表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/157

第14話『Garou(我狼)』 A Part

 ガロウ・チュウマが滾る(たぎる)刃で殴って拵えた(こしらえた)石礫(いしつぶて)がダークエルフのオットォン向かい飛んで往く。

 それを逐一(ちくいち)赤い機械仕掛けの目で撃ち落とすオットォンの迂闊(うかつ)


 ガロウが自分に近寄る(すき)を与えた愚かなる行為。

 無論、ガロウは無遠慮に一撃必殺の剣を叩き込もうと己が剣を最上段で構えて迫り(せまり)征く。


 ガシィィッ!!


「──なッ!?」

「ククッ、効かねえ効かねえ、効かねえんだよォォッ!!」


 あからさまに肉と骨、何れも斬れた音色と感触でない返しにガロウが(まゆ)(しか)める。

 何とオットォン、ガロウの必殺剣を左腕ひとつで(はじ)いてみせた。最早(もはや)ただの(かいな)でないのは明白。


そん(その)腕、機械鎧(オートメイル)かッ! おい()の剣()弾くとはどげな(どんな)金属()使っちょう(使ってるんだ)?」

「答える馬鹿いる訳ねぇだろうがぁ!」


 一旦後退しつつ短剣(ダガー)を抜いたオットォン。追い(すが)ろうとするガロウの足元へ牽制(けんせい)代わりの熱線を撃ち込む周到(しゅうとう)さ。


 これ迄相手の(武器)毎叩き折ったガロウの剛剣(ごうけん)が通じぬ。驚愕(きょうがく)を禁じ得ないガロウとリイナ。


「……弱点なら在る。何しろ俺が奴の肩を斬れたのだから」


 苦痛に藻掻く(もがく)顔でローダは隣に(ひか)えるリイナへ小さな声で耳打ちした。敵に(さと)られないと(おぼ)しき声量を意識した上での試み。


「──確かに。ガロウ様、関節部を狙って下さい」


判っちょう(判ってる)……よもやない(なに)からないでん(なにまで)機械(強固)な訳がなか。そいよか(それより)おまんさあ(お前さん)等はちい(少し)と離れ。人質()されたらいよいよ敵わん」


 愚劣(ぐれつ)なダークエルフだ。確かにやり兼ねない。

 これ以上味方を盾にされては如何(どう)にもならないガロウである。


 だがそれを差し引いた処で剣士の沽券(こけん)(かか)わる部分が在る。(つらぬ)きたい矜持(きょうじ)だ。


「スゥ……」


 ガロウが深く息を吸い己の躰中(からだじゅう)を呼び覚ますよう意識(イメージ)する。

 そしてカッと普段鋭い細目を見開くと、彼にしては珍しく正眼(中段)で剣を構え直した。


 攻撃力こそガロウ得意の最上段(蜻蛉の構え)(おと)るが攻め手に守り。何れにも対応可能な基本形。敵を強者と認めた上で上回る気概(きがい)体現(たいげん)した。


 ビッ! ビッビッ!


「雰囲気変わりやがったなぁ……だが威勢(いせい)だけじゃあ俺は倒せねぇぞォ!」


 またしても赤目の熱線を繰り出しつつ相手を煽る(あおる)オットォン。

 ガロウを狙うと見せ掛けて背後のローダ達も射程に(とら)える非道ぶり。甘っちょろい人間共の気分を(そこ)ねる(さい)たるものだと知り尽くした上での愚弄(ぐろう)


 されど味方へ飛ぶ赤の光線を含み刃で裂く技巧(ぎこう)容易く(たやすく)やってのけるガロウ無言の圧力。ゆるりと距離を詰め征くのも忘れない。


「──ローダさん、ちょっと失礼」

「グッ! り、リイナ?」


 痛み走るローダが動けぬ身体を前面に晒し(さらし)、ルシア達の盾と成す覚悟だけは(きも)(めい)じる。

 そんな彼の至る所を親指で押す不明瞭(ふめいりょう)な動きをみせるリイナ。

 押される都度(つど)、足掻くローダが痛々しい。


 ──凄い、また着実に筋力強化してる……。


 ローダを()()しながら痛みに効くツボを押す汎用性(はんようせい)抜群(ばつぐん)なるリイナ。数時間前、託児所で触れた時より増強してるローダに()()抱く(いだく)が顔には見せぬ努力も惜しまない。


「ムッ? あ、あれ? 少しだけ楽になった様な気が」

治療(ちりょう)ではありませんよ、簡易的(かんいてき)な痛み止めに過ぎません。無茶は絶対(ひか)えて下さい」


 例え治癒(ちゆ)してなくとも正義感(あふ)れるローダの性格上、無理を課す(かす)見据(みす)えたリイナが注意を促す(うながす)

 ローダとて()()()の注意に抗う(あらがう)気は起きない。不測(ふそく)の事態に備え、その場だけで身構えた。


 オットォンとガロウの一騎討ち(タイマン勝負)

 我慢(がまん)所在(しどころ)を忘れたオットォンが先制すべくダガーを左手で握り、ガロウに向けて襲い来る。


 刀より太刀筋(リーチ)短いダガーなれど、間合いを詰めれば寧ろ(むしろ)(くみ)しやすい。

 相手を素手で殴る器用な仕草に刃物が付属する。まるでダガー自身が生物であるかの如くガロウの急所を狙い()ます。


 加えて例の赤い熱線(ビーム)を織り交ぜるのだ。『術など無くとも戦える』ハッタリではないと身を以って知るガロウ。


 致命(ちめい)でこそないがガロウの小傷が増えて往く。然もダガーの持ち手を斬り伏せられない。それが何より腹立たしい。ガロウの苛立ち(ストレス)だけが重なる展開が続いた。


「フンッ!」

「ぐッ!?」


 オットォンが面喰う(めんくらう)ガロウ突如(とつじょ)の動作。

 愛刀を惜しげ無く放り、機械仕掛けの左腕を両手で握ると背負いで投げた。

 組み手格闘術、東洋剣術を志す(こころざす)者なら誰しも無刀へ()()した際の仕込みを用意するのが必然。


 されどよしんばそうであろうが愛刀を自ら投げ出す決断力は壮絶(そうぜつ)と言えよう。然も投げた先にはまたしても岩。オットォン的には(かたき)に思える程見たくない存在。


 森の住人であるダークエルフより余程髭の剣客が現状(自然)を味方に付ける(すべ)()けてる次第。

 愚かな闇の賢者は、そんなガロウの思惑(おもわく)さえも手本に出来る余裕の持ち合わせが恐らく存在しない。


 ビッ!


 やはり顰め(しかめ)っ面で敵でしかない岩を熱線で溶解(ようかい)させ難を(のが)れた。それで自分は優秀だと思い込むのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