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毒虫無双−ダンジョン・ザ・キリングフィールド−  作者: 蠱毒成長中
Dungeon8 キル・ザ・ブラックトーバー・ウィズ・ダイバーシティ・デヴァス

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39/39

Floor8-11/30[ファイナル・バトルフィールド・ザ・ニューボーン・ダンジョン]

(……なんだ、ここは……)


 前回より。

 女ユーシャー"プリンセス・グランドクロスオーバー"こと

 重装魔法騎士マジックジェネラルアマラ・ベイリーの発動したアクティブスキル……

 名称『大いなる海の寵愛セイヴァー・ザ・フェイヴァード受けし救世主の権能・バイ・ジ・オーシャン』によって生じた魔力の渦に巻き込まれたカーネイジ・バグ。


 一瞬ばかり意識を失った彼が眼を覚ますと、

 そこは大海原に浮かぶ粗末ないかだの上であった。


(……日光、潮風、波の音、海洋生物の気配……

 間違いない……ここは正真正銘、海の上だ……)


 即座に悟った毒虫は、

 然しだとすれば何故いきなりこんな場所に居るのだろうかと、

 疑問を抱かずにいられない。


『……察するに、あのユーシャーのスキルでどこかの外洋にでも飛ばされたか』


 何気なく憶測を呟いた、その刹那……


「惜しいねえ! 実に惜しいねえ、カーネイジ・バグ!

 ここはそんなチャチなトコじゃないんだよ。

 少なくとも"どこかの海"ではないのさ!」


 聞き慣れた声が響く。

 目を遣った先には、光を纏い空中に浮遊するアマラの姿。


『……であれば何だという?』

「わからないかい!?

 なら教えてやろうじゃないか!

 ここはねぇカーネイジ・バグ……

 このアタシがスキル『大いなる海の寵愛セイヴァー・ザ・フェイヴァード受けし救世主の権能・バイ・ジ・オーシャン』でもってゼロから創造した、

 このアマラ・ベイリーの支配する新たなダンジョンなんだよっ!」

『……なに?』


 毒虫は耳を疑った。

 ダンジョンとは原則"存在する"か若しくは"形成される"ものであり、

 何者かが、それこそ神話や伝承に伝わる神がするように能動的に"創造される"ことはない。

 仮にそんな真似ができる者がいるとすれば、

 それこそダンジョンを統治し得る魔王か、

 或いはそれ以上の力を誇る、まさに"神"に相当する存在であろう。


「信じられないかい? だが事実なんだよっ!

 もっとも、ドエラいことをやってる分一生涯一度の使い切りだし、

 使った反動で何が起こるかも全くの未知数だけどねぇ!

 更には実際使うにあたって安定性やらを上げなきゃいけない関係上、

 別途使ってなかったトレジャーを三つほど手放さなきゃいけなかったんだ!」


 何とも驚くべき事実であるが、

 それもまた彼女の持つアクティブスキル『姫君支払う致命の代価ペイ・ザ・デッドリープライス』によるものであった。

 即ち"自身の持つ何かしらを代価にあらゆる願いをほぼ無制限で叶えるスキル"である。


「けどそこまでやったお陰でこの通り!

 この空間は! もはや!

 このあたしの意のままに動く"領海"になったのさあ!」


 声高に叫びながら、アマラは大量の海水を意のままに操って見せる。

 単に周囲の水を操るだけならば、魔法やスキル、アビリティでも可能ではあるが……


(察するに、あれは片鱗に過ぎんのだろう。

 本領を発揮した暁には何をしてくるか……)


 カーネイジ・バグは思案し、また警戒する。

 眼前のユーシャーは今やまさに神にも等しき"超越者"と化しており、

 いよいよ手に負えない存在になったかもしれないのだ。


(……勝てる気がせんな。と言って、負ける気もないが)


 ここまで来てどうして命を捨てられよう。

 カーネイジ・バグは腹を括り、状況を見極めにかかる。

 一方、アマラは"超越者"と化した反動からか慢心しきっているようで……


「ふん! 生意気な奴だねぇ!

 余裕ぶって生意気な態度なんて取っちゃってさあ!

 なんだい、まだこのあたしに勝てる気でいるのかい!?

 それとも命乞いしようってかい!?

 聞き入れるわけないだろう、このあたしが!

 あの子たちを容赦なく殺した奴の命乞いなんか!

 あんたの辿る末路はねぇムカデ野郎!

 このあたし、アマラ・ベイリー様の大いなる力によって、

 死体さえ残らないほど木っ端微塵になって、

 海のモズクになっちまうってトコだろうねえ!

 誰にも! 憐れまれず! 悲しまれず! 弔われず!

 哀れに! この海の! ゴミと化すんだ! あんたはっ!」

『……』


 大声で威圧的に捲し立てる女ユーシャー。

 然し対する毒虫は呆然と筏の上に立ち尽くしたまま動かない。

 とは言え無論、恐怖で動けないだとか、

 絶望し生を諦めたなどということはなく……


『そうかそうか。ならさっさと私を始末すればいい。

 私を殺したくて仕方がないんだろう?

 大切な友達の仇だものなぁ?

 その為に今迄必死で動いてきたのだろう?

 この私を殺す為に! 足掛け十年かかったのだろう!?

 だのにどうした! 何故能書きばかり垂れている!?

 よもや怖気付いたなどとは言うまいな!

 トレジャーを捨てた今更になって

 戦いが不毛に思えたなどと言うまいな!

 さあかかってこい"プリンセス・グランドクロスオーバー"!

 貴様の仇を殺しに来い!』


 斯様に、堂々と啖呵迄をも切って見せた。

 ともすれば、対する重装魔法騎士とて挑発に乗れずにはいられない。


「ふん、減らず口を叩くじゃないか!

 そんなに死にたいってんなら殺してやるよ!

 このアタシに歯向かったのを後悔するほどにねっ!

 はぁぁぁぁぁぁっ!」


 アマラの雄叫びに応じて、彼女の"領海"は嵐に見舞われ荒れ狂う。

 また海中ではあちこちで海底が割れ、

 海底火山が火を噴き、海洋生物型モンスターが吼え猛り暴れる!


 だが尚も、カーネイジ・バグは怯む様子を見せない!

 どころか!


『ぬうん! これはなんともはや!

 まさにダンジョンの全てを支配しよる!

 だが私とてモンスター! ユーシャー狩りに生きる者!

 なればこそまだ、この程度で引き下がるわけにはいかぬ!』


 斯様に意気揚々と言ってのける始末である!


「ほう! 言ったね! 言い切ったね! だったらかかって来るがいいさっ!

 互いにどうなろうと恨みっこは無しだ! とっとと決着を付けようじゃないかっ!」


 斯くしてここに、真の最終決戦が幕開けたのである!

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― 新着の感想 ―
 久々の更新、危うく見落とすところでした。(笑)  取り敢えずこっちもブックマークしておきます。  ですが同時に複数の作品を扱うのって大変じゃないですか?
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