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22話:三人で仲良くクッキーを食べていく

「あ、そうだ。そういえば最初に聞いておきたいんだけど、大神君と前島さんは料理経験あるかな? ちなみに私は全然やった事がないから、今日の調理実習で足を引っ張っちゃったら本当にごめんね」

「俺も全然やった事ないよ。だから委員長と同じで足を引っ張る可能性はあるな……」

「ふぅん。私は普段から料理してるからそれなりに経験はある方よ」

「へぇ、そうなのか? それは凄いな。普段から作ってたって事は家で自炊してたのか?」

「そうよ。自分で作るのが好きだから、バイトが無い日は基本的に自炊してるの」


 俺の質問に対して前島はそう答えていった。どうやらかなり料理は得意らしい。16歳で自炊してるなんて凄すぎるな。


「ほうほう、自炊してるなんて凄いね! それなら今回のクッキー作りのリーダー役は前島さんが適任だね! それじゃあ料理素人な私達に指示出しとか色々とお願いしても良いかな?」

「えぇ、わかったわ。まぁクッキー作りは簡単だからそこまで気負わずにいって大丈夫よ。それじゃあ時間も限られてるしさっさと作り始めていくわよ。まずはボウルにバターと砂糖を混ぜていきましょう」

「わかった。バターと砂糖だな。えぇっと……こんな感じで合ってるか?」

「そうそう。合ってるわよ。それじゃ混ぜている間に薄力粉の準備をするわよ。計測器を使って必要な量の薄力粉を用意していくわよ」

「うん、わかったよ! 薄力粉の準備は私がしてくるね。それじゃあまずはボウルを用意して……」


 そんな前島の指示に従って俺と委員長は手を動かしていった。前島の指示はテキパキとしていてとても適格だったので、俺も委員長も焦る事なく行動する事が出来た。


そしてそんなクッキー作りが始まってからしばらく経して。


―― チーンッ!


「よし。これで完成ね」


 クッキーの生地を入れていたオーブンのタイマーが鳴った。クッキーが完成した合図だ。という事で俺達は早速オーブンを開けていった。


「おぉ、凄いね! 何処をどう見ても完璧なクッキーだ!」

「こんな美味しそうに作れるなんて凄いな! 早速食べてみようぜ!」

「えぇ、そうね。それじゃあさっさとお皿に乗せていって食べましょう」

「あぁ、わかった。それじゃあ早速……!」


 俺はすぐに焼かれたクッキーを手際良くお皿の上に乗せていった。そして乗せ終わったお皿をテーブルの真ん中に置いていってくれた。


「よし、それじゃあ早速食べようか。頂きます!」

「「いただきます」」


 そう言って俺達は皆クッキーを一枚ずつ取っていって口の中に放り込んでいった。


「もぐもぐ……うまっ!? めっちゃ美味いな!」

「うん、本当本当! 物凄く美味しいね!」

「えぇ、そうね。美味しく出来てるわね」


 俺達は美味しい美味しいと連呼していきながらクッキーを食べ進めていった。


「もぐもぐ……うん、凄く美味しいなー! これは前島さんの適切な指示があったおかげだね。本当にありがとう! 私と大神君だけだったら失敗してたかもしれないよね」

「確かに確かに。初めてのクッキー作りでここまで完璧なのを作れたのは絶対に前島のおかげだよ。本当にありがとう」

「別に私は大した事はしてないわよ。二人が手際良く動いていったから美味しく作れたのよ」

「そう言ってくれるのは嬉しいな。でも俺達が手際良く動けたのは前島の指示のおかげだしな。そして前島の適格な指示を聞いてて思ったけど、前島って料理絶対に凄く上手だろ」

「あ、私もそれ思ったよ! 前島さんのテキパキとした指示は絶対にそうだよね! 前島さんの料理ってきっと凄く美味しいんだろうなー!」

「うっ……そ、そんな事はないわよ。普通よ普通。良いからさっさとクッキーを食べなさいよ」


 俺と委員長がそう言っていくと前島さんはちょっとだけ恥ずかしそうに横髪を手でクルクルと弄りながらそう言っていった。なんだかちょっとだけ可愛らしく見えた。


「でも前島さんはその年齢で料理が得意って凄いね。何か料理が得意になった秘訣とかでもあるのかな?」

「別に秘訣って程でも無いわよ。ただ両親がどっちも夜遅くまで帰ってこないから、いつも自分でご飯を作ってただけよ。それとクソ……じゃなくて彼氏がいた頃は彼氏のご飯とかもしょっちゅう作ってたから得意になったって感じね」

