26話:図書室からの帰り道(委員長視点)
とある日の放課後。図書室にて。
―― キーンコーンカーンコーン♪
「ふぅ。ちょうど良い時間だし、そろそろ帰ろうかな」
今日の放課後は生徒会の活動は無い日だ。私は何の予定も無かったので図書室でノンビリと本を読みながら過ごしていた。
私は本を読むのが昔から大好きだったので、何も予定が無い時は図書室でノンビリと過ごす事が多いんだ。
そして夕方5時過ぎを伝えるチャイムが聞こえてきたので、そろそろ帰ろうと思って図書室から出ていった。すると……。
「それじゃあこの後はさっさと家に帰って、家でノンビリと勉強でもしようかなぁ……」
「あっ、よ、良かった! いたいた! 副会長ーー!!」
「うん? 私? どうしたの?」
図書室から下駄箱に向かう途中で、体操服を着た女子生徒が私の元に全力で駆け寄ってきた。この子は確か隣のクラスの卓球部員の女子生徒だ。
何だかただ事ではない雰囲気を感じるけど一体どうしたんだろう?
「はぁ、はぁ……実はさっき部室で困った事が起きて、顧問の先生も今日は出張でいないし……それでさっき生徒会室に行ったんだけど、誰もいなくて……それでどうしようかなって思ったんだけど……で、でも、良かった、副会長が居てくれてー!」
「う、うん? 何だかかなり困ってるようだけど……一体何があったのかな?」
「あ、あのね……昨日大雨だったでしょ? それで今もポツポツと雨が降ってるでしょ? それでね……部室棟にある卓球部の部室から雨漏りが発生しちゃってるの!」
「えっ? な、なんだって? 部室棟で雨漏りが発生したのかい? そ、それは大事件だ! うん、わかった。それじゃあ今すぐ現場に向かおう。そこまで案内して貰っても良いかな?」
「う、うん! こっちだよ!!」
私はそう言って女子生徒の後に付いていった。そしてすぐに卓球部の部室にやって来た。
―― ポチャン……ポチャン……
部室の中は机や椅子などが並べられていて、床には水たまりが出来てしまっていた。
「これは……確かに雨漏りが発生してしまっているね」
「そ、そうなの……これってどうしたら良いかな? 副会長……」
「とりあえず雨水を床に溢したままにするのは良くないね。トイレの用具室にバケツが入ってるから、それを皆で取ってきて雨漏りの受け皿にしていこう。それと机とか椅子があると雨漏りを直すのに邪魔になるから、机とか椅子は全部端の方に移動させていこうか」
「あ、そ、そうだね、わかった。それじゃあ一年生の皆は今から手分けして机を端に移動させていって! 私達二年生と三年生は各階にあるトイレの用具箱からバケツを取って来るよ!」
「「はい、わかりました!」」
「うん。それじゃあ部室の片付けとバケツの用意は皆でやっておいてね。私はその間に事務員さんと先生を呼んで来るよ」
「うん、わかった! お願いね、副会長!」
「うん」
という事で私は生徒達に指示を出してから、すぐに先生と事務員さんを呼びに部室棟から職員室へと全力で駆けて行った。
◇◇◇◇
それからしばらくして。
私が呼んだ先生と事務員さんが部室にやってきて、天井の雨漏りの応急処置を施していってくれた。
そして明日にはすぐに業者さんが来て雨漏りを直してもらう事も決まっていった。という事で今日出来る事はこれで全部終わった。
「ありがとうー! 副会長ーー!」
「副会長のおかげで助かったよー!」
「いやいや、私は全然何もしてないよ。私は皆に指示して先生とか事務員さんを呼びに行っただけだからね」
「それだけでも十分凄いよ! 私達なんて雨漏りしだした瞬間に皆でテンパっちゃっただけだもん! だから副会長は本当に凄いよー! 冷静沈着だし、それに優しくていつでも私達の事を助けてくれるし、本当に神様みたいな存在だよー!」
「いやいや、私はそんな高尚な存在じゃないよー。でも困ってる皆の役に立てたようで本当に良かったよ。これからも困った事があったらいつでも私に言ってね。それじゃあ困り事も解決したようだし私はそろそろお暇させて貰う事にするよ」
「うん、わかった! 今日は本当にありがとう副会長……って、あれ? 今気づいたんだけどさ……副会長、ちょっと身体濡れてない?」
「あぁ、気づいちゃった? 一応タオルで拭いたんだけどなぁ……ほら、事務員さんのいる事務室って屋外にあるでしょ? それで校舎から出て事務室に急いで向かおうとした時に傘を持っていくの忘れちゃっててさ……まぁでもそんな遠くないし全力で走れば大丈夫かなって思って、それで傘をささずに事務室に行っちゃったんだ」
「え? それってつまり……雨に全身を打たれてたって事? 大丈夫? 風邪とか引いちゃわない??」
「ううん。大丈夫だよ。雨に当たったと言ってもたったの1~2分だけしか雨に当たってないし全然大丈夫だよ。教室に戻ったらしっかりとまたタオルで拭くからさ。という事で私は教室に戻るね。皆もお疲れ様」
「あぁ、うん。わかった。それじゃあ今日は本当にありがとう副会長! それじゃあね!」
「うん。それじゃあね」
そう言って私は卓球部の部室から出て行った。雨漏りが発生したと言われた時はビックリしたけど、まぁでも何はともあれ悪い事態にはならなくて本当に良かったよ。
「……くしゅ」




