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第5話

俺がどばちゃんの家に行った数日後、今度はどばちゃんとデートをすることになった。俺はこの日バイトもないし、どばちゃんもこの日はオフだ。俺は朝から夕方までみっちりあった大学の講義と課題が終わるとすぐ電車に乗り、目黒駅に向かった。目黒駅に着くと、先に学校を終え、しばらく暇を持て余していたどばちゃんと合流。そして俺はどばちゃんが用意した高校の制服に着替え、某テーマパークに行くことになった。




「メガネもマスクもしないで大丈夫かよ。素顔モロバレだぞ」


「大丈夫だよ。現に誰も気づいてないし。みんなスマホの画面向いているから」


「そうだけどさぁ・・・」


「私、誰にも気づかれない自信あるよ?」




テーマパークに向かう電車の中で、俺はどばちゃんにそうヒソヒソと小言を言う感じで言った。まぁそんな感じで1時間近く電車に乗り、目的地であるテーマパークに到着。入口の前でチケットを購入し、テーマパークの中に入った。学生でしかも平日の夕方からなので、かなり安く買えた。カップル割が適用されたので尚更だ。


テーマパークに着いた時はもう夕方だったので、アトラクションには乗らず、まずはレストランで夕食を取ることにした。俺はピザを、どばちゃんはパスタを注文した。




「直くんってさぁ、ビール頼まないの?」


「バカ言え。制服姿で飲めるかっつーの」


「でも20歳じゃん。飲もうと思えば飲めるじゃん」


「断固として今日は飲まん。それに俺、酒弱いし」


「そうなんだ・・・」


「何だよその顔は」


「べっつにー」




俺がどばちゃんの家に行った頃から、俺のことを『直くん』と呼ぶようになった。それと同時に俺もどばちゃんを『まりちゃん』と呼ぶようになった。そして夕食を食べると早速、アトラクションに乗ることにした。平日の夜は意外と空いていて、長時間待つことはなかった。しかし、どばちゃんがジェットコースターに普通に乗れるのは意外だった。テレビではいつもビビってるくせにな。ちなみに俺はあまり得意ではない。しかも真っ暗な夜に乗るのだから尚更だ。そして夜9時からのパレードと花火。これには俺もどばちゃんも感動した。




◇ ◇ ◇




「今日はデート楽しかったなー」


「俺もまりちゃんとまたデートできて嬉しかったよ」


「ありがとう。だから私、直くんのこと大好き・・・」


「え?それって・・・」


「ううん、何でもない!何でもないの!」




帰りの電車で、俺とどばちゃんはこう言っていた。・・・しかし、何だよそれ。気になるなぁ。ただ、どばちゃんの態度が態度だったので、俺は深入りすることをやめた。そして目黒駅に着いた時には夜の11時になろうとしていた。




「直くん、さっきの話聞いてどう思った?」


「え?さっきの話は、あまり聞いてなかったからさっぱり・・・」


「・・・鈍すぎ。この鈍感男!」


「何だよ急にキレて」


「いつになったら私の気持ちに気づいてくれるの!」


「お前さっきから何言ってるかわかんねぇぞ」


「私、直くんのこと大好きなの!好きで好きでたまらないの!」


「え、それって・・・」




どばちゃんは顔が紅潮していた。そして・・・




「宮本直哉くん、私はあなたのことが好きです。付き合ってください」




俺は生まれて初めて女性から告白された。それも親族以外から。智花と智代から好きだと言われたことはあったが、軽い気持ちで言ってるし、あいつらが本気で好きって言ってるかどうかは・・・




「うん、付き合おう。俺も万里花のこと好きだよ・・・」




俺の答えはこうだった。断る理由なんてなんかない。だってアイドルとの恋愛は男として最高の願望なのだから。それも俺が大好きでしょうがない憧れのアイドルが彼女になるんだぞ。これ以上の幸せはない。そして、お互い顔を合わせ、お互いの唇が触れあった。ファーストキスだ。脳が溶けるような、とっても柔らかい感触だった。そして・・・




「ダーリン、ありがとう!今日は楽しかったよ!」




と俺に笑顔を振りまき、電車に乗る彼女の姿は世界一可愛かったのは言うまでもない。

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