第4部『Spinning world(回る世界)』登場人物紹介
──Resistance側──
『ローダ・ファルムーン』
出身国はハイデルベルク(旧ドイツ領)現在年齢20歳。頼り甲斐なき騎士見習いであった彼が戦い終える都度、変身めいた成長を遂げた。
精神面・体力面のみに非ず。剣を交えた相手の術式を即時模倣する不可思議な進化。
変身の理由は不明。但し鍵の女性と自ら語るルシアとの出逢いが切欠なのは間違いない模様。
他人との接触が苦手分野な彼だがルシアと相思相愛に漸く気付き始めた。恥ずかしき心の声がルシアへ洩れているのを知らぬのだ。あれも候補者としての力の片鱗なのか。
見た目が冴えた男では決してない。なれど初心で不器用な処が女性達の心を擽る模様。また女性を立てる田舎貴族の騎士道とやらも刺さる様子。
『ルシア・ロットレン』
金髪ボブカット、天女が如き萌え袖な白い服装で精霊を付与した手足を振るう不思議な22歳女性。
愚鈍で無口だが刺さる言動を投げるローダに惚れた彼女。
プリドール・ラオ・ロッソの勧めで海遊びした折には、水着姿を披露したのみに留まらず豊満な身体を用いて彼に肉薄。
不死の巨人と戦闘時、斬り裂いた相手から注ぎこまれた残存思念に怒髪天の怒りを覚え、暴走化寸前だったローダを抱き締め止める役割を果たした。
未だ謎めいた鍵の女性、候補者を見定める存在。
ローダ・ファルムーンは彼女の判定に届いたのか。
『リイナ・アルベェラータ』
ローダの異常体質を本格的に調査すべくヴァロウズ第二の学者ドゥーウェンへ便宜を図った。
候補者ローダの生体検査と数値化を提供すると約束。
先進都市フォルテザの医療機関にて実施。
だが調査結果はリイナの想像通り、ローダ青年は危険と隣り合わせであった確証を得てしまう。
不死の巨人と戦いを交えた際、戦の女神が術者へ降臨する禁忌の奇跡、終わりなき旅路を行使。
戦の女神が乗り移り奪われる絶望の手前に至るも、父ジェリドが呼び込んだらしき母ホーリィーンの力を借受け如何にか事無きを得た。
また幼馴染の彼氏が居るのにも拘わらず、海水浴の折には14歳女子を惜し気なく可愛さ満ち溢れた水着でローダへ披露。
長い付き合いなれど未だ自分へ勇気を踏み出せぬロイドの頼り無さ。ルシア御姉様とローダの純愛に憧れを抱いた様子であった。
『ジェリド・アルベェラータ』
元フォルデノ王国聖騎士団団長。柄の長い巨大な斧を振るう剛毅な騎士。現在38歳。
不死の巨人と争い、12mの巨躯が飛んで強襲するのを逆に機会と受け取めカウンターに転ずる一番槍を見事成功。ラオ守備隊と一致団結出来得る適応力をみせた。
愛娘リイナが命賭けた終わりなき旅路に因る神化を絶望視するも、亡き妻ホーリィーンを縋り、意識を呼び出す事に成功。
この結果を観察したマーダやサイガン・ロットレンは『身体に潜む人工知性体が呼び込んだ異能』と評価。果たしてジェリドは今度も妻の意識を呼び込めるのか。
『ランチア・ラオ・ポルテガ』
ラオ守備隊団長。蒼い髪に海の様に青い瞳。兜だけ要らぬ全身鎧の青一色。投槍の腕前冴え渡る騎士。
その能力だけ買われ団長に抜擢された23歳男性。別名『青い鯱』
陽気な性格は普段の言動に留まらず、戦場に於いても冷静に敵をあしらう。
不死の巨人が夜の闇に紛れラオを襲撃するのに着目、光に弱い癖が在ると認識。
閃光弾織り交ぜた投擲で追い払う様受け流すやり方を編み出した。
プリドール・ラオ・ロッソとのは昔の恋仲。
団長として振舞う意識が欠損した自由奔放な男故、婚約相手を探し彷徨うプリドールとは続かなかった模様。
『プリドール・ラオ・ロッソ』
ラオ守備隊副団長。赤い髪に燃ゆる瞳。戦闘時は兜も装備、赤一色の全身鎧。特筆すべきは馬上槍に寄る突貫。責任感人一倍強き副団長としての責務を立派に熟す29歳女性。別名『赤い鯱』
ジェリドが見せ付けた不死の巨人に対する一番槍『後れを取るな』と団員達を大いに煽動。自らも獅子奮迅の二番槍をジェリドに負けじと叩き込んだ。
結婚願望根強くなおかつ自分より年下、将来夫に先立たれる未来を良しとしない。
澄み渡るラオの海で海水浴をリイナ&ルシアに持ち掛け『可愛さ溢れる英雄』ローダを撃墜すべく妖艶な色気を存分披露するも若者の心は揺るがなかった。
『ラオ守備隊』
