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30話:生徒会室にプリントを届けに行く

 その日の放課後。今日は担任と面談をする日だ。


 俺は前回と同様に空き教室にて担任と二人きりで面談を行っていた。


 まぁでも前回の時のような堅苦しい感じの空気は無い。他愛無い話をしながら近況報告をする穏やかな感じの面談だ。


そんな軽い感じの面談をここ最近不定期に担任と行っていた。


「よし。それじゃあ時間も良い頃合いだし、今日の面談はこれくらいにしておこうか。次はまた来月にやろう」

「はい、わかりました。いつも色々と迷惑かけちゃってすいません」

「いや全然大丈夫だよ。むしろちゃんと学校に来るようになって安心してるよ。それと大神が生徒会に入ったって聞いた時も凄く嬉しくなったよ。これからも頑張っていってくれ。そして何か問題とかあったらいつでも俺に言ってくれよ。いつでも相談に乗るからな」

「はい。ありがとうございます」


 担任は優しく笑みを浮かべながらそんな優しい言葉を投げかけてくれた。


 俺が高校生だった頃は全然覚えてないんだけど、でもこの先生は俺みたいな問題児相手にも優しく接してくれる辺りとても優しい先生だったんだろうな。


 タイムスリップする前は本当に沢山迷惑をかけてしまっただろうし、今回は担任のためにもちゃんと真面目に生まれ変わっていかなきゃだな。


「よし。それじゃあ今日の面談はこれで終わりだから、大神は帰ってくれて構わないよ。あ、でもそうだ。帰るついでに申し訳ないんだけど、ちょっとこのファイルを生徒会室の棚に戻しておいてくれないか?」

「あぁ、はい。わかりました」


 帰ろうとしたその時、担任にそう言われて俺はファイルを受け取っていった。昨年度の行事ファイルのようだ。


「ありがとう。それじゃあよろしく頼むよ。お疲れさん。大神」

「はい。失礼しました」


 そう言って俺は空き教室から出ていった。


 今日は生徒会の集まりは無い日だから誰もいないだろう。だから俺は生徒会室の鍵を職員室で受け取り、それから生徒会室へと向かった。


「よし、到着した。それじゃあ鍵を使って……って、あれ? 生徒会室の鍵が空いてるぞ?」


 今日は生徒会の集まりは無い曜日だ。だから誰もいないはずなのに、それなのに何故か生徒会の鍵が空いていた。


 俺は何でだろうと不思議な気持ちになりながらもドアを開けてみる事にした。すると……。


―― ガチャッ……


「失礼しまーす……って、何だ委員長じゃんか」

「うーん……って、あれ? 大神君?」


 するとそこに居たのは委員長だった。委員長は椅子に座ってうんうんと唸りながらパソコン作業をしていた。


 そして委員長はすぐに俺に気が付いてキョトンとした表情を浮かべながら俺にこう尋ねて来た。


「お疲れ様。今日は生徒会の集まりは無い日だよ?」

「お疲れ様。俺は先生に頼まれてファイルを生徒会に届けに来たんだ。そういう委員長は生徒会室に来て何してんだ? 今日は生徒会の集まりは無い日だろ? それにうんうんと唸ってどうしたんだ? 何かトラブルか?」

「あ、あぁ、うん。ちょっとやらなきゃいけない仕事があってね。それでパソコンを使って調べものをしようと思ったんだけど、そしたら急にパソコンの調子が悪くなってしまったんだ……」

「ふぅん? パソコンのトラブルね。それなら俺がちょっと見てやろうか?」

「え? 君はパソコンについて詳しいのかい?」

「いや、そこまで詳しい訳じゃないけど、まぁ簡単な問題なら俺でも分かると思うよ。って事でちょっと俺に触らせて貰っても良いか?」

「う、うん。わかった。それじゃあよろしく頼むよ」

「おう」


 という事で委員長に代わって早速調子の悪くなったパソコンを動かしてみた。


「あぁ、なんだ。ワイファイが切断されちゃってるだけだ。これなら……ほら。これでバッチリだ」

「わわ、本当だ! ありがとう大神君! 私、パソコンとかデジタル機器には凄く疎くてずっと困ってたんだ……だから本当にありがとう! これでまた仕事が再開出来るよ!」


 俺がネットを再接続をさせていくと、委員長は全力で感謝の言葉を伝えてきてくれた。


「そっか。それなら良かった。それで? 委員長は一体何を調べてたんだ?」

「あぁ、えっとね。今度の会議で必要になる資料を作りたかったんだけど、でもパソコンでグラフとかどうやって上手く作れるのか全然わからなかったから、それでネットで調べようと思ってた所なんだ……」

「なるほど。そういう事か。資料作りをしたいって事なら俺が手伝ってやろうか?」

「え、大神君が? でも今日は生徒会の集まりの日じゃないよ? だから君に手伝って貰うのは何というか申し訳ないというか……」

「そんなの気にしなくて良いって。どうせ帰っても暇だし。それに実は俺ってグラフとか図とかを作るの結構得意なんだよ」

「え? そ、そうなの?」

「そうそう。だから試しに一つグラフを作らせてくれよ。俺がこういうの得意だっていう事を委員長に証明してやるからさ」

「う、うん。わかったよ。それじゃあ……ここに書かれてる部活と部員数をグラフと表にまとめて欲しいんだけど……そんな事は出来るかな?」

「あぁ。朝飯前だよ。それじゃあここをこうして……こうして……」


 俺は委員長がグラフにまとめて欲しいと言ってきた数字を全て打ち込んで綺麗なグラフを作り上げていった。


「はい。出来た。こんな感じで良いかな?」

「早っ!? しかもかなり綺麗なグラフにまとまってる!? す、凄いよ大神君! まるで一流のプロが作ったみたいなグラフだね!」

「はは。そりゃどうも。まぁ今まで俺は仕事でこういう事はずっとしてたから――」

「へぇ、そうなん……って、え? 仕事って?」

「え? って、あ、い、いや……!」


 委員長に褒められて生前の事を口走ってしまった。そのせいで委員長はキョトンとした表情でそう聞き返してきてしまった。


「え、えっと、その……仕事じゃなくて遊びだよ! まぁ何て言うかその……昔からパソコンが好きだったから、こういう作業も今まで遊びで何度もやってきてたんだ!」

「ふぅん、そうなんだ? でもその年齢でパソコンをそこまで使いこなせてるなんて凄いね! 本当に尊敬だよー!」

「あ、ありがとう。という事で俺がこういうの得意だって事はわかってくれたと思うし、それじゃあ委員長の仕事を今から手伝うって事で良いかな?」

「え? あ、でも、それは……今日は生徒会の日じゃないし、大神君に残って作業して貰うのは……」

「そんなの気にしなくて良いって。まぁでも委員長が気にするって言うんなら……それじゃあ今日は委員長が俺にジュースを奢ってくれよ」

「え? ジュース?」

「そうそう。前は俺が委員長にジュースを奢っただろ? だから今日はその逆でさ、今日は委員長が俺にジュースを奢ってくれよ。それでチャラって事でどうかな?」

「……なるほど。ジュースを奢るか。うん。わかったよ。それじゃあ今日は私がジュースを奢るから、パソコン作業の手伝いをお願いしても良いかな?」

「もちろん大丈夫だよ。それじゃあ委員長からジュースを奢って貰うためにも、なるべく早く作業を終わらせていこう。それじゃあ次はどのグラフを作れば良いかな?」

「うん、それじゃあ次はこの数値を……」


 という事でそれから俺達は二人で協力し合いながらグラフ作りをしていった。

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