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32話:前島から連絡が入る

 生徒会室にて。


 俺は委員長に教えて貰って棚から去年の文化祭辺りの議事録を取り出していき、鞄の中にしまい込んでいった。


 せっかくなので今日は家に帰ったらこれらの資料を読んでいく事にしよう。


「あ、ごめん。私、ちょっと今から職員室に行く用事があるから先に帰っていいよ」

「そうなのか? わかった。それじゃあ先に帰るわ。また学校でな」

「うん。またね」


 そう言って俺は生徒会室の前で委員長と別れた。そしてそのまますぐに俺は下駄箱の方に移動していった。


「よし、それじゃあちょっと遅くなったしさっさと帰ろう……って、あれ?」


―― ピコンッ♪


 その時スマホが鳴り出した。LIMEの通知音だ。俺はすぐさまスマホを取り出していった。


『今日晩御飯作りに行くわ。って事で今からアンタの家行ってもいい?』


「……え?」


 それは前島からのLIMEだった。内容は晩御飯を作りに行くというメッセージだった。俺はそのメッセージを見てちょっとだけ驚いた。


「ま、まさか……本当にまた作ってくれるなんて……いやもちろん嬉しいけど」


 確かに少し前に前島はまた暇な時に晩御飯を作ってあげると言ってきてくれた。


 でも正直それは社交辞令的なやつかなって思ってたんだけど、でも前島はちゃんと晩御飯を作ってあげると言ってきてくれたんだ。


 だから俺はそのメッセージを見てちょっとだけ驚いてしまったんだ。


『もちろん良いよ』

『わかった。それじゃあ今から向かう。何か好きな食べ物とかある?』

『やっぱり肉料理かな。あとは麺類も大好きだな』

『りょーかい』


 俺達はそんな淡々としたやり取りを進めていった。


 それにしても前島ともLIMEでやり取りする事が結構増えてきたけど、毎回淡々とした塩対応のやり取りだよなぁ。


 まぁでもこういう塩対応な方が前島らしいっちゃらしいか。逆にキャピキャピとした明るい女の子っぽいメッセージを送ってくる方が今の前島だと違和感出るしな。


「よし。それじゃあ早く帰らなきゃだな。学校にずっといる場合じゃないな」


 という事で俺は寄り道とかせずにそのまま急いで直帰していった。


◇◇◇◇


「おそい」


 アパートに帰ってくると、俺の部屋の前に前島がちょこんと体育座りをしながら待機していた。手にはスーパーで買い物したビニール袋を持っていた。


「す、すまん、これでも急いで帰って来たつもりなんだけど……というか俺ん家に来るんだったらもう少し早く前に言ってくれれば良かったのに」

「何よ。アンタがいつでも来て良いっていったのに、それは嘘だったって事なの?」

「いやそんな事はないって。でも俺はさっきまで用事があって学校にいたんだよ。だからもう少し早めに連絡をくれれば、俺もその用事をさっさと済ませて早く帰るようにしたってだけだよ」

「ふぅん? こんな時間まで学校にいたの? でもアンタって部活とか何もしてないでしょ? それなのにこんな時間まで学校で何してたの?」

「さっきまで生徒会の仕事をしてたんだよ。それで学校にちょっと遅くまでいたんだ」

「生徒会? アンタ生徒会になんか入ってたの?」

「まぁ最近な。とりあえずそこら辺の話は中に入ってから話そうぜ?」

「あぁ、うん。そうね」


 アパートの部屋前でたむろしていると他の住民に迷惑がかかる気もしたので、俺はそう言いながら部屋の鍵を開けていった。


―― ガチャ


「よし。それじゃあ中に入ってくれよ」

「うん。お邪魔します」

「あぁ。いらっしゃい。前回と同じように台所は好きに使ってくれて良いよ。冷蔵庫はあっちな。って事で俺はさっさと服を着替えてくるわ」

「あ、こら。ちょっと待ちなさい。服を着替えに行く前にちゃんと手洗いうがいをしなさいよ」

「え?」

「風邪とか流行り病は年中流行ってるんだから、ちゃんと自己防衛のためにも手洗いうがいは最初にしなきゃ駄目でしょ」

「あ、あぁ。そうだな。それは前島の言う通りだな。す、すまん……」


 前島は両手を腰に当てながらジト目で俺の事を睨みつけてきた。今のは俺に非があるのですぐさま謝った。


「ん。わかれば良いのよ」

「あ、あぁ。悪かったよ。いや、でも、それにしてもさ……」

「何よ?」

「いや、まぁなんというか……まぁいいや。前島とは結構LIMEで話してるし、今更変に取り繕う気もないからぶっちゃけるけど、前島ってそういう事をちゃんとを気にするんだなって思ってさ。俺の中のイメージで前島ってそんな事気にしないオラオラ系なタイプなのかと思ってたからビックリしたというかさ」

「こっちは飲食店でバイトしてんのよ。そりゃあ手洗いうがいを徹底するに決まってんでしょ。アンタは何言ってんのよ?」

「いや全くもってそれはその通りだよな。何言ってんだって話だよな」

「はぁ、全くそうよ……というかそういう事を面と向かって言えるアンタのメンタルに私もビックリしてるわよ。それとアンタはギャルに偏見持ち過ぎ。別にオラオラ系なんかじゃないからね。もしかしてアンタはギャルの事を怖いとかそんな風に思ってんじゃないの?」

「そんな事は……いや、まぁでもそうだな」


 よく考えたら高校生だった頃の俺はギャルって怖い存在だな……って普通に思ってたもんな。


 だから今思い出してみると当時の前島とかのギャルグループはめっちゃ怖い存在に思ってた気がする。


「そうだな。確かに偏見を持ってたかもしれない。ごめん。ちゃんと謝るよ」

「ん。別に良いわよ。前に言ったけど私だってアンタに偏見を持っていて色々と誤解してたし。だからお互い様って事で良いわ。ほら。それじゃあさっさと手洗いうがいを済ませるわよ」

「あぁ。わかったよ」


 という事で俺達はまずは洗面所へと向かって手洗いとうがいを済ませていった。

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