アドノス島最東端に位置する海に関わる観光を主な産業と位置付けているラオを名前通り守る為の組織。
漁業従事者も多いこの地、漁師の銛を槍に持ち替えた兵士で構成される。
因って投槍、馬上槍、槍斧を得物とする特化部隊。
黒騎士マーダ率いる黒の軍団襲撃の際、自分達の領土を守る事に専念。結果、他地区に比べ矮小な人数ながら残存兵が多い。
今後の展開で先陣切って黒の軍団と相対する日は訪れるのか。
『ガロウ・チュウマ』
漁村エドナを護るResistanceのリーダー格、髭面の剣士。
ラオを襲来した巨人退治には不参加、エドナ村守りの要に成る道を選んだ。
赤く滾る一撃必殺の刃、亡き妻を呼び寄せたジェリドと等しき人工知性体が引き出した夢見の異能だと白髭の老人は断定したが当人は露知らず。
── マーダ(暗黒神)側 ──
『マーダ』
やけにローダと髪の色などの容姿が似ている黒い剣士。
斬られる気が全くないのか鎧ではなく黒のジャケットを羽織っている。
ローダとルシアに敗北して以来、神すら嘲笑する態度が消え、あまつさえ人の温もりをフォウに求め未だ『僕のフォウ』と愛ある意志を主張。
されど話す相手や立場によって過去のマーダへ帰る様子が窺える掴み処虚ろな存在。彼もローダと等しく候補者を匂わすが詳細不明。
判明しているのはマーダは元来人間に非ず、サイガン・ロットレンが人型アンドロイドに人工知性体を積んだ世界初の人造人間である。
然しながら人の様で人に非ずな自分へ異を唱え、本物の人類に自己の意識を宿らせ渡り歩き現在の姿に至る。つまりルイス・ファルムーンはマーダに憑依された公算が高い。
如何にして他人に憑依する能力を得たのかは未だ語られていない。
『サイガン・ロットレン』
白髪頭で50代後半位に見える初老の男。
彼は人工知能に自由意志を与えるのを人生に於ける至上命題としている。史上初の人造人間マーダを生成。
更に依り代である人間の意識とナノマシン達が共存。新人類が生誕する副産物を発見。
その新人類が誕生すると算出した300年後に照準合わせ冷凍睡眠に落ちその刻を待ち望んだ結果、二人の候補者を発掘。
恐らくローダ……もう独りはマーダなのか或いは依り代であるルイスを指すのか。
老人の言動から察するにルイス・ファルムーンの可能性が高い。
他者を攻撃する事で進化遂げるローダを候補者として認めず、マーダを推す模様。
『ドゥーウェン&ベランドナ』
マーダ直属の配下・ヴァロウズ2番目の学者ドゥーウェン。本名『吉野亮一』『ラオが巨人の襲撃を受けている』とローダ一行に情報を洩らし直接的接触を企てた。
危険な進化の一途辿るローダの身を案じたリイナと結託。敬愛したサイガンと袂を分かつことに。
彼等は候補者をローダと決め打ちし、煽動を狙う腹積もりなのだ。
『フォウ・クワットロ』
マーダ直属の配下・ヴァロウズ4番目、暗黒神の魔法を使える神聖術士。
ルイスじみたマーダから女の慰みを求められ受け容れた彼女。マーダに対し侍従を越えた禁断の愛情を抱いているのは最早確実。
サイガン・ロットレンは女性としてありふれた彼女の容姿に惚れ込み『此方にも鍵が在るのやも知れぬ』とまるでルシアと同等の存在意義を感じた旨を仄めかしていた。
『ザラレノ・ウィニゲスタ』
マーダ直属の配下・ヴァロウズ7番目、大気の使い手。
紺色のツインテールと特徴的な真っ赤に染まった瞳、15歳の少女。『楽な仕事』が彼女の信条。
可愛い大人の男性が好み、マーダ様は一番のお気に入り。
風の精霊術に長けたルシアと互角かそれ以上に争える潜在能力。
瞬時に暗雲を呼び、風であらゆる物を流し武器と成す。
何しろ大気を己の自由に出来得るのだ。本領発揮は恐らくこれからといった処か。
── 第三勢力 ──
未だ不透明な部分があれど、アドノス島の外から襲来すると思しき鎖国破り匂わせる『外敵』
魔導、技術文明。あらゆる分野で圧倒的に秀でたこの島。
然も経った300余年の短き間に三柱もの神を輩出した異端なる地。
されどサイガン・ロットレンの語る異能者は世界各国、何処で生誕しても不思議ではない事情があるのだ。
『ルヴァエル』
旧インド領バラタバザルにて植民地時代の悪しき伝統を人の命用いて吹き飛ばした三つ編み黒髪の少女。容姿と言動が昔のマーダ良く知る妖しさ漂う女性。
早速他国で夢見の異能が牙を剝いたのか。事始めには違いなかろう。




