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毒虫無双−ダンジョン・ザ・キリングフィールド−  作者: 蠱毒成長中
Dungeon8 キル・ザ・ブラックトーバー・ウィズ・ダイバーシティ・デヴァス

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38/39

Floor8-10/30[ロング・ジャッジメント・ザ・マジック・ジェネラル]

アマラ、勝利確定か……!

哦吾吾吾吾吾吾吾ガアアアアアアア

 冴弩喇ゴドラ吾吾吾吾吾吾吾アアアアアアッッ!』

【ボオギイーッ!?】

【ダゲェェヌ!?】

【グッズバゴオオオオ!?】


 場面は引き続き山間部の空き地。

 重装魔法騎士マジック・ジェネラル"プリンセス・グランドクロスオーバー"こと本名アマラ・ベイリーが

 トレジャー『山林古城備品目録ロスター・オブ・ザ・カースドサーヴァンツ』を用い召喚した家財道具型の使い魔たちは、

 毒虫"カーネイジ・バグ"こと本名シオタニ・シンゲンによる決死の猛攻により前に完膚無きまでに破壊されてしまった。


 トレジャーにかかる制約上"再発注"は不可能……

 然し一方、魔力調整も未完了なため女ユーシャー自ら動く選択肢も採れはしない。


(……ともあれ、あのムカデが文字通り"虫の息"ってのは好都合さね。

 加えてどうやら、極端な大勢相手は苦手と見た。

 とすりゃ、最適なり方はできてるようなもんだよっ!)


 物陰に隠れたまま、アマラはスキル発動を宣言する。


「アクティブスキル、発動!

白き姫君の歌シンギング・プリンセスが友を呼ぶ(・フレンドリージョン)』!

 続けて更にアクティブスキル発動!

揺り篭の城壁は盤石也ソーンウォール・フォートレス』!」


 瞬間、周囲の空間そのものがどくり、と大きく脈打つ。


『な、なんだっ……!?』


 続け様に鈍い音を立て小刻みに揺れる地面からは、

 恐るべき漆黒の津波と化した獰猛な虫の群れが怒涛の勢いで一斉に這い出し……


(どこから出て来たっ……!?)


 地表を突き破って生えた極太のイバラが急成長し、

 ものの一分足らずでドーム状の構造物を形成……

 スキル発動者であるアマラを守るトゲだらけの防壁が完成する。


(よしよし……これで魔力の安定化に専念できる……!

『白き姫君の歌が友を呼ぶ』で呼んだ虫どもの"手伝い"がほんの足止め程度だとしても、

『揺り篭の城壁は盤石也』のイバラはネオヤスケでさえ破壊しきれないほど頑丈だからねぇ!

 仮にあいつが生きてようが、

 連戦で弱り切ったアイツ如きが今のアタシを攻撃するなんて到底不可能な話さ!)


 魔力調整も大詰めに差し掛かる中、アマラは夢想する。

 あの忌まわしい毒虫は事も在ろうに"未来を担いうる、真の英雄"たる自分の親友たちを、

 それも弱り切った所を狙い、徹底的に痛め付け惨殺したまさに怨敵。

 ともすれば楽に殺してなどやるものか。

 奴が嘗て友らにそうしたように、徹底的に痛め付け、冒涜し尽くし、

 身体と精神から生命体としての尊厳に至るまで、

 そのすべてを徹底的に破壊し尽くし壮絶死させてやらずどうするのか。


(そうとも! これぞインガオウホウって奴さ!

 目には目を! 歯には歯を! 壮絶死には壮絶死を!

 アタシゃ何も間違っちゃいなぁぁぁぁい!)


 何の脈絡もなく迫り来る、唐突な気分の高揚……


(……敵討ちだよ、正当な……)


 脳内分泌物質と、

 調整の余波で溢れた余剰魔力が脳に影響を及ぼした結果、

 攻撃的な衝動と残忍な願望が沸き上がり、瞬く間に増幅されていく。


(……苦しめて殺さないと、存分に……)


 原始の暴力性に起因する攻撃的な考えは、

 思考と判断の精度を鈍らせ……


(このアタシこそが正義で、あいつが悪……

 そうとも……何も間違ってなんかない……!)


 故に女ユーシャーは、気付けなかったのだ。




(やれやれ……一時はどうなるかと思ったが、

 考えるまでもないほど簡単な話だったな……)


 今や己の優位が着実に崩壊しつつある、その事実に。




(ええと、まずは何をしてやろうかねぇ……

 あいつは見た所ただでかくて賢いだけのムカデだっ。

 てことは熱湯でもぶっかけてやれば即死するだろうけど、

 すぐ殺したんじゃつまらないし――――


『グんぬウウッ……!』


「――――なあ゛っ!?」


 魔力調整も大詰めに差し掛かる中、

 残忍な思考に取り憑かれ"捕らぬ狸の皮算用"めいた妄想にうつつを抜かすアマラ。

 親友らの仇たる怨敵が苦しみ悶えて悲惨に壮絶死する様を思い描いていた彼女は、

 今までになかった形容しがたい不快感と違和感に思わず振り返り……驚愕する。


『……』


「な、なんでっっ……!?

 あんたっっ……どうやってっっ……!」


 驚愕する黒人女……その視線の先には、

 絡み合うイバラの壁を強引に引き裂いては

 ぎりいっ、とこちらを睨みつけるカーネイジ・バグの姿があった。


 ……彼女が感じた"不快感と違和感"の正体とは、

 イバラへのダメージがスキル発動者にフィードバックしたもの……

 即ち召喚系スキルの使い手には本来然程珍しくもない現象であったのだが、

 なまじイバラが余りに頑丈であり、

 かつスキル自体発動機会に恵まれなかったのもありアマラ自身は知り得ず……


『……どうした、反撃して来ないのか』

「くっっ……ナメんじゃないよっ!」

『おっとぉ~』


 我に返った女ユーシャーは毒虫目掛けて火球を放つも呆気なく躱される。

 無論彼女にとってそれは単なる威嚇・牽制に過ぎず、

 眼前の怨敵と距離を取れさえすればなんでも良かったのであった。


(なんだってついさっき今にも死にそうだったあいつが、

 よりにもよってアタシのイバラを破壊できるまで回復できたのか……

 そんなことは知らないし知る必要もありゃしない!

 けど! このスキルを発動しちまえばどこだってアタシの独壇場!

 どんなに強くたって所詮"地を這うしかできない"あいつじゃ文字通り"手も足も出なくなる"っ!)


 如何にも意味深な独白と共に、

 とうとうアマラはスキルを発動する!


「アクティブスキル発動!

大いなる海の寵愛セイヴァー・ザ・フェイヴァード受けし救世主の権能・バイ・ジ・オーシャン』!」


 体内で調整された魔力が迸り、

 アマラを中心に圧倒的な力の奔流が起こる!

 大海に生じた渦潮の如きそれは、

 瞬く間にカーネイジ・バグをも飲み込み……


「さあ、地獄へご招待だよっ!」

『いかん、回避が間に合わんっっ……!』


 程なく二者は、跡形もなく姿を消し……

 その場にはただ、荒れ果てた大地と巨大なイバラの残骸だけが残されたのであった。

次回、アマラが発動した驚きのスキルとは……

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― 新着の感想 ―
 これってどっちが追い詰められているのやら。  インフレなくらいに多彩な技を繰り出すアマラ。  耐えれど打開に至らぬシンゲン。  まるでスタグフレーションが懸念される市場を作品展開に譬えているかのよう…
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