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24話:前島の手料理を食べてみる

 それから程なくして。


 コンビニから食材を買って帰って来た前島はテキパキとした手つきで肉野菜炒めを作ってくれた。


「う、うわっ……マジで美味しそうだな! こ、これ本当に食べていいのか?」


 俺は出来上がった肉野菜炒めを見ながらそう言った。


 いつもコンビニとかハンバーガー屋とかの飯ばっかり食べてたので、こういう手料理を見たのは久しぶりだった。


 だから俺はその手料理を見てかなりテンションが上がっていた。


「そりゃあアンタのために作ったんだから食べて良いに決まってるでしょ。冷めない内にさっさと食べなさいよ」

「あ、ありがとう! それじゃあ早速……」

「って、あ、こら! ちゃんと頂きますって言ってから食べなさいよ。行儀悪いでしょ」

「えっ? あ、す、すまん……」


 俺は箸を手に取ってすぐさま肉野菜炒めを食べようとしたら、その瞬間に前島に怒られてしまった。


 今まで人と一緒にご飯を食べる事が滅多になかったのですっかりと忘れてしまっていた。確かに今のは俺が行儀悪かったな。


「すまん。えっと、それじゃあ……いただきます!」

「ん。どーぞ」


 気を取り直して俺は両手をしっかりと合わせてから、前島の作ってくれたご飯を食べ進めていった。


「もぐもぐ……もぐもぐ……う、うまっ!? めっちゃ美味しいよ前島!」

「別に普通よ普通。でもアンタの口に合ったようで良かったわ」

「いや、そんな事は無いって! これ本当に凄い美味しいよ! もぐもぐ……もぐもぐ……うん、すっごく美味しい!」

「わ、わかったわよ。別にもう褒めなくていいから、今は食べる事に集中しなさいよ」

「あぁ、わかった。それじゃあお言葉に甘えて……もぐもぐ……もぐもぐ……」


 という事で俺は前島に言われた通りご飯を食べる事に集中していった。するとものの数分でペロリと完食していった。


「ご馳走様! いや本当にめっちゃ美味しかった! こんな美味しいご飯を作ってくれてありがとう!」

「ん。おそまつさま。こんな簡単な料理でそんなにも喜んでくれるなら……ま、料理を作った甲斐があったというものよ。でもご飯を食べる前には両手を合わせてしっかりと頂きますって言わなきゃ駄目よ。お婆ちゃんが言ってたけど、そういうのをしっかりと出来ないと将来駄目な大人になるわよ?」

「うっ……それは本当にすまん。本当に返す言葉もないよ。でも久々に誰かとご飯を食べたのって久々でさ。だからつい忘れちゃったんだよ」

「ふぅん。まぁそういう事ならしょうがないけど、でもこれからはちゃんとしときなさいよ。お行儀悪く見えるからね」

「あぁ、わかったよ」


 俺は前島にそう言っていった。


 それにしても前島ってお婆ちゃんっ子のような感じだな。前島の表情から凄く尊敬しているのがヒシヒシと感じるな。


「それにしてもアンタ、ご飯食べるの一瞬だったわね。そんなにお腹空いてたの?」

「いやそれだけ前島の作るご飯が美味かったんだよ。前島って何歳くらいからご飯を自分で作るようになったんだ?」

「中学生になった頃から作り始めるようになったわね。両親がその頃に共働きになったから、それじゃあせっかくだから自分で作ってみようかなって思ってね」

「へぇ、なるほど。という事はもう料理歴は4~5年くらいって事か? それは凄いなー!」

「まぁそれ程でも無いわよ。そういうアンタはいつくらいからコンビニ飯生活なの?」

「えっ? う、うーん、そうだなぁ……まぁもうだいぶ前からだよ」


 タイムスリップする前から考えたらコンビニ飯をしてから15年近く経ってる気がする。でもそんな事を前島に言っても意味不明だろうからテキトーに誤魔化しておいた。


「ふぅん? もう覚えてないくらい昔からって事なのかしら?」

「そ、そうだな。もうずっとコンビニのパンとか冷食とかカップラーメンばっかりだよ。だから俺の家では電子レンジとケトル以外の料理器具は全然使ってないな」

「そう。まぁ今時の冷食とかカップラーメンって美味しいから仕方ないわよね」

「そうなんだよ。でも今日前島が作ってくれたご飯は本当に美味しかったよ。こんなに美味しいご飯を食べたのは本当に久々だよ。だから本当にありがとな」

「ちょっと。流石にそれは褒め過ぎでしょ」

「いやいや。褒め過ぎじゃないよ。本心からの言葉だしさ。正直また食べたいって思ってるくらいだしな」

「そう。それじゃあ……また暇な時に作りにきてあげようか?」

「……え? 良いの?」

「別に良いわよ。今日みたいなので良ければいつでも作ってあげるわよ。まぁ友達と遊んだりとかバイトで普段忙しいし、そんな頻繁には来れないけど、それでも良かったら作ってあげるわよ」

「そ、それは嬉しい話だけど……でも俺に飯を作るなんて負担になるだろ?」

「そんな事はないわよ。いつも両親が帰ってくるの遅いから自分でご飯を作ってる訳だし、何も負担になんてならないわよ」

「あ、それもそっか。でも何でそんな急に俺に飯を作ってあげようかって言ってきたんだ? 別にお礼だって言うんなら今日の一回で十分だぞ?」

「正直私だって今回一度きりのお礼にしようと思ってたわよ。でもアンタがこんな簡単に作った炒め物を物凄く嬉しそうな表情をしながらパクパクと食べていってくれてたから……ま、それならこれからも作ってあげても良いかなって思っただけよ」

「えっ? お、俺ってそんな嬉しそうな表情をしてたのか?」

「えぇ。物凄く嬉しそうだったわよ。それに私の料理を何回も美味しいって言ってくれたし、感謝の言葉もくれたから……ま、そう言ってくれるなら作ってあげても良いって思ったって感じよ。という事でこれからも食べたいなら作ってあげるわよ」


 前島はふふっと笑みを浮かべながら俺にそう投げかけてきてくれた。


「そっか。そういう事なら……是非ともお願い出来るかな。これからも良かったら前島の暇な時にご飯を食べさせてくれたら嬉しいよ。あ、ちゃんと材料費は払うからな。だからこれからも時々で良いから前島のご飯食べさせて貰えるか?」

「えぇ。わかった。それじゃあ時間がある時は作りに来てあげるわ。それじゃあ改めて、今後ともよろしくね」

「あぁ。よろしく」


 という事でこうしてこれからも前島がちょくちょく俺の家に来る事が決まった。また前島の手料理が食べられるなんて嬉しい限りだな。

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