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毒虫無双−ダンジョン・ザ・キリングフィールド−  作者: 蠱毒成長中
Dungeon8 キル・ザ・ブラックトーバー・ウィズ・ダイバーシティ・デヴァス

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29/39

Floor8-1/30[ファースト・ターゲット"ネオヤスケ・ザ・トゥルーレジェンド・サムライ"]


 痴漢鬼エンザン・マスラオウを倒し与魔施シティを後にした

 我らが毒虫"カーネイジ・バグ"ことシオタニ・シンゲンとその相方ユガワは、

 温泉宿『ワッパーサンド』支配人クラップ・スラップからの情報を頼りに

 里山型ダンジョン『遮道豆しゃどうず田園地帯』を訪れていた。



[ほウ、これはまた何とも長閑で平和的な風景ですネ。

 聞く所に拠れバ、

 かの"過ぎ去りし時の暴君"ことサクマ・ヒリュウ氏がこの地で晩年を過ごされたとカ?]

『ええそうです。

 宿敵たる"時空の魔王"トキワ・ソウ陛下に惨敗を喫し全てを喪った氏は、

 這う這うの体で命辛々このダンジョンへ逃げ延び、

 以後は過去に囚われずただ純粋なモンスターの一個体として残りの生涯を全うされたのだとか』

[成る程で御座いマス、Mr.]



 『遮道豆田園地帯』

 相対的に知覚種族の地位が低く文明も未発達乍ら、

 それ故に都市部特有の喧噪は元より

 田舎特有の厄介な社会構造とも無縁であるこのダンジョンは、

 生態系上位に君臨するごく一部の非知覚種族を除けば脅威らしい脅威もなく……

 即ち所謂"スローライフ向きのダンジョン"と言えよう。


 さて、そんな遮道豆田園地帯に此度毒虫らが訪れたのは、

 ダンジョンそのものの長閑な雰囲気や穏やかな風土にそぐわぬ

 実に殺伐とした目的の故であった。

 その目的とは……


[してMr、スラップ支配人より頂きましたる情報に拠れバ、

 このダンジョンにこそ"例の標的"が潜んでいるそうですガ]

『ええ、まあ実質その通りです。

 より厳密には"例の標的ヤツへの手掛かりたる存在"ですがね。

 つまるところ"中間宿主"ならぬ"中間標的"ってなモンです。

 もっとわかりやすく"中継地点"でもいいかもしれない』


 即ち、ユーシャーの抹殺に他ならなかった。


 遡ること実に19話前、Dungeon3のFloor3-3/3……

 読者諸君は覚えておられるであろうか。

 カーネイジ・バグらが与魔施シティに湯治へ訪れる以前、

 異星型ダンジョン『常昼惑星ナイトネヴァーカム・プラネット』にて交わした約束を。


 具体的に述べるならば、

 ユーシャー"G(グラップラー)ペリドット"ことコガ・トウシロウが、

 今際の際に毒虫へ託した"頼み事"の件である。


 劇中では当時明かされなかった"頼み事"の仔細とは、

 かの緑肌の強豪魔法拳士を生涯に渡り悩ませ続けた

 さる"忌まわしきユーシャー"の抹殺であったのだ。


『後で調べた所に依ると、

 奴の等級は金剛五級とかなり高いものの、

 単純な戦闘能力については概ね燻銀か或いは青銅クラスと

 然程高くないようですね』

[何ト。

 にも関わらず白金五級の武闘派Gペリドットを苦戦させるとハ、

 俄かには信じ難い事実ですネ]

『ええ、どうやらヤツは恐るべきスキルの持ち主で、

 そのスキルを前にしてはどんなユーシャーやモンスターも太刀打ちできず、

 平伏して命乞いをするほかないそうです。

 加えてカリスマ性と口の上手さでもって同業者を支配下に置き使役する方が得意らしく……

 まあ、一筋縄では行かん相手なのは間違いないでしょうね』


 此度の捜索対象もまた、そのユーシャーにより"支配・使役される"存在であったのだ。


「情報に依ると、どうやら奴らは方々のダンジョンを荒らし回っていて、

 しかも他のユーシャーとトラブルを起こし、

 被害を拡大させるような事案も珍しくないとか」

[何ともはヤ、ユーシャーがユーシャーと争うとは実に滑稽に御座いますネ。

 少なくともモンスターよりはまだ幾らか理性的な連中であるとの認識だったのですガ]

『全くですよ。まぁユーシャー、というか人間にも色々な奴が居ますから……』


 斯くしてダンジョン内を探し回ること数時間……

 毒虫らは遂に此度の"中継地点"との邂逅を果たすこととなる。


――『遮道豆田園地帯』山林部にて――


 場面は広葉樹がまばらに生い茂る山間の雑木林……

 毒虫カーネイジ・バグとその忠臣の機械虫ユガワは、

 遂に"中継地点"たるユーシャーと対峙していた。


『オイッス、お初です。

 我"カーネイジ・バグ"。

 ユーシャーとモンスターの区別なく、

 あらゆる敵をみなごろすものに御座い』

[チョリィス、お初ですワ。

 は"ユガワ"。

 賢者らが残せし叡智の結晶、その端くれに御座い]

(……! なんと。

 グリーティングを行うモンスターなるものが存在しようとは。

 果たして何の意図があるやら分からぬが……

 然し某とてユーシャーの端くれ、

 相手が何者であれ礼には礼を返すべきで御座ろう……)