「あ、あぁ、なるほど……」

「へぇ、それは凄いね! 恋人のためにご飯を作るなんて素敵だなー! 私はまだ殿方とお付き合いした事は一度もないから、そういう家庭的なエピソードは羨ましいよ」


 委員長は前島の話を聞いてキラキラとした瞳をしながらそう言っていった。まぁやっぱり委員長も年頃の女の子だし同級生の恋話とかにはとても興味がある年頃なんだろうな。


 でも俺は前島の元カレがどうしようもないヤツだった事を知ってるので俺はちょっとだけ乾いた笑いをしながら話を変えていく事にした。


「そういえば前島ってあれだよな。いつもお昼お弁当だよな。あれってもしかして自分で作ってるの?」

「えぇ、そうよ。いつも早起きして自分のお弁当を作ってるのよ」

「へぇ、それは凄いね! お弁当かぁ……それは羨ましいなー。私はいつも学食のご飯を食べてるんだけど、学食はご飯のレパートリーが少ないからちょっと飽きてきちゃったんだ。あ、そういえば大神君ってお昼はいつも何を食べてるのかな? やっぱりお弁当なのかな?」

「違うわよ委員長。コイツはいつもコンビニの菓子パンばっかり食べてるのよ」

「へぇ、そうなんだ?」


 俺の隣の席が前島だから俺のいつもの昼飯も余裕で見られている。だからいつも菓子パンばっかり食べてるのもちゃんとバレてしまっていたようだ。


「そうだよ。俺はいつも学校に行く途中のコンビニで買ってきてる菓子パンばっかり食べてるよ。めっちゃ美味いからいつもお昼に食べちゃうんだよな」

「ふぅん。まぁ別にどうでもいいんだけど、でも毎日コンビニの菓子パンばっかり食べてたら栄養偏るわよ。たまには両親にお弁当を用意して貰ったらどう?」

「……えっ?」

「? どうしたのよ急に? 変な声を出して?」


 前島から“両親”という単語を急に投げかけられて俺は言葉に詰まってしまった。でも俺はすぐに気を取り直してこう言っていった。


「あ、あぁ、いや。何ていうか俺さ、両親がちょっと忙しい感じというか……ま、まぁその……家庭の事情というやつで、今はアパートで一人暮らししてるんだよ……」

「……」


 という感じで何とか普通な雰囲気でそう答えていった。ちょっとだけ言葉に詰まりそうになったけど、まぁ変な事は言ってないから大丈夫だろ。


「へぇ、そうなんだ? その年齢で一人暮らしだなんて大神君は若いのに大変だね」

「ま、まぁ親戚が皆地方の方に住んでるから仕方なくって感じだよ。だから夜も栄養バランスの事を考えずにコンビニでパンとかカップラーメンばっかり食べてる感じなんだ」

「えぇっ? 夜もそんな食生活なのかい? まぁ一人暮らしだし色々と大変なのはわかるけど……でも流石に毎日同じだと飽きが来ないかい?」

「いや、別にそんな事はないよ。今時は冷食も美味いし、安くて美味い外食チェーンの店も多いしさ。まぁでもたまには晩御飯に普通の温かいご飯とか食べたいとは思うけど。あはは……」

「ふぅん……そうなんだ」

「うん? どうした前島。何か今言ったか?」

「え? ううん。何でもないわよ」


 そんなご飯談義で盛り上がっていると、前島が何か小さく呟いてた気がした。でも前島さんは何でもないと言っている。という事は多分俺の気のせいかな。


 という事でそれからは残りのクッキーを食べていき、レポートもしっかりと書いて提出して授業を終えていった。


 最初は班決めの段階で絶望していたわけだけど、でも最終的には委員長と前島のおかげで美味しいクッキーを作る事が出来て本当に良かったな。

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