星もりの丘
星祭りの夜には、皆がそこへ向かいます。
「星もりの丘」へ行くのです。
誰が名前をつけたのかはわかりません。
けれど、誰もが「星もりの丘」と呼ぶのです。
人びとは海辺で石を拾います。
きらきら、ぴかぴか、光るガラス石を探すのです。
輝く石を見つけて抱きしめると、坂道を登ります。
光る砂粒がまじる坂道を、ぐっと踏みしめながら登って行くのです。
きらきら、ぴかぴか、光る石を抱えて登って行くのです。
坂の上には、大きなつぼがあります。
青く透明なガラスの、とても大きなつぼです。
人びとはそこへ、願いをこめた石を投げ込みます。
カラカラ、コロコロ、光る石は音を立てながら、つぼの中に積もっていきます。
やがてつぼが石でいっぱいになると、星守と呼ばれる人がやって来ます。
人びとはしんと静まり返る中で、積もった願いをそっと見つめています。
星守は、そのガラスのつぼをカシャーンと、まっすぐな音を立てて割るのです。
割れたつぼの欠片は、青い波になってザアッと下っていきます。
光る石も、解放されたように転がり落ちていきます。
カラカラ、コロコロ、音を立てながら流れ落ちていきます。
きらきら、ぴかぴか、輝きながら滑っていきます。
そうして石が海へとけていくのを、人びとはじっと見届けるのです。
あの「星もりの丘」の上から、見守るのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!