42話:委員長にホットミルクを届ける
数時間前。
「それじゃあ第一回目の文化祭の出店会議はこれで終わりです。お疲れさまでした!」
「「「お疲れさまでしたー!!」」」
無事に一回目の文化祭に向けての会議はこれで終了した。特に問題なく会議の進行が出来て本当に良かった。
「よし、それじゃあ皆おつかれっすー。教室に帰るわー」
「おう。お疲れー。あ、恵。今から飯食いに行こうぜ」
「えぇ、いいわよ。それじゃあ皆お疲れさまー」
そう言って各部活の部長達はゾロゾロと会議室から出て行き始めた。そんな中、俺は会議室から出ようとするとある先輩を呼び止めた。
「あ、すいません、鏑木先輩」
「うん、どうしたの? 大神君?」
俺はすぐに料理部部長の鏑木先輩を呼び止めた。鏑木先輩にお願いしたい事があったからだ。
「あの、すいません鏑木先輩。放課後なんですけど、家庭科室を少しだけ借りる事って出来ますかね? 電子レンジを使わせて貰いたいんですけど。あとついでにコップと砂糖も借りたいんですけど大丈夫ですか?」
「電子レンジ使いたいの? うん、それくらい別に大丈夫だよ。でもそんな事を頼むなんて……何か作りたいものでもあるのかな?」
「はい。まぁ放課後になったらホットミルクでも作ろうかなって」
「ホットミルク? あぁ、なるほど。環ちゃんのためにって事ね。うん。もちろん。そういう事なら全然使ってくれて構わないわよ」
「本当ですか? ありがとうございます、鏑木先輩」
「うん。全然良いよ。それにしても環ちゃんのためにそこまでしてあげるなんて、君は凄く良い男の子だね。ウチのクラスにいるデリカシーの欠片もないエロ猿男子達にも見習って貰いたいものだよ」
「え、エロ猿男子……あ、あはは」
鏑木先輩がため息交じりにそう言ってきたのに対して、男子生徒の俺は苦笑いするしかなかった。
まぁでも何はともあれ今日の放課後に家庭科室を借りる許可を貰えた。なので俺は放課後になったら購買で牛乳を買って家庭科室に向かう事にした。
◇◇◇◇
そしてそれから数時間後の現在。
「お? 委員長。起きたのか? おはよ」
「……え? あ……」
保健室にやって来ると、ちょうど委員長が目を覚ました所だった。
「え、っと……あれ? い、今は何時かな……?」
「今は15時半だよ。もう放課後に入って部活してるヤツらは部活に勤しんでる時間だな」
「え? な、なんだって? わ、私はそんなにも長い間眠ってしまってたの?」
「あぁ。ぐっすりと眠ってたようだよ。それで? 今の委員長の体調はどんな感じだ?」
「あ、う、うん。だいぶ眠ってたから体調はかなり良くはなったと思うよ。大神君の方はどうだったのかな? その……部長会議は大丈夫だったのかな?」
「おうよ。もう完璧にこなしてやったさ。部長の皆スタンディングオベーションだったよ」
「あはは。スタンディングオベーションが起きたのかい? もしそれが本当だったら凄い限りだね」
「はは。信じてないって顔してるな。まぁいいや。今日の議事録は既に作ってあるから、まぁ体調が治ったら見といてくれよ」
「うん。わかった。何から何まで本当にありがとう。それとその……今君が手に持ってるのって一体何なのかな?」
「あぁ、すっかりと忘れてた。はいこれ。ホットミルクだよ。さっき家庭科室に行って作ってきたんだ」
「え? ホットミルクを君が? でも大神君って料理出来ないんじゃなかったのかい?」
「いやホットミルクは料理って程の事は何にもしてないからな。牛乳と砂糖を温めただけだしさ。俺が熱が出て体調悪い時はいつもこれを電子レンジで作って飲んでるんだ。牛乳は栄養価も高いし、体調の悪い委員長の栄養補給にはピッタリかなって思ってさ。だから委員長のために作ってきたんだよ」
「えっ? わ、私のために作ってきてくれたの? 大神君……ありがとう。それじゃあ是非とも頂かせて貰うよ」
「あぁ。それじゃあ、ほら。熱いかもしれないからゆっくりと飲んでくれよ」
「うん。わかったよ」
俺は委員長に先程作ってきたホットミルクを手渡した。
委員長はふーふーっと息を吹きかけながら冷ましていき、ゆっくりとホットミルクを飲み始めていった。
「んく、んく……ぷは。ふふ、甘くて美味しいね。ありがとう、大神君。とっても美味しいよ」
「そっかそっか。それなら良かった。おかわりも作れるから、もしももっと飲みたかったら気軽に言ってくれよ?」
「うん。わかった。本当にありがとう大神君。んく、んく……」
そう言って委員長はホットミルクを美味しそうにどんどんと飲んでいってくれた。顔色も先程と比べたらだいぶ良くなっているし、とりあえず食欲もありそうなので本当に良かった。
そしてそれから俺達はしばらくホットミルクを飲みながらまったりとした時間を過ごしていった。




