのあまりか、セレスティアさんは叫びながら、低い姿勢で俺の足元にタックルを仕掛けてきた。寝技に持ち込むつもりのようだ。

俺は軽く身をかわして背後に回り込む。抵抗する彼女の首を、師匠に教わった通り、片腕で作った三角形の内側に捉えた。そして、もう片方の腕を手刀の形にして、彼女の細いうなじにそっと当てる。あとは、首を挟んだこの三角形を、ごく僅かに絞るだけだ。

師匠曰く、こうすれば興奮した相手もすぐに落ち着くらしい。

だが、俺がほんの少し力を込めた瞬間、セレスティアさんの体からふっと力が抜け、ぐったりと俺の腕の中に崩れ落ちた。


腕に伝わる、驚くほど柔らかな感触。鍛え上げられたしなやかな筋肉の下にある、女性特有のしなやかさに、ずっと山で岩や木を相手にしてきた俺の腕が、その感触に少しだけ戸惑う。

腕の力を抜くと、ふわりと、汗の匂いに混じって、陽だまりのような甘い香りがした。頬は熱を帯びて上気している。必死だった表情が抜け落ちたその寝顔は、少しだけあどけなく見えた。


「セレスティア様が落ちたぞ!」

「馬鹿な!あのセレスティア様を絞め落とすなんて!」

訓練場は、これまでで一番の騒然とした空気に包まれた。俺は慌ててセレスティアさんの体を抱え、師匠に教わった活法を試みる。

「すみません!つい、落としてしまいました!」


「「「静かにせんか!!!」」」


全てを黙って見ていた師範が、雷のような一喝を放ち、騒ぎを収めた。

俺が活を入れると、セレスティアさんはすぐに意識を取り戻した。彼女は一瞬、自分がどうなったのか分からない様子だったが、俺の腕の中にいること、そして心配そうに自分を覗き込む俺の顔を見て、全てを理解したのだろう。その顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。

「……いやああああああっ!」

絶叫と共に俺を突き飛ばすと、彼女は泣きながら訓練場を飛び出して行ってしまった。


残された俺は、どうしていいか分からずに立ち尽くす。師範が、大きなため息をつきながら俺の肩に手を置いた。

「……ライル殿。娘の非礼、この父が代わりに詫びる。すまなかった」

「いえ、俺の方こそ、すみません。その、つい……」

「いや、お主は何も悪くない。……皆の者!今宵は宴だ!ライル殿の歓迎の準備をせい!」


師範がそう号令をかけると、門下生たちは戸惑いながらも準備のために散っていった。

ユリウスは、憎悪と嫉妬の炎が宿った目で、ただじっと俺を睨みつけていた。そしてコンラッドは、まるで化け物でも見るかのような、驚愕の表情で俺から目を離せずにいた。


俺はただ、自分の技の正体を知りたかっただけなのに。

目の前で繰り広げられる状況を見ながら、俺はただ、物事がおかしな方向に進みつつあるのを感じていた。


(第一話 了)

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