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2-2

ルーカスside

「いい? 誕生日は絶対に祝いなさい。ルナの誕生を祝う日よ。これほどにまで尊い日はないわ」

 6時間続いた説教の最後にエルが言った言葉。




 ルナの誕生日まで残り5日。にもかかわらずいまだに俺はルナへのプレゼントを何にするか決めかねている。



 ルナの誕生日を祝いたいが、いかんせん今まで女性にプレゼントをあげた記憶などないから何をしたら女性が喜ぶのかわからない。

 それに相手はルナだ。変なものでも渡して嫌な顔でもされたら……。

 俺はきっと立ち直れないだろう。



「ルーカス、ルナの誕生日が迫っているというのに暗い顔しているわね」

「ああ、エル」

 仕事の合間にもルナのことを考えていたらエルに出会った。

 エルならばルナの好みを把握しているだろう。

 エルに聞けばきっとルナの喜ぶものを手に入れることができる。でも、それでは俺からプレゼントする意味がない。


「何よ。不満そうな顔して」

 そういうエルは少し機嫌が悪そうな顔をしていた。

 最近ルナと会う機会が少なくて機嫌が悪いのだろう。


「そういえばルナがエルは最近忙しいって言っていたけど……」

「忙しいわ。とっても忙しい! 身体がもう一つ、いや三つは欲しいくらいよ」

「そんなに忙しいのか?」

「ええ。ルナの誕生日が間近に迫っているのにルナへのプレゼントを決めかねていたの。やっとプレゼントは決まったのだけれど、どんな服を着ていくか迷っていてね」

「服? そんなに重要か?」

 俺にとってはそんなに重要なことには思えない。

 ルナならばきっとエルがどんな服を着ていようが気にしないだろう。


「重要よ! ルナの誕生日は年に1度しか来ないのよ?」

 誕生日なのだから年に何回もあるわけがないだろうがそんなことをエルに言ったら怒られるだろうから言わないでおく。

 エルの機嫌は一度損ねたらなかなか治らないのだ。余計なことは言わない方がいいに決まっている。


「で、ルーカスはルナへのプレゼント決まったの?」

「まだだ」

「は? 残り1週間もないのよ? 何しているの!」

 そういってエルは俺の手を引っ張った。


「どこへ連れて行く気だ」

「決まっているでしょ、ルナのプレゼントを探しに行くのよ。私も手伝うから」




 そして、今俺はエルと共に宝飾店にいる。

「これはどうかしら」

「なあ、エル」

「何よ」

「わざわざ宝飾店に来る意味あるか? 宝飾品だったら家に呼べばいいんじゃ……」

「家にはルナがいるでしょ。まさかあんたルナの目の前で買う気?」

「ルナへのプレゼントなんだからそれでいいんじゃ」

 寧ろ家に呼べばルナ本人が選ぶことができるだろう。


「わかってないわね。プレゼントは相手のことを考えて選ぶものよ。なのに本人の前で選ぶなんて……。ナンセンスね」

 そういうものか。


「それに店の者が持ってくるものが必ずしもルナに似合うとは言えないもの」

 確かに店の者は持ってくることのできるものには限りがあるから、その店の選りすぐりのものを持ってくる。

 エルがルナに似合うと感じるものからそうでないものまで様々なものを。


「で、さっきからエルも選んでいるように見えるんだが」

「一期一会なの。来た時に見とかないとルナにぴったりのものを見逃してしまうかもしれないじゃない」

 ……一緒に来てくれたのはいいが協力してくれるわけではないらしい。


 俺もルナに似合うものを探すことにした。


 しばらく探しているとケースの中でひときわ俺の目を引くものを見つけた。

「これは……」

「どうしたの?」

「これはいいんじゃないか」

「これって……。本当にこれを渡すつもりなの?」

「ああ、ルナにきっと似合うだろうな」

「そう……。そうね。きっと似合うわ」

 そういってエルは微笑んだ。


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