#4 冷たい雨
1週間後――。
会社から逃げだした私は兄の家に一時的に世話になっていた。
私はネットフリーマーケットで格安のロボットを探した。中古ロボットでもほとんどのものは100万円を下らない。かなり旧型で程度が悪いものでも70万円ぐらいはする。とても私の貯金で購入できるものではない。
兄がネットを見ていたとき、たまたま30万円台の中古ロボットを見つけた。
「これどうかなあ? 33万円だって」
「え、まじ?」
私は兄のタブレットを覗きこんだ。
「へえ、こういうのもあるのね。安いじゃない。記憶容量ってどのくらい?」
「250TBって書いてある」
「ギリギリかあ」
「どうする? 買うか?」
「うん、ポチッちゃって」
それから3日後、ドローンによって兄の家にダンボール箱が届けられた。
* * *
私は船の甲板に出た。
雨が降っていた。
私の肩には一匹のネコが乗っていた。
ネコは雨を見上げ、
「これが、本物の雨……。これが、雨の冷たさ……」
とつぶやいた。
ネコの目のなかに雨粒が入り、ネコは顔をしかめた。手でゴシゴシと顔を拭くネコ。
「ごめんね、そのボディしか入手できなくて」
と、私はネコの頭をなでた。
ネコはブルブルッと体についた雨粒を振り飛ばし、
「ううん、別に気にしてないよ。てゆうか、けっこう気に入ってる」
と言って私の頬に自分の顔をこすりつけた。
ネコの体は柔らかく、そしてとても温かかった。