 毒虫らのグリーティングに、

 対面する彼こと"中継地点のユーシャー"は驚かずにいられなかった。

 というのも彼にとってモンスターと言えば、

 人間を見下し傷付ける、卑劣で残忍な生命体との認識だったからである。


 然しそれでも……否、だからこそ、

 このグリーティングは無下にできないと、彼はそう考えた。


「――ドモデス、

 カーネイジ・バグ-ドン、ユガワ-ドン。

 お初に御座る。

 某が名は"ネオヤスケ・ザ・トゥルーレジェンド・サムライ"。

 名が示す通り、真なる伝説の侍"弥助"の生き写したる黒人ユーシャーに他ならぬ」


 厳かに名乗るネオヤスケ。

 事実彼の風貌とは重厚な鎧兜に身を包む、

 ドレッドヘアの厳つい黒人男の武者といった所であり、

 身の丈は実に二メートル以上……

 威圧的なその在り様は、ともすればモンスターと見紛うばかり。


(……弥助を"真なる伝説の侍"と称す上に、

 このご時世にも関わらず態々黒人を自称するか。

 どうやら予想以上の筋金入りらしいな)


 カーネイジ・バグはいよいよ確信した。

 この男こそ件の"忌まわしきユーシャー"へ繋がる重要な手掛かりに他ならないと。


『ご丁寧にどうも、ミクス−ネオヤスケ。

 さて唐突だが単刀直入に問おう。

 貴様こそは"ブラックトーバー"の関係者で相違ないな?』


 "ブラックトーバー"

 それこそ毒虫の追う"忌まわしきユーシャー"の名であった。


「……如何にも、某はかの御方にお仕えせし

 "シテンノ・オブ・ダイバーシティ"こと多様性四天王ダイバーシティ・デヴァスが一人に御座るが……

 モンスター風情が我が主君ブラックトーバー様に何用で御座るか?

 返答次第では問答無用で切り捨て御免に御座るぞ?」

『ほう、血の気が多いな……いい心がけだ。

 だが態々脅すぐらいなら、いっそ即座に攻撃して来るべきだったな。

 そうしてれば或いは、貴様の主も無事だったかもしれんのになあ』

「……? お主、何を言うとるで御座るか?

 ともかく某の目と肌が黒いうちは、

 かの御方には指一本とて――『――――』――なっ、 何奴ぅ!?」


 刹那、気配を感じ取ったネオヤスケは、

 咄嗟に背負った斬馬刀を抜き身構える。

 そして……


『――――!!』

「ふんぬうっ!」


 上方より"降り注いだ"襲撃者の一撃を、見事に受け流して見せた。


(な、なんたる重い一撃っ……!

 最強たる黒人ユーシャーでも随一の怪力を誇る某を、

 こうも圧倒するとはっっ……!)


 だがそれでもネオヤスケは僅かに力負けしてしまい、

 その巨体を支える両脚は目に見えて柔らかい地面へ沈み込む。

 果たして事実、比類なき怪力を誇る彼をそこまで圧倒せしめた様子は

 "襲撃者"の凄まじき実力をありありと物語る。


『――――』


 一方、攻撃を受け流された"襲撃者"は

 手にした武器を通じて迫る圧倒的運動エネルギーを逆手に取り大きく跳躍。

 空中で軽快に身を翻し、音もなく着地してみせる。


(抜かった!

 よもや増援が居たとは某の目を以てしても見抜けなんだで御座る!

 やはり如何に礼儀正しくとも所詮はモンスター!

 卑怯な真似など常套手段で御座ろうに!

 ……然しあの者、一体何者で御座る……?)


 大まかにはヒト型である"襲撃者"……

 ネオヤスケ以上の屈強な赤い巨体に男性用ボンテージを纏い、

 生気も感情も感じられぬ虚無の表情をした彼こそは……


『よくやった、上出来だ。

 しっかり役に立てて偉いぞ、()()()()()()

『――――』


 読者諸氏としてはとうにお察しであろう、

 まさに前回カーネイジ・バグとユガワの前に惨敗し、

 生き乍ら屍同然の傀儡と成り果てた"元・痴漢鬼"エンザン・マスラオウであった。


『ただ、何だな……

 折角ビジュアルがいいだけに

 やはり常にだんまりじゃどうにも格好がつかんなあ』

『――――』

『ああ、わかるとも。

 私とていきなり饒舌になれなんて無茶は言わんさ』

[ご自身にできる範囲デ、少しずつ慣れていきましょウ。

 先ずはオーガらしい唸り声や咆哮から挑戦してみてハ?]

『――ゴォッ』

『おお、そうだそうだ。やればできるじゃないか。

[その調子でこれから頑張りましょウ、新人ルーキーエンザン]


(こやつら……見るからに狂うておる……!

 やはりモンスターは悪!

 我が主君ブラックトーバー様の志す"理想社会"の為にも、

 滅ぼさねばならんで御座るな……!)


 かくして激闘は幕を開ける……。

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― 新着の感想 ―
 早速例のエンザンの登場。  今のところ彼の知性は乏しいようですが、それでも一応は名だたる魔王の血族であり本来の能力は高いはず。ならば魄のリハビリも可能ですよね?  精神が肉体に影響を与えるようにその…
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