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俺達の丸山先生  作者: ちゃーみん
第一章
3/3

あなたは誰なの?(落下中)

ゆっくりと書いていきます

「うわわぁー!?!?」

「死ぬ死ぬ無理無理ー!」

「ステータスオープンステータスメニューフライエアジャンプハイジャンプウィンドサイクロンこの状況にあって助かる道は~」


勇は声を荒げる。

もちろん、他の男子女子も同じように。

1人変なやつもいたが。


(クスクス)


何かの笑い声が、この叫び声の中、彼らの脳内に響く。

しかし、叫んでいる彼らはそこにあまり気付かない。

気付いたものは、叫んでいない数名。


「なんだ!?」

「きゃーわーーしーーーぬーーー」

「ひなちゃん聞こえたの!?」

「笑い声だよな?てんちゃんもか!?」

「うん!」

「あーいきゃーんふらーーーい」

「周りがうるさくて勘違いと思ったけど、何人かは聞こえてるみたいだな」


32名もの人間が空で叫ぶ。

風の音も

叫び声もあるなかで


(聞こえる人もいるんだね。ハゲと一緒ね)


「ハゲって何!?というか、誰だよこの声?」


彼等はまだ上空から落ちている。

しかし、そこに余裕のある時間はない。

なんの装備もないままただただ自由落下に身を任せているのだ。

膨大な風圧は時に凶器として彼等を襲う。


(とりあえず、風の影響力を弱めてあげるね。◯ア◯△*※ド)


と、声が聞こえた瞬間、落下速度が落ち着いてくる。

ゆっくりと、風圧が弱まっていく。


「おぁ!?あれ?なんか。これ。俺達空飛んでね!?」


驚きから安堵へ。

気づけば少し、心も落ち着いてきている。

そして何が起きたのか、皆周囲を見渡している。


「ほんとだー、落ちる!って感じがなくなったよ??」

「でも、これ流されてるよね?私たち」

「うーん、どういう状況だ、これ?」


ふわふわと、まるで綿毛のように風で動く彼等。

その中にはさっきの自由落下で意識を手放したものも数名。

その数名を看護するように、数名が手を離す。


今の今まで、誰かの手を握りしめていた彼等は、本当に仲の良いメンバーなのだろう。


「たたたいへん!シンが白目向いたまま逝っちゃってるよ!?」

「あー、シンは高所恐怖症って言ってたからなー」

「こっちもハルとユキが目を閉じたままだわー」

「そら怖いよなーこの光景、落ち着いてみたら良い景色なんだけどね。。って、喋れる...?」


と、幾分かが過ぎた頃に、会話ができていることに気付く彼等

彼等にとっての現状は今どういったものなのか。


(クスクス、ようやくお話ができそうだね)


と、そこで目の前に竜巻が急遽発生する。

「おわぁっ!?」と男子の数名が悲鳴をあげるも、中から出てきたものは小型の少女。40センチ程の体型であるものの、それは明らかに人型。耳は尖り、セミロング程の髪が、風で動いている。

人形のようにつぶらで可愛いらしい瞳が、しかし光の灯さない瞳が、彼等を見つめている。


妖精。


ゲームをしている数名の学生はすぐにその言葉が出てきていた。


「うぉーー、これぞファンタジー」

「まじかまじか!?これは異世界転移とかそういう系じゃん!」

「キャー、可愛い!」


(クスクス、三者三様の反応ありがとう、でも、これは仮初めの形。私は風。個体ではないの。ただ、君たちが話せるように、理解できるように、ここにあるだけだよ。この体も風と魔素を使ってるだけ。あなた達はあのハゲと同郷なのよねー。だから何もない空間から声が聞こえると恐怖しちゃう。あのハゲが教えてくれたわ。だから、形をとり、前に出て、あなた方を無事に降ろしてあげる)


ゆっくりと、説明するように。

しかし、意見を挟む余地のないスピードで。

淡々と話すそれは、生物ではないと言う。

興奮した数名も、あっという間もない出来事に、冷静さを取り戻す。


「助けてくれたのかな、ありがとう。君は風?ならば、それを操る人がいて、僕たちの危険を知り、助けてくれた、っていうことなのか?」


先人を切り、勇が問う。

風はまた


(クスクス、君が勇者なのかな?きっとそうだね。誰よりも暖かくて、私達の風も、君といると楽しい気持ちになるよ。質問の答えは、はい。あなたの言うとおりだよ。でも、ハゲは君達に直接な関与はまだしないみたい、やることがあるってさ。私も君達を助けたらすぐに霧散するから、お礼は別に良いよ。風の気まぐれさ)


と脳内に響く音で話す。

「ハゲって、誰ですか?」


ひなっちゃんと呼ばれた少女が、それに話しかける。


(クスクス、ハゲはハゲだよ。そうだ、2つ君たちに言葉を贈るよ、というか、ハゲからなんだけど。)


そう言って、それは、周囲を見るように彼等を促す。

地面が近づいてきている。それで彼等ももうすぐそれとは別れることを知る。

落ち着いて辺りを見回すと、ここは草原と呼ぶに相応しい場所か。

目の良いものは数キロ先に建物が見えている。

比較的安全な場所なのだろう。


「落ちてる時は気付かなかったが」


と、理解し始める。

ここが彼等のすむ世界とは確実に違うことを。


(クスクス、さてさよならの時間だ。とはいっても私は風。いつまでもあなたがたの側にいて、どこにでも私は存在する。)


そう言い


(ようこそ、アークメアへ。よく学び、よく遊び、そしてよく育め、若人よ)


強い風が一瞬吹くと、それは消えていた。

ようやく地面に着地


